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2016.10.13
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カテゴリ: カテゴリ未分類
図書館で『アジア新聞屋台村』という本を手にしたのです。
おお 高野秀行さんの本やないけ♪
高野さんの本なら、絶対に外れはないはずである♪・・・大使が断言します。



アジア

高野秀行著、集英社、2006年刊

<「MARC」データベース>より
ワセダ三畳間にくすぶっていたタカノ青年、突然、新聞社の編集顧問に迎えられて…本邦初!自伝仕立て“多国籍風”青春記。

<読む前の大使寸評>
高野秀行さんの本は絶対に外れはないはずである♪・・・大使が断言します。

高野さんの初期の著作であり、まだ「間違う力」が育つ前なので、わりと真面目な直球勝負になっているようです。

rakuten アジア新聞屋台村


この本に出てくる人物で不可解で魅力的な人といえば、何といっても劉社長である・・・その辺りを見てみましょう。

<かりそめの蜜月>
 ある日、私たちは互いにまったくやる気がないまま、「会議室」で雑談していた。
 どういう経緯か思い出せないが、「日本人は失敗を許さない」とかいう話題になった。
 「小さい失敗も許せないから、みんな、失敗しないように小さくまとまる。これじゃ、画期的な発想なんかは生まれない。ビジネスだって、なんでも日本人向き。画一的。世界に広がらない。商売が下手で、やり方もつまらない」

 私がそう言ったのは無意識的に桜田軍団に対する反発があったのかもいれない。こんな話を劉さんに言えば「全身オリジナリティ」の人だけに「ソウヨ、そうよ!」と同意するに決まっている。失意に沈みっぱなしの私としては、劉さんの同意で傷を癒してもらいたかったのかもしれない。

 ところが、劉さんは意外にも「それはちがう」と言った。
 「あのね、やっぱり国民性とか民族性とかあると思うの。はっきり言って日本人は商売が下手。発明にも向いてない。でも、それでいいじゃない。日本人は失敗が嫌いって言ったけど、それは日本人が職人だから。モノを作らせたら世界で日本人がいちばん。職人に発明や商売させたって無理よ。
 商売は中国系がいちばん。発明は欧米系がいちばん。だから、発明は欧米系に任せて、それを商品にするのを日本人がやって、できた商品は台湾人が売ればいい。それがこれからの、なんだっけ、・・・あ、そうそう、グローバリズムよ!」

 「おお!」私は思わず感嘆の声をあげてしまった。
 そういう見方をするか、劉さん。「日本人が固定観念に縛られている」と言おうとしていたのだが、劉さんによれば、私のそういう日本人観が固定観念に縛られていることになる。

 いつの間にか「中国系」が「台湾人」にすりかわっていたし、最後の「グローバリズム」もとって付けた感があったが、さすがは劉さん、どこでも聞いたことのない「日本人論」である。

 たしかに日本人の異様な細かさ、まじめさ、責任感は「職人」の一言でずいぶんと説明がつく。最近では失望することが多く、劉さんを過小評価する傾向にあったが、今日ばかりは初めて出会ったころの鮮烈なイメージを思い出させた。

 そうなのだ。劉さんの話は、独創的でひじょうにおもしろいのだ。
 こんなおもしろい人に他人の記事を解説させるのはもったいない。彼女自身に語ってもらったほうがいい。
 私は突然、新しい企画を思いついた。

 劉さんはジャッキーという愛称を持っている。
 「ジャッキー劉の『ここが違う!日本人と台湾人』ていうのをやろうよ」私は提案した。 「劉さんは日本も台湾も両方よく知ってるんだから、そのちがいとか、日本人には想像できない台湾人の習慣や考え方をしゃべってよ。ぼくがそれを書くからさ」
 劉さんは提案に飛びついた。もともと、しゃべるのは好きだし、なにより台湾記事の翻訳・解説をやらないで済む。

 こうして突発的に新企画が始まった。こういう、その場で新しいことができてしまうのがエイジアンの真骨頂であり、私は久しぶりに興奮していた。
 その日、「第1回」として聞いたのは、「日本人の夫婦と台湾人の夫婦のちがい」だった。第1回目からめちゃくちゃおもしろい。
 劉さんが言うには、「日本人の男性ほどかわいそうな人はいない」。

 だって、そうでしょ? 外で死ぬほど働いたあげく、定年になればゴミ扱い。リストラでもされたら奥さんに冷たくされるし、離婚されることだって珍しくない。

 だいたい、日本人の夫婦はほんとうに愛し合っているのかなって思う。夫は外で働き、妻は家の中。職場の分担みたい。週末、夫が家族を連れて遊びに行くのが「家族サービス」と呼ばれているのも台湾人には信じられない。

 家族みんなで遊びに出かける。こんな幸せなことはないのに、それが「サービス」なの?その点、台湾人の夫婦はもっと情が深い。徹底的に助け合う。
 台湾人女性の多くが仕事をもっているのは、結婚して縛られたくないからという理由じゃない。「私も頑張って稼いで、家計に貢献しよう」という思いがあるからなの。


ウーム、この本が発刊された2006年当時といえば、フォックスコンのシャープ買収のバの字もない頃だと思うが、グローバリズムを見つめる劉社長の目は節穴ではないようですね。
少なくとも日本の経産省官僚の経済的センスより上だったと、大使は思うのですが。

『アジア新聞屋台村』1





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Last updated  2016.10.13 00:08:04
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