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2016.09.17
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カテゴリ: 歴史
図書館で『海を渡ったモンゴロイド』という本を手にしたのです。

たまたま、中尾佐助著『栽培植物と農耕の起源』を読んだあとなので・・・
渡来人が日本文化に与えた痕跡を、この本で読んでみたいと思ったのです♪



モンゴロイド

後藤明著、講談社、2003年刊

<「BOOK」データベース>より
紀元前に千キロ単位を航海し、太平洋の島々に移住した人々とは。そして、彼らと我々の驚くべき関係とは。遺伝子、言語、遺跡、そして神話に残された痕跡を縦横に読み解き、広大な大洋を渡った「海人」の実相に肉薄する。
【目次】
序章 ボエッジ・オブ・リディスカバリー/第1章 海人の民族学ーアジアの海浜にて/第2章 海人の黎明ースンダランドからオセアニアへ/第3章 海人の始動ーオーストロネシア系海人の登場/第4章 海人の展開ー未知の海域へ/第5章 海人の精華ーポリネシア人のからだとこころ/第6章 海人の戦略ー移住の戦略と航海術/第7章 海人の小宇宙ーシンボルとしてのカヌー/第8章 海人日本へ、そしてアメリカへ/終章ー海人論から学ぶもの/補章 比較言語学と歴史言語学

<読む前の大使寸評>
たまたま、中尾佐助著『栽培植物と農耕の起源』を読んだあとなので・・・
渡来人が日本文化に与えた痕跡を、この本で読んでみたいと思ったのです♪

rakuten 海を渡ったモンゴロイド


海人の日本到来あたりを、見てみましょう。
p230~232
<列島の黎明期>
 アジアに進出した新人類は、移動をする民であった。彼らは、数万年前、オーストラリアやニューギニアへと渡海した。日本列島では、確実なところでは今から3万年ほど前、旧石器時代の遺跡が存在する。日本列島は大陸に近いのでもっと古い遺跡はあると思うのだが、それは今後の調査に期待しよう。

 南方に限れば、鹿児島県の種子島や徳之島では旧石器時代の遺物が発見されている。旧石器時代に人類が島づたいか、あるいは、氷河期に陸橋になった琉球列島やトゥンハイランドを移動してきた証拠であろう。徳之島の遺跡は2万~3万年前のものである。

 琉球列島において、それ以外の旧石器時代の証拠は人骨である。日本の確実な最古の人骨とされる港川人である。これは沖縄本島で発見された化石人骨だ。その年代は2万年前である。この人骨の特徴は、スンダランドの古モンゴロイドの形質を受け継ぎ、彼らと縄文人の橋渡しになると考えられている。

 最終氷河期が終わり、日本が完全に島になったのが、今から1万2000年ほど前のことである。そのとき花咲いたのが縄文文化である。日本列島の地理的特徴を考えると、縄文文化には北からあるいは朝鮮半島から、いろいろな影響が及んだと思われる。さらに海を越えて、南方から文化が及んでいた証拠もある。

 たとえば鹿児島県のカコイノ原遺跡や上野原遺跡だ。今から1万1000年から9500年前の縄文時代の遺跡である。これらの遺跡からは、オーストロネシア世界に広く分布する丸鑿型の石斧や、石蒸し料理の跡が発見されている。丸鑿型石斧は、手斧としてカヌーのように木を彫りぬく道具と考えられている。また石蒸し料理とは、主にオセアニアの民族が行っていた調理法だ。

 さらに、上野原遺跡からは大きな壷型土器が出土している。主に弥生時代に出土し、用途的には穀物の貯蔵用と考えられている土器形式である。遺跡では土中のプラントオパール(植物珪酸体)の分析により、アワ、ヒエ、ジュズダマのような雑穀類が利用されていたのではないか、と推測されている。

 これらの雑穀には、台湾周辺のオーストロネシア民族が持っていたとされる種類が含まれている。遠くオセアニアで後にポリネシア人を生み出した海人文化が、日本列島にすでに及んでいた可能性があるのだ。

 縄文時代の日本にオーストロネシア系文化が及んでいた、とする研究者は少なくない。たとえば神話学者の吉田敦彦は、神話論的な立場から縄文土偶の謎に迫っている。長野県の釈迦堂遺跡で出た土偶が、意図的に壊されるために作ってあったことに吉田は注目している。これは『古事記』のオオゲツヒメ神話のように、神は死ぬことによってその体から作物を生じた、とする信仰に基づく儀礼であると考えられている。すなわち「死体化生型神話」であり、東南アジアやオセアニア、さらにアメリカ大陸などにも色濃く分布する形式の神話である。吉田はこの神話が、縄文時代に、オーストロネシア系ないし先オーストロネシア系文化とともにもたらされた文化要素である、と考えている。

<「海上の道」論の真の意義>
 柳田国男はその独創的な着想によって晩年に名著『海上の道』を著わした。この著作は日本人の起源に関するものである。ここで彼は、日本人の祖先は、稲を携えて、琉球列島を伝って日本列島に到来したと考えたのだ。

 稲作は揚子江流域に起源を持つが、中国南部から直接に北九州へ、あるいは朝鮮半島を経由して北九州へ伝播した、というのが現在の定説である。したがって、琉球列島沿いに今われわれが食べている米(ジャポニカ型)が入って来た、という柳田の仮説は今は受け入れられていない。

 しかしその後、幾人かの研究者が柳田の「海上の道」論のアイデアを発展させてきている。たとえば、熱帯性のジャヴァニカ型の米、あるいは、米以外の文物がこのルートで日本列島に入ってきたということは十分あり得るからである。柳田がジュズダマに注目していたことも有名だ。


『海を渡ったモンゴロイド』1





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Last updated  2016.09.17 07:50:49
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