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2016.09.27
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カテゴリ: 自然・環境
図書館で『樹木の文化史』という本を手にしたのです。

この本では第2部の樹木譜(バオバブ/カバノキ/カジノキ/ツゲ/シーダー ほか)が、画像にあふれ充実している。『沙漠の事典』という本でアフリカビャクシンの話を読んだ後なので、借りた次第でおます。



樹木

フランシス・ケアリー著、柊風舎、2016年刊

<「BOOK」データベース>より
樹木は人間と、自然、神とを結びつけるものであった。世界最古の文学『ギルガメシュ叙事詩』には天を衝き抜くようなレバノン杉の森が神々の世界とされ、ウェルギリウスの『アエネーイス』の主人公も森の不思議な力に魅了され、南アジアの叙事詩『ラーマーヤナ』でも森が重要な空間となっている。大英博物館所蔵の樹木の標本帳や標本箱、スケッチ、水彩画、工芸品などを通して、われわれの歴史に樹木がいかに重要な意味を持ってきたのか、科学と芸術、旅行と交易、詩文と散文、神話や宗教など、裾野の広い文化史の一部として読み解く。

<読む前の大使寸評>
この本では第2部の樹木譜(バオバブ/カバノキ/カジノキ/ツゲ/シーダー ほか)が、画像にあふれ充実している。『沙漠の事典』という本でアフリカビャクシンの話を読んだ後なので、借りた次第でおます。

 著者は大英博物館の幹部だったことだから、イギリス人が描く文化史ということになります。

rakuten 樹木の文化史

菩提樹ブッダガヤの菩提樹

イチジクを見てみましょう。この木はキリスト教やヒンドゥー教、仏教に関係が深いことが興味深いのです
p152~162
【イチジク(Ficus)】
 イチジクは多くの種類がアフガニスタンから南ヨーロッパに自生し、とりわけ食用イチジクの栽培は4000年以上前から記録に現れていて、プリニウスの『博物誌』には29の品種が言及されている。「上質とされたイチジクは乾燥され、箱に収めて保存される。最高で最大なものはイビサ島で採れる」今日の食用イチジク生産国には、エジプト、トルコ、シリア、アルジェリア、モロッコ、アメリカ合衆国などがある。

 聖書では、エデンの園で名前が挙げられた唯一の木で、イチジクの、太い指をもつ手のひらのような葉は、善悪を知る木の実を食べたアダムとエバが、つなぎ合わせて「腰を覆うもの」にした。原罪とこのようなつながりを持つことで、キリスト教の書物ではイチジクの評判に影がさしている。新約聖書では実をつけないイチジクの木が信仰の足りないたとえにされ、またキリストが実をつけていないイチジクを「枯らす」ことで信仰の力を示す証拠にされている。何より不幸だったのは、イエスを裏切ったユダの自殺に結びつけられたことだった。
(中略)

 エジプトイチジクは、主に熱帯アフリカ、ナイル川流域、そして紅海沿岸からイスラエル、ヨルダン、イエメン、オマーンに自生し、古代エジプトではもっとも有用で神聖な樹木の一つだった。木陰と果実と材木が珍重され、死者の書などによく登場するこの木は、家具の製作に使われ、テーベにある第18王朝の墳墓では壁画や供物台に描かれていて、ツタンカーメンをはじめとして、死者に供えられた食べ物の中にも見つかる。エジプトイチジクの果実は、早く熟させるために切り込みが入っていてふつうのイチジクと見分けがつく。
(中略)

 このようなイチジクの木、とりわけベンガルボダイジュに対してヨーロッパ人が与えた名前は「バンヤン」だ。これはグジャラート語で商人を意味する「バンヤ」を写したもので、インドの商人たちがこの木の木陰で取引を行ったことに由来する。ヒンドゥー教の行者で賢者(サドゥー)と呼ばれる人々にとっては瞑想を行う神聖な場所だった。トマス・ハーバーは1634年に、「この宗派はこの木を崇め、絹のリボンなどの吹き流しでこれを飾る者がいる」と書いている。

 バンヤンの中でもっとも広く尊敬されるのはインドボダイジュで、サンスクリットではピーパルの木またはアシュバッタ、仏教では菩提樹と呼ばれる。インドで木が描かれたもっとも古い例はピーパルのもので、インダス文明の印章に表されている。ヒンドゥーの哲学と宗教の基本文書であるヴェーダやウパニシャッドにも登場している。ピーパルがいかに大切にされたかというと、この木を切り倒すことはバラモン、聖職者階級の人物を一人殺すのと同罪とされていた。

 仏教徒にとって菩提樹と言えば仏陀の瞑想と悟りで、これは紀元前6世紀の終わりに北東インドのブッダガヤ、すなわち「悟りの地」と呼ばれるようになった場所の、この木の下で起きたこととされている。

 今は仏陀の生涯に関わるいちばん重要な巡礼地となっていて、アショーカ王建立と伝えられるマハーボーディー寺院と聖なる菩提樹がある。この菩提樹は、スリランカのアヌラーダプラにあった初代の菩提樹の子孫と伝えられる木からの挿し木で育てられたものである。


『樹木の文化史』1
『樹木の文化史』2





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Last updated  2016.09.27 00:00:53
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