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2016.08.13
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カテゴリ: アート
図書館で『妄想人生』という本を手にしたが・・・・
器用貧乏にも見える島田さんの遍歴あるいは秘密を見てみたいと思ったわけです。



島田

島田雅彦著、毎日新聞社、2005年刊

<「BOOK」データベース>より
夢見るオジサマになるために。あなたの妄想脳を鍛える気宇壮大のススメ。

<読む前の大使寸評>
器用貧乏にも見える島田さんの遍歴あるいは秘密を見てみたいと思ったわけです。

amazon 妄想人生


二大文字文明衝突の現場でもある<漢字>のあたりを見てみましょう。
p75~78
<漢字ユーザーの憂鬱>より
 今日のように英語が世界を制覇してしまうと、マイナー言語は急速に消滅の道を辿る。現在、6千あるといわれる言語のうち半分は21世紀中に消滅するといわれる。日本語や中国語はユーザーが多いから、安泰かというと、そうともいい切れない。

 言語が生き延びられる条件とは、それを用いて書く人がおり、かつそれを読む読者がいるということである。また、それを話し、読む人がいなくなったら、言語は消滅する。言葉は突然滅びるのではなく、儲からない言葉、邪魔になる言葉を少しずつ捨てながら、弱くなってゆくのである。同じ日本語を喋っていても、まったく気持ちが通じないという事態が繰り返されるうちに弱くなるのである。現在、日本語の危機を叫ぶ人々が、いくらおくゆかしい日本語の復活を望んでも、それに見合った生活様式が消えてしまった以上、死語が累々と積み上げられるだけであろう。

 むしろ必要とされているのは、とても平易だが、さまざまなニュアンスが絡まった言葉によるコミュニケーション文化をつくることだろう。結局、日本語の問題は、日本人の感情の問題で、感情はいつも日本人の行動・言語と結びついている。感情表現の共通化と洗練を同時にやらないと、同じ日本語でも通じなくなる。

 日本人はどんな時に快楽を感じるのか、どんな時に義憤に駆られるのかというような、喜怒哀楽とストレートに結びつくような研究、喜怒哀楽と日本語の研究をやっていくしかない。

 たとえば、恋愛は、文学でも言語表現が最も豊かになるジャンルだ。感情が一番よく働く営みが恋愛だとすれば、その恋愛の倫理を言語と結びつけるかたちで洗練させていくのは、言語を守る一つの手段にある。和歌や『源氏物語』を引き合いに出すまでもなく、日本語は性愛を洗練させていく手つきの中で最も豊かになってきたのだから。

 効率優先の社会では何事も結論を急ぐ。結局、何をいいたいのか、それを知るには、どの本を読むのが一番手っ取り早いのか、学生もショートカットばかり求めてくる。だが、認識に辿り着くまでに悶々と悩む時間がないと、個々の言語は洗練されないということもある。悶々を終始一貫味わい尽くしたあとの言語表現にはカタルシスがあり、普遍性が出てくる。小説の現場でも、悶々のプロセスが楽しいのであって、いきなりショートカットで結論に達してしまう作品には、あまり楽しみ、喜びがない。

 だが、それなりにニュアンスに富み、資本主義に関与し、スピーカーも多い日本語が英語のように普及しないのは、やはりあのしち難しい漢字があるからである。明治時代には日本語をローマ字表記しようと考えた森有礼のような人もいた。石川啄木が残した『』は非常に読みづらいが、1ヵ月もすれば、慣れるだろう。

 日本語がトルコ語みたいにローマ字表記になっていたら、今よりは世界に流通し、学習者も増えていたかもしれない。もちろん、その場合は明治末期生まれの人から日本人は一切漢字を理解できない民族になっている。覚えるのは大変だが、忘れるのは簡単だ。かつて漢字文化圏にあった韓国も、ベトナムももはや漢字表記に戻ることはできない。

 ところで、これを書きながら、ふと気付く。何のことはない、私は今まさに日本語をローマ字表記で打ち込んでいる。ローマ字のキーボードを叩いて、かなや漢字に変換している。日本語の表記は電脳がやっているのであって、私の作業自体はローマ字で行っている。

 結果的に現在に至るまで漢字にしがみついている日本語は、究極の選択を迫られ続けているともいえる。英語や日本語の音感に慣れ親しんだ日本人は、音の組合せによって、言葉を固定していこうというアルファベット言語と同じ方向へ進むだろう。他方、書物を通じて日本語に親しんできた日本人は、意味を単位にした文字、漢字を維持していこうという方向に進む。しかし、識字率が十分高く、いまさら近代化を唱える必要もない日本では最後まで漢字が残るだろう。


日本語がローマ字表記になっていたら、ベトナム語やトルコ語のような言語になっていたのか・・・
なんか、今よりは確実にバカになっているような気がするけど(笑)

このところ、砂漠つながりで以下の島田雅彦さんの本をよんだが…
なんかミニブームの感があるのです。
『妄想人生』1
『退廃礼讃』
『ミス・サハラを探して』





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Last updated  2016.08.13 00:29:12
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