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2016.07.31
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カテゴリ: アート
「一億人の漫画連鎖」というムック本で、若き日の浦沢直樹のインタビューを読んでいるのだが・・・
この際、「浦沢直樹の世界」として集めてみようと思い立ったのです♪

・重松清氏とのインタビュー
・浦沢直樹スペシャルインタビュー

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【重松清氏とのインタビュー】
PLUTOPLUTO

相沢

2014年時点の重松清氏とのインタビューを見てみましょう。

この人たちについての14万字ちょっと
<浦沢直樹 巨大なるマイナー> p101~103
重松:大友さんをはじめとするニューウェーブの影響は大きかった?

浦沢:『少年ジャンプ』的なマンガではないマイノリティに対するシンパシーは寄せていました。それはあるんだけど、あっちの世界に行くと、清貧というかなんともいえない貧しさが待ってる感じがして、自分とはちょっと違うなあ、と。その一方で、あんなに素晴らしいものなのに世間になぜ受け容れられないんだろう、という疑問や憤りがずっとあったんですよ。

 BDのメビウスもそうでしょ?日本で真っ向からメビウスに共振してモノを創っても、絶対に世間からは無視されてしまう。だから、そうではないなにかを見つけたいし、それはあるはずだ、と。

重松:近年の浦沢さんの長編には、入れ子構造、作中作を入れる構造が目立ちます。『MONSTER』なら絵本の『なまえのないかいぶつ』、『20世紀少年』ならバーチャルアトラクションで繰り広げられるケンジたちの少年時代、『BILLY BAT』ではケヴィン・ヤマガタの描くアメコミがあるし、手塚治虫の作品を換骨奪胎した『PLUTO』も、物語が二重になっている。

浦沢:物語内物語が多いよね。

重松:その構造の中にマイナーポエットのものを入れ込んでしまうのも、いまおっしゃった「そうではないなにか」の一つではありませんか?

浦沢:そうですね。あの絵本なりアメコミなりを単体でやっても世間は見てくれない。でも、中に入れてしまって、「ほら、こうやったら、ちゃんとみんなが見てくれるものになるでしょう」というのはあります。

重松:そのときの「世間」というのは、マンガ好きではない人たちも含めてのことですよね。

浦沢:「ツウ」には受けても、やっぱりマンガというのはポピュラー文化だから、お茶の間にどーんと置かれなくちゃ・・・・ということなんです。極端に言えば、メビウスから『サザエさん』までの振り幅がないと。

重松:ただ、「世間」は『サザエさん』のほうにだけ目を向けませんか? 振り幅の片方があまりにもメジャーすぎると、そっちしか見てもらえない、というジレンマが生まれそうな気がするのです。

 浦沢さんの初期作品には大友克洋さんの影響がすごく感じられるし、過去のインタビューではメビウスや『タンタン』のエルジェへのシンパシーが何度も表明されています。でも、そっち側にも振り幅があることが『YAWARA!』などの大ヒットの前では霞んでしまって、「世間」になかなか伝わっていかない。

浦沢:それはデビュー以来ずっと、いまだに抱えている難問なんですよ。僕自身は「同志」のつもりでいるマンガ家から「あいつはメジャーだから」「浦沢は違う世界の人間だから」と思われているんじゃないかと胸を締めつけられてしまうような感じがあって・・・・。

 ようやく変ってきたのは、ここ2、3年ですね。江口寿史さんと『フリースタイル』という雑誌で対談したあたりから、僕が「同志」だと思ってきた人たちと触れ合うことができて、僕がちゃんと話すと、あちらが「あれ?」となるのがわかるんです。 


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「一億人の漫画連鎖」というムックで1998年時点の浦沢直樹スペシャルインタビューを見てみましょう。

p98
<スペシャルインタビュー:温水ゆかり>
 浦沢さんにはふたつの<王道>がある。ひとつはアイドル的女の子を主人公にすえたスポーツもの。もうひとつはシブイ哀歌をかなでる<男の世界>を描いたものだ。しかしそこには共通しているのは、脇役への執着、人間ドラマの復興。連載中の『MONSTER』は、そんな浦沢さんの代表作になりそうだ。

 短篇と長篇の魅力をビールの味にたとえれば、短篇のもち味はキレ、長篇のそれはコクだといえないだろうか。そして、キレがあるのにコクがある短篇が少ないように、コクがあるのにキレもある長篇も稀だ。しかし、浦沢さんが現在取り組んでいる『MONSTER』は、キレとコクの関係にひとつの幸せな解答を与えつつあるように思える。

 「デビュー当時というか、その前からやりたいのは『モンスター』(的なもの)だった。デビューして十数年、ようやくたどりついたという感じですね。でも、同じ構想をもったとしても、十数年前ではこんな語り口はできなかったでしょうが・・・」

 複数の人間を同時進行で動かすストーリーづくりができるようになった
 作者が「自分本来の世界」と自認してはばからない『MONSTER』は、実に複雑でデリケートな魅力に満ちている。ドイツを舞台に、日本人の優秀な外科医テンマの理想と苦悩の物語であること。殺人事件の容疑者にされてしまったテンマの逃亡劇にもなるという二重性。そしてテンマの元婚約者や執拗につけ狙う刑事など主要な登場人物ばかりか、旅の途中で出会う無名の人々にも与えられるエピソードによって、同時代を生きる老若男女の多声的なドラマになっていることなどだ。

 「ですがぼくの作品は、どれもそうでしょう。ゾロゾロ人が出てきて、どれが主人公だか分からなくなってしまう(笑)。スポーツ漫画といわれている『YAWARA!』や『HAPPY!』も、つい脇の人間を描きこんでいる。『YAWARA!』がアニメ化されたとき、演出のときたひろこさんに『この作品は何がいいって、登場人物が全員違う方向を向いているのがいいわね』と言われたんですが、確かにぼくが描く人物たちは、同じことをやっていても、みんな目的はバラバラ。だけど、そういう人物たちを描きこんでいくのが、ぼくは楽しいんですよ」




漫画

ダヴィンチ編集部編、メディアファクトリー、1998年刊

<「BOOK」データベース>より
【目次】
第1章 人気ランキングから広げるコミック連鎖反応/第2章 マンガおもしろ分析&マンガ家インタビューから広げるコミック連鎖反応/第3章 あの作家あの作品から広げるコミック連鎖反応

<大使寸評>
この本は「ダヴィンチ」96年7月号~98年3月号の掲載記事を主に編集されていて・・・
当時の大使は漫画をあまり読んでいなかった時期なので、やや浦島太郎の感を覚えたわけでおます。
(だいたい「ダヴィンチ」という雑誌があることを知らなかったけど)

でも、この本では松本大洋ロングインタビュー、浦沢直樹スペシャルインタビューなど載っていて、もろに大使のツボを突いています。

一億人の漫画連鎖






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Last updated  2016.07.31 15:40:38
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