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2017.12.31
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カテゴリ: 歴史
図書館で『南からの日本文化(上)』という本を、手にしたのです。
「海上の道」というのは、大使のミニブームと言っちゃあ、ミニブームである。要するに何かにつけ、朝鮮ルートが癇に障るわけでおます。




南から

佐々木高明著、NHK出版、2003年刊

<「BOOK」データベース>より
柳田国男は、その晩年に、稲作文化の伝播のルートとして「海上の道」を提起した。南中国を起点とする海上の道を稲作を携えた我々の祖先がたどり、日本列島に到達したとする仮説である。著者はこの柳田とは異なる視点として「南島農耕論」を提起する。『稲作以前』以来、日本人とそのアイデンティティの基礎にある伝統文化の形成を追究してきた著者による日本文化の道をたどる研究の集大成である。

<読む前の大使寸評>
「海上の道」というのは、大使のミニブームと言っちゃあ、ミニブームである。要するに何かにつけ、朝鮮ルートが癇に障るわけでおます。

amazon 南からの日本文化(上)


「第1章 南島文化史研究の軌跡」で「海上の道」への批判を、見てみましょう。
p16~20
■柳田が訴えようとしたもの
 この「海上の道」の学説は柳田自身の言葉で言えば「やや奇矯に失する」かもしれないが、「是よりももっとあり得べき解説を聴いてゐない」すぐれた仮説だったのである。

 こうして「海上の道」の学説は提唱されたのである。だが、前にも述べたように、この学説は理論構成においても、実証的裏付においても、必ずしも十分なものではなかった。というより、それは柳田がもつすぐうれた詩人的直観と信仰にも似た信念によって支えられた学説であり、読むものに強く訴えるのは、この点であったということができる。

■『海上の道』への批判
 しかし、この碩学の提唱した「海上の道」の仮説に対する学界の反応は、いずれも非常に厳しいものであった。言語学も、歴史学も、後に詳述するように、北から南への文化の流れは認められても、その逆方向の南から北への文化の流れの存在についてはいずれも否定的であった。とくに考古学の分野では、稲作文化は弥生文化と結びつくという固定観念がきわめて強く、弥生文化は一方的に九州から沖縄本島にまで南下しており、逆に北上する文化の痕跡は認められないという強い反論が支配的であった。

 このようなさまざまの緒批判を総合した石田英一郎の次の言葉は、石田が深く柳田に師事していただけにきわめて印象的であった。
『海上の道』に見る、日本民族の祖先が宝貝を求め、沖縄の島々に沿って南からたどりついたというテーゼは、先生(柳田のこと)の昔から、ほとんど信仰にも近い詩人的な気持で、くりかえし説いてきたところで、先生がつとに琉球研究に異常な情熱を注いだのも、日本民族文化の遠い昔の姿をここに見出だしえたからである。しかし考古学上の知見は、必ずしも先生の直感と一致しない。琉球列島にみる日本の古代は、逆に遠い昔に南日本から渡ったものと解することもできる。このような場合、先生がいかに考古学の限界を突いても、先生の民俗学の方法は、年代の順位規定にあたっては考古学以上に証明力を欠くのである。[石田1970]

 こうして柳田の「海上の道」の学説は、学界では完全に否定されたかにみえた。ところが、それと相前後して柳田とは全く別の視点から、南島文化の北上を主張する学説が現れた。人類学者の金関丈夫が「八重山の古代文化」(昭和30年)の中で展開した学説である。

■下田原貝塚の発掘調査から
 金関丈夫は、戦後間もない1954年に、国分直一らとともに八重山諸島の南西端にある波照間島の下田原貝塚の発掘調査を行なった。そこからは厚手の火度の低い平底の土器(いわゆる下田原式土器)が出土するとともに、長方短冊型の石斧や乳棒状の石斧などの特徴的な局部磨研石器が出土した。前者はその形がいまも使われているドウ耕具ビラ(ヒラあるいはフィーラ)の刃の部分の祖型に当たるものとしてビラ型石器と呼び、後者はチョウナ式に用いられた木工具で、造舟用工作用具と考え、「この貝塚の住民はドウ耕と漁撈を生活手段とし、船を造ることを知っていた」としている。

 鉄製のビラを使用して畑作農耕を行なう伝統は、今も八重山地方をはじめ南西諸島に広く存在する。そのことから「従来の水田農耕文化とは別種の南島式ドウ耕文化は先史時代より連続的に存在した」と考えられる。この文化は「間違いなく南から北に移った文化であり、沖縄本島以北で九州から南下した縄文文化と遭遇した」と金関は考えたのである。
 このドウ耕文化が南方に連なる根拠として、金関は石器の特色がフィリピンの早期新石器時代の代表的な石器と共通し、その原使用者は、現在ルソン島北部に居住するアバヤオ族やイロンゴット族のような古層のインドネシア人の祖先たちであり、彼らは右にみたのと同じ様な農耕・組立式造船・竪穴住居の文化を伴っていた。

 さらに八重山地方の古い文化の中には鼻栓・木製の鼓筒・木臼・貝包丁などの南方的あるいはメラネシア的な文化要素も、フィリピン・琉球をへて日本本土に達したと推定し、それらを南方からもたらした人たちは、メラネシア文化に接触したインドネシア系種族であろうと想定したのである[金関1955]

『南からの日本文化(上)』1





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Last updated  2017.12.31 00:07:06
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