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2016.10.09
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カテゴリ: 歴史
図書館に予約していた『料理の起源』という本を、待つこと4日でゲットしたのです。
このところ、中尾佐助氏の著書をフォローしているのです。まあ、ツボなんでしょうね♪


料理

中尾佐助著、吉川弘文館、2012年刊

<商品説明>より
全世界の家庭で日常行なわれている食糧の加工・料理に、初めて学問的なメスを入れる。日本の食文化の「深層」に迫った名著!

<読む前の大使寸評>
このところ、中尾佐助氏の著書をフォローしているのです。まあ、ツボなんでしょうね♪

<図書館予約:(10/04予約、10/08受取)>

amazon 料理の起源


味噌や納豆の原料としてのマメ類を知りたいということで・・・・
第5章「豆の料理」を見てみましょう。

<マメは煮えにくい>
 マメ類は穀物に比べると、いろいろ特色がある。マメ類には穀物とちがって、貯蔵栄養分として、澱粉の代わりに、油分が多くなっていることは、一つの特色である。またマメは穀物より蛋白質に富んでいて、食糧として価値が高い。

 これらは化学分析技術などが最近発達してきたことによって、明快になってきたことであるが、古代人にとって、マメ類は穀物と料理上大きくちがっている点が一つあった。それは穀類澱粉は水を加えて加熱すれば容易に食べやすく、消化しやすいのに対し、マメ類は水を加えて煮てもなかなか軟らかくなりにくいことである。マメ類は野生から栽培植物となり、高度の品種となるほど、一般に煮やすい形態に変化発達してきていると了解できよう。

 概論的に言えば、マメ類は穀類よりも加工、料理に高度の技術が必要な食品ということができる。マメの料理法はこの点からながめるのが一番適当であろう。マメ類の料理法として一番簡単なものは、マメを火で炒ってこげめをつけるだけである。

 日本の節分の日にまく大豆はそうしたものであるし、またソラマメにもこんな加工がある。チベット人はエンドウ、ソラマメ、ダイズ(ヒマラヤ中腹産)などの炒ったものをツァンパとともに旅行用食糧として持ち歩いているのを、私はしばしば見たことがある。

 日本やチベットで出会ったこの炒ったマメは、非常にかたくて、食べにくい食品と言ってよいだろう。おそらく歯の丈夫な原始生活をしている人にとっても、炒り豆をたくさん食べることは困難であろう。これはもう、口のさみしさをまぎらわす食品といった程度のもので、マメが本格的に料理されているものとは、ちょっと考えがたいものである。

 今日の改良されたマメ類でも、台所で水とともに煮て軟らかなマメにすることは相当にむつかしいか、あるいは時間がかかる。煮豆をつくることは米を炊くよりずっと面倒なものであることは主婦は誰でも知っているだろう。

<ナットウの大三角形と味噌> p106~109
 ジャワのテンペ、ヒマラヤのキネマ、日本のナットウの三つは、今のところはっきりしたナットウの三例である。ここで言うナットウとは、浜納豆、大徳寺納豆のように、ダイズを煮て、塩味をつけて発酵させたものではない。ただし発酵菌の種類は同一とはいえない。無塩のナットウを問題にしているのである。中国におけるナットウ状のものは、いまのところ加塩発酵のものしか判っておらず、無塩のナットウの所在はわかっていない。

 しかし日本、ヒマラヤ、ジャワのナットウの存在が偶然の一致でなく、もしどこかからこの三地域に伝播したと仮定すれば、おのずからその仮定中心地は雲南省あたりに求めらることになるだろう。そうなると、これら地域間の文化的共通性が予測されることになるだろう。その範囲は、当然ナットウを指標とすると、日本、ヒマラヤ、ジャワを結んだ三角形の地域になる。メルカトール図法の地図上にこれら三地点を頂点とした三角形を書き、これらをナットウの大三角形とよぶことにしよう。

三角ナットウの大三角形

 日本の糸引きナットウの歴史はよく判らない。コンニャクは平安朝の文書には明らかに出てくるが、糸引きナットウの確認はできない。日本では室町時代に糸引きナットウがあらわれるので、これはもしかしたら、その頃にジャワから日本に伝来した可能性があると推測される。つまり当時ポルトガル人が活動して、鉄砲やカボチャが南蛮物として日本へ導入されたが、糸引きナットウもその一つとしてジャワから日本へ入ったものかもしれない。

 これに対して、加塩された大豆発酵品は中国でも日本でも古くから存在し、これは味噌、醤油、タマリなどの一群をつくる加工品になる。これらは中国でも日本でも歴史的に変遷がある程度わかっており、複雑、膨大な加工食品群となっている。それらをここでは、ナットウに対してミソ群として一括しておくことにする。

 ミソ群はナットウの大三角形の圏外となる華北で大発達し、華中から日本、朝鮮を含んだ地域に分布いている。この地域内では味噌、醤油、加塩納豆の類がともども見られる。(中略)

 ミソ楕円をつくりあげたのは、華北の文化であり、いわゆる中国文化の産物といってよい。しかしナットウの大三角形の成立については、同じ起源のものと考えにくい。この大三角形の中には、本来華北中国的と異なる文化要素が多く見出される。コンニャクはその一例であり、ほかにスシがまたこの三角形内にある。また酒に関しては、主としてコージを用いてシコクビエを濡れた状態で発酵させ、壷に入れて熱湯をそそぎ、竹の長いストローで吸って飲む型の酒がある。これはヒマラヤ地域ではチャンの名のもとに普及しており、チベット族も多く飲用している。この型の酒がボルネオまであって、その分布は大三角形の一つの底辺にほぼ一致している。

 ナットウの大三角形の中にはこのように複雑な連帯性が存在するが、それを一元的に説明するには、おそらく、雲南あたりに中心のあった照葉樹林文化の開発した文化要素が、南流して東南アジアにいたり、一方西はヒマラヤ、東は日本へと伝播したとすれば、説明できるであろう。 


目からウロコが落ちるナットウ論、照葉樹林文化論ではないか・・・
文化は中華、朝鮮を経て到来するという固定観念をぶち破る中尾さんの論調がええなぁ♪








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Last updated  2016.10.09 08:36:42
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