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2016.08.27
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カテゴリ: アート
図書館で『小村雪岱 物語る意匠』という本を手にしたのです。
小村雪岱の版画と装丁による本は、宝石のように美しいのだが・・・この本の装丁もまあまあでんな♪



小村

大越久子, 埼玉県立近代美術館、東京美術、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
小村雪岱は、大正から昭和の戦前期にかけて、装幀、挿絵、舞台美術など、多彩な分野で名を馳せた美術家です。本書では、雪岱の仕事に共通する天性の魅力を「意匠」ととらえ、その才能を最も開花させた装幀と挿絵の世界を中心に紹介します。
【目次】
1 鏡花本の世界/2 ふたりの女おせんとお傳/3 装幀の仕事/4 挿絵の仕事/5 雪岱のわすれがたみ

<読む前の大使寸評>
小村雪岱の版画と装丁による本は、宝石のように美しいのだが・・・この本の装丁もまあまあでんな♪

rakuten 小村雪岱 物語る意匠


p14~15
<雪岱と鏡花>
 妖美と幻想の文豪、泉鏡花は雪岱にとってまさしく運命の人であった。「雪岱」の画号を授けたばかりでなく、装丁家、挿絵画家への道を開き、美的感性を磨く場を与えた。鏡花なくして雪岱を語ることはできない。

 鏡花より14歳年下の雪岱は、美術学校在学中にその作品を初めて知り愛読者になった。卒業制作においてすでに、鏡花の小説「春昼」を主題にしている。知人宅で思いがけなく出合った日のことを、「それはそれは色の白い小柄な、丁度勝気な美人が男装をした様な方で、私は全く驚いて仕舞いました」と回想している。明治40年頃のことである。

 その鏡花が大正3年、書きおろしの単行本『日本橋』の装丁者に無名の雪岱を抜擢した。そもそも初めての装丁の仕事である。どれほど嬉しかったか知れないが、書き終えるまで題名を知らされず、「日本橋」と聞いて大急ぎで表紙を描き直した。それは、隅田川を行き交う荷船と白壁の並蔵に蝶が乱舞する、白昼夢のような光景。

日本橋

 見返しには、花街の四季の風情。小説の舞台となった日本橋界隈のたたずまいは、日本橋檜物町で青春を送った雪岱にもとりわけ親しいものであった。清廉な出来栄えに焦りや緊張の様子は微塵もない。この初仕事がたいそう評判となり、雪岱は装丁家として一躍注目されるようになる。

 以来、「総じて泉先生の作物を絵にする事は非常に困難で、あの幽玄な風格を表すのは全く至難な業です」としながらも、鏡花の磨き抜かれた言葉の一つ一つをすくい上げるような情趣で視覚化し、その後に刊行された著作の大半を美しい意匠でしつらえた。名コンビなどと呼ばれたら雪岱は恐縮するに違いないが、その装丁は本の宣伝にも謳われたほどで、今日もなお雪岱の手になる鏡花本は古書愛好家の垂涎の的である。

 花街や下町の風情を愛したこと、幼くして別れた母への追慕が創作の源泉の一つであったことなど、二人の感性には共通点があり、雪岱は鏡花の清澄なロマンティシズムに深く共鳴した。また、雪岱は鏡花の作品世界をよく理解しただけでなく、極度の潔癖性で一風変わったその性癖にもうまく寄り添って、終生親交を重ねた。

 二人の交流が深まるにつれて、雪岱の世界もどんどん広がっていく。鏑木清方、水上瀧太郎、久保田万太郎ら鏡花を敬愛する者たちが集う親睦会、九九九会で粋人たちと交流することで、彼らの著書をはじめとして、装丁の依頼が増えた。人気挿絵画家への道も、九九九会の仲間の一人である里見淳が、新聞連載小説「多情仏心」の担当に雪岱を起用したことに始まる。

 会にちょくちょく呼ばれた芸妓の中には雪岱が描く美人画のモデルとなった者もいたし、何よりも『日本橋』で描かれた主題や構図は、その後も変奏曲のように雪岱の様々な作品の中で繰り返され、その作風を特徴づけるものとなった。

雪岱1

雪岱2

雪岱3

小村雪岱の画像 より






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Last updated  2016.08.27 10:43:34
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