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2016.09.25
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カテゴリ: カテゴリ未分類
図書館で『明日は、いずこの空の下』という本を手にしたのです。
獣の奏者や精霊の守り人の著者ということもさることながら・・・
大使の場合、オーストラリアのアボリジニとの交流のエピソードが興味深いのです。


【明日は、いずこの空の下】
明日

上橋菜穂子著、講談社、2009年刊

<「BOOK」データベース>より
17歳の夏、初めて旅したイギリスとフランス、フィールドワークで訪れた沖縄やオーストラリア。そして海外旅行で訪れた国々…物語が芽吹く土壌となった旅のエッセイ。国際アンデルセン賞受賞記念出版!

<読む前の大使寸評>
獣の奏者や精霊の守り人の著者ということもさることながら・・・
大使の場合、オーストラリアのアボリジニとの交流のエピソードが興味深いのです。

rakuten 明日は、いずこの空の下


アボリジニとの交流の一端を、見てみましょう。
p91~94
<場違いな人>
 深夜の道路脇に、赤ん坊を抱いた若い女性がひとり、ぽつんと立っていたら、かなり怖い光景になりそうですが、たとえ真っ昼間でも、周囲数百キロ人家がない大自然の只中で、そんな光景を見かけたら、思わず目を疑ってしまうものです。

 アボリジニの友人たちとキャンプに行った帰り道でのこと。深い森の中に延々と続く赤い土の道を四輪駆動車で走っていたとき、赤ん坊を抱いて、ぽつんと道端に立っている白人の女性に出くわしました。

 ちょっとハイキングに来たという感じのTシャツとジーンズの軽装で、赤ん坊を胸に抱いていた彼女は、私たちの車が傍らに止まると、心底ほっとした顔になって、
 「神様ありがとうございます!ああ、たすかった!ピクニックに来たのだけれど、川縁で車がスタックしちゃって」
 と、助けを求めてきたのです。

 車がスタックする、というのは、ご存知のとおり、車が何かに乗り上げたり、はまったりして、タイヤが空回りし、動けなくなってしまった状態を言うのですが、彼女と赤ちゃんを車に乗せて川まで下りてみると、いかにも都会風のピカピカのセダンタイプの車が、川縁の泥の中で見事にスタックしていました。

 車の中には、彼女の夫とおぼしき白人男性がひとり、しきりにアクセルを踏んでタイヤを空回りさせては、盛大に泥をはねあげています。
 アボリジニの友人たちが車から降りていき、しばらく状況を調べていましたが、やがて、「こっちの車と、そっちの車を針金で繋いで引っ張ってやるから、おれたちが合図したらアクセルを踏めよ」と、その旦那さんに指示して、戻ってきました。

 四輪駆動車の後ろにくっついている台車などを連結する金具と、セダンのバンパーを針金で繋いで、「いっせ~のせ!」という感じで引っ張ったのですが、何度やっても針金がぶち切れるだけで、セダンは泥の中から抜け出せません。

 40度近い暑さの中で、みんながへたばりはじめた頃、私はふと、あることに気づきました・・・・セダンに乗っている男性の体格です。どう見ても百キロは軽く超えている、お相撲さん体型の彼が運転席に乗っているから、針金では引っ張れないのではないか、と思い、
 「あの・・・私がアクセル踏んでみてもいい?」
 と、声をかけると、男らはみんな、え?という顔で振りかえりましたが、すぐに全員、私が敢えて口にしなかった理由に思い当たったようで、代わってやってくれ!と、白人男性を運転席から出して、私を座らせてくれたのでした。

 どうなったと思います?いや、もう、実に簡単。「いくぞ!」の声に合わせて、アクセルをめいっぱいに踏むや、車は跳びだすようにして泥地から解放されました。

 何か、ちょっと映画みたいだったな、と、私はけっこう興奮していたのですけれど、真っ赤な顔に汗をたらたらかいて、「いや、たすかった。ありがとう」と言っている男性と、うんざりした顔の奥さんに手を振って別れたあと、アボリジニの友人たちは、しきりに、ブッシュの中に、あんな都会用の車で入ってくるのが間違っているんだ、赤ん坊まで連れてて、冗談じゃねぇよ、おれたちが通りかからなかったら死んでるぜ、と怒っていました。

 彼らの怒りはもっともで、オーストラリアでは、原野に出れば、あたりには家もガソリンスタンドもない状態が当たり前。油断して、用意を怠れば、容易に命を奪われる危険が生じるのです。

 あの車がスタックしていた場所も、周囲百キロぐらい人家などありませんから、ほんとうに偶然、私たちが通りかからなかったら、あの太った旦那さんでは、とても助けを求めに行けなかったでしょう。

・・・いや、ワイルドなお話ですね。

上橋さんは、この本を出したあとに『隣のアボリジニ』という本も出しています。
人類学の研究者という側面もあるわけで・・・ええでぇ♪

【隣のアボリジニ】
アボリジニ

上橋菜穂子著、筑摩書房、2010年刊

<「BOOK」データベース>より
独自の生活様式と思想を持ち、過酷な自然のなかで生きる「大自然の民」アボリジニ。しかしそんなイメージとは裏腹に、マイノリティとして町に暮らすアボリジニもまた、多くいる。伝統文化を失い、白人と同じように暮らしながら、なおアボリジニのイメージに翻弄されて生きる人々。彼らの過去と現在をいきいきと描く、作家上橋菜穂子の、研究者としての姿が見える本。池上彰のよくわかる解説付き。

<読む前の大使寸評>
アボリジニといえば、自然人、岩絵を描くアーティストというイメージがあるのだが・・・
上橋さんが報告する現代のアボリジニが興味深いのです。

<図書館予約:(5/03予約、5/24受取)>

rakuten 隣のアボリジニ
隣のアボリジニ byドングリ






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Last updated  2016.09.25 00:07:51
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