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2016.12.04
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カテゴリ: アート
<『戦争画とニッポン』2>

戦争画といえば、その存在自体がキワモノあるいは傍流であるが・・・興味は尽きないのです。



戦争画

椹木野衣×会田誠著、 講談社、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
70年目の「戦争画」と向き合う。たんなる研究や評論だけでは決して割り切れない、絵描きならではの宿命。
【目次】
太平洋戦争の記憶/暗い叙情/70年目の「戦争画」/やさしい戦争画/藤田嗣治の巨視的視点/裸婦と戦争画/画家たちの歴史/近代の超克/頭蓋骨が描けないと/肉が足りない/国家とモニュメント/美術家の節操/戦争画のDNA/もうひとつの戦争画ーある画家の絶筆を訪ねて/再録 陸軍派遣画家ー南方戦線座談会/作品解説

<読む前の大使寸評>
戦争画といえば、その存在自体がキワモノあるいは傍流であるが・・・興味は尽きないのです。

rakuten 戦争画とニッポン


草間1草間彌生のかぼちゃ

クールジャパンが語られているので、見てみましょう。
p91~94
<国家のモニュメント>
会田: 安倍首相のそれは「クールジャパン」とかですかね?確かに何かモヤモヤする話ではあります。

椹木: さしずめ、「恥ずべき過去としての戦争画vs今いちばんいけてるクールジャパン」という構図でしょうかね。ご存知の通り、文化庁の短中期目標に「現代美術の支援」という言葉が初めて入ったりしていますから、そういう政策的な背景もあるのだと思います。

 言い換えれば、クールジャパンで日本の現代美術も、ようやく国のお墨付きが得られつつある。しかも、草間彌生さんがその後、首相官邸を表敬訪問したりしている。草間さんは若くしてアメリカにひとり渡り、母国からはっきりと距離を取った人です。本来なら、日本の文展以降の国家による褒賞の枠組みから全く外れていたはずです。ところが最近では国内の褒賞攻めでしょう。

 勝手な憶測ですが、いずれ草間彌生に文化勲章を、という道筋がつけられようとしているのではないか、とも思うのです。グローバル化の波にさらされた国内の画壇にはもうそれにふさわしい玉がいませんから、褒める対象がないというのも国にとっては困る。いわば、現代美術の文化勲章への道です。

会田: 草間さん、今度は伝統回帰の浮世絵ですしね。その特番が今年(2015年)の正月、元旦のNHKで放映されたという、それはもう・・・(笑)。

椹木: 国家が作家を褒賞すること、あるいはもうちょっと砕いて国が美術家を支援したりすることについて、会田さん、思うところはありますか?

会田: 思うところはありますが、いろいろと矛盾した思いかもしれません。確かに最近、日本では国が現代美術にすり寄ってきているという面もあるかもしれませんが、国際的に見れば、まだまだ無視されていると言っていいくらいのレベルだと思います。
(中略)

椹木: なるほど。ずっとドメスティックを基盤に活動いてきた会田さんにとっても、モニュメントというのは実に愛憎なかばする対象というわけですね。逆に杉本博司さんなんかもそうですが、一度日本を捨てるようにしてアメリカに渡って成功した美術家たちが、このところ軒並み日本回帰しているように見える。

 もっとも、杉本さんはもともと複雑極まりないジャポニスムだったのかもしれませんが、少なくとも京都の三十三間堂の仏像群を撮った頃からそれを隠さないようになってきている。最近では直島で神社の設計にまで手を染めていますからね。

会田: それはちょっと藤田を連想させますね。戦争画だけでなく《秋田の行事》のような絵もありますし。

椹木: そうなんです。実際、藤田が死の直前まで身をすり減らして作っていたのは、建物の設計からステンドグラス、フレスコ画まですべて自分で手掛けた小さな教会でした。パリ郊外のランスにある、《ノートルダム・ド・ラ・ペ教会》ですね。
 実はこの教会の中で、藤田はヒロシマの絵を描いているんです。ある意味、藤田が最後の最後に手掛けた戦争画と言えますね。

 この教会は僕も実際に見に行きましたが、もしも日本が戦争に勝っていたら藤田は大神宮の設計を任されていたかもしれません。だから、藤田が通ってきた道というのは、また繰り返されつつあるのかも知れません。ただし、藤田は最終的には国に裏切られるので、そこがどうなるかはわかりませんが。

会田: 村上隆さんはどうするかな、なんて考えちゃいますけどね。

椹木: 確かに、藤田にいちばん近いのは村上隆さんですからね。藤田がエコール・ド・パリで喝采を得たように、村上さんはニューヨークで栄光を勝ち取った。でも、藤田もそうだったけれども、海外への発信ということを考えて何かすると、すぐに国辱的だと烙印を押される。藤田は戦争画で身を粉にして国に仕えたけれども、結局はそれが原因で母国を追われた。村上さんも海外での評価には押しも押されもせぬものがあるけれども、国内ではまだまだ攻撃されることが多いし、国からの申し出も断って一線を引いている。だから、間違っても文化勲章はないでしょうね。

 海外での成功の度合いからしたら、もらって当然だと思うけれども、国のことをよく思っていないし、国からもやっかいな奴だと思われているでしょう。


この記事は クールジャパンあれこれ3 に収めるものとします。
『戦争画とニッポン』1





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Last updated  2016.12.04 11:14:17
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