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2018.01.01
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カテゴリ: 歴史
雲ひとつない青空に初日のお出ましです、@神戸、ナウ♪
北朝鮮の核ミサイル開発など、まるで嘘のように思えるんだけどね。
今年は、安倍ちゃんの退陣と共謀罪法の廃案が実現できますように。
************************************************************
<『アジア辺境論』4,5>
図書館に予約していた『アジア辺境論』という本を、待つこと3ヶ月でゲットしたのです。
日韓の両政府はともにナショナリズムを煽るので、日韓同盟が成立する気運は見えないのです。で、お二人の対談でバカな政府につける薬を模索しようではないか。




辺境

内田樹×姜尚中著、集英社、2017年刊

<「BOOK」データベース>より
アメリカ、欧州で排外的な政治勢力が台頭する中、ロシア、中国の影響力が日増しに拡大している。米ソ対立の冷戦終結から四半世紀経ち、世界各地に複数の覇権の競合関係が生まれている。はたして、その狭間で日本が生き残るためには何が必要なのか?その鍵は日・台・韓の連帯にあり。アメリカとの一方的な従属関係を見直し、中国、ロシアなど、スーパーパワー間にある中小民主主義国家同士の協力関係の構築はいかにして可能か。世界史レベルの地殻変動と戦後の平和国家的な国のあり方を蹂躙する近年の日本の政策を目の前に、リベラルの重鎮ふたりがその理路を提示する。

<読む前の大使寸評>
日韓の両政府はともにナショナリズムを煽るので、日韓同盟が成立する気運は見えないのです。で、お二人の対談でバカな政府につける薬を模索しようではないか。

<図書館予約:(9/20予約、12/26受取)>

rakuten アジア辺境論


「第2章 ニッチな辺境国家が結ぶ新しいアジア主義の可能性」から韓国での漢字復活を、見てみましょう。
p131~134
<日韓の溝を埋める漢字の復活>
内田: あとこれは韓国の人の前では言いにくいんですけれど、韓国で人文科学が発達することを妨げている理由のひとつに漢字の撤廃があると思うのです。韓国が漢字を禁止にしたのは、もとをただせば日本の植民地支配がいけなかったんです。日本統治時代にハングルを禁止して、強制的に日本語を使わせた。それに対する反発で、戦後に民族固有の言語を前面に押し出して、外来言語である漢字を廃用するという流れが出て来てしまった。

 でも、そういうイデオロギー的な理由で言語政策をいじるのは、本当はしてはいけないことなんです。実際に漢字を禁止したことによって、韓国の人たちは、自国の古典にアクセスする回路を断ち切ってしまった。今の若い人はもう自分の名前くらいしか漢字を読み書きできなくなってしまいました。ということは、50年前に書かれたものがもう読めないということです。

 2012年、最初に韓国に行ったときに、ある大学の先生から「今、大学で一番人気がない学科は韓国文学、韓国語学、韓国史学です」と教えられました。学生たちは、理数系や経済やITといった「実学」系の学科を選好する。そして、アメリカに留学して学位を取って帰って来る。それがキャリア形成上一番有利な選択だから当然なんですけど。

 でも、そういう人たちがいずれ韓国の指導層を形成するわけですけれど、コノディシジョン・メーカーたちは、自国の文学も歴史も知らないし、自国の古典も読めない。そういう人たちが韓国はどういう国であるべきかを決めていくというのは疑問ですよね。

 漢字の廃止はイデオロギー的な理由でしたが、伝統的な人文的教養の喪失はかなりの部分まではグローバル化のせいです。科挙の制度があったぐらいですから、韓国は本来はかなり教養主義的な国だったはずなのです。でも、その伝統が切れかけている。今の若い韓国の人たちは、よほど専門的に勉強しないと、古典にアクセスすることができない。

 でも、古典というのは、国民文化にとっては、汲めども尽きせぬ知的源泉なんですよ。その源泉から汲み出すものによってしか真にその国に固有の文化的創造は生まれない。文学でも、哲学でも、学術でも、そうなのです。漢字を捨てて、誰でもが自国の古典にアクセスできる機会を捨ててしまったのは、韓国社会に大きな禍根を残すことになったと思います。

 日本だと、僕のような素人でも『徒然草』の現代語訳とか頼まれるとできちゃうわけですよね(笑)。古文の文法もよく知らないくせに、2、3冊他の現代語訳を参照して、あとはわからない単語を古語辞典で引くだけで、訳せてしまう。日本だと、「こういうこと」が古典研究の専門家でなくても、誰でもできる。古語辞典1冊あれば、『方丈記』でも『平家物語』でも『伊勢物語』でも、とりあえずそこそこ読めてしまう。でも、そういう古典へのアクセスが確保されている国は、東アジアでは日本くらいかもしれないと思うのです。

姜: いや古語辞典だけじゃなく、日本にはあらゆる辞典がありますからね。百科事典を自前で作れる国というのは限られています。世界の辞書も多く翻訳されていますからね。多分世界中であらゆる翻訳物がそろっているのは日本語くらいだと、昔、柳父章という翻訳語研究者が述べていましたよ。日本語を勉強すれば、おそらく20世紀の世界の学問が一望できる。

内田: 外来のものをせっせと取り込むのは辺境民の得意技なんですよ。中央では「中原に鹿を逐う」権力抗争のせいで、しばしばそれまで貯蔵したものが灰塵に帰してしまう。でも、辺境までわざわざアーカイブを破壊しにやってくる人はいませんからね。だから、辺境に古いものがたまってゆく。仏典でも、世界で日本にしか残っていないものというのがいくつもあるらしいですから。

姜: 考えてみると、思想にしても、哲学にしても、世界のあらゆるジャンルのものが読めるし、勉強できるわけですものね。

内田: そうですね。やっぱりこれは漢字の造語能力のおかげだと思いますよ。長いヨーロッパの単語をどんなものでも漢字ニ語に翻訳できるんですから。漢字は表意文字で、脳内では図像処理される情報ですから、ちらっと見ただけで、何となく意味がわかってしまう。これって、かなりすごいことですよ。

姜: 近代語を訳すときにはやっぱり漢字の力を借りて、そういうものがまた中国や韓国に輸出されているでしょう。

内田: そうなんですよね。

姜: でもね、韓国は今やっと漢字の必要性に気付いて、力を入れ始めているようです。ここ10年ぐらいかな、就職試験に漢字検定が採用されるようになって、漢字塾に通う子どもも増えているようですよ。

内田: そうですか、漢字復活の動きがあるんですか。それはいいですね。僕が向こうに行って会う人たちの多くは漢字復活論者なんでっす。漢字があるといいよねと、いつも話しているんですが。

姜: 金大中政権のとき、ワールドカップ開催時に漢字復活論が出て来たんですね。いろいろあっても、今は中国からのお客さんも多いですから、漢字復活もかなり進んで、地域レベルで漢字を推進する動きも出て来ているようです。1987年に民主化されて、30年かかって今に至るわけで、日韓の間にいろんなギャップがあるにせよ、このギャップは必ずしも埋められないわけではないと僕は思いますね。


*****************************************************************************
「第3章 アジアの連携を妨げる確執をどう乗り越えるか」から日韓の対立を、見てみましょう。
p146~150
<無意味な日韓の対立軸>
姜: 今、アジア主義ということを考えたときに、日本の中で最大の問題点は、日韓が友好的に結び付いた場合のオルタナティブなイメージがほとんど描けなくなっていることです。日韓の問題となるや、とにもかくにもこいつをたたく、あいつは嫌だというリアクションがある。そいうことが政治的な言説やメディアの一部で使われているので、なかなか日韓の感情をほどく糸口が見つからない。たとえば2016年12月、釜山の日本総領事館前に設置された慰安婦少女像の問題で…。

内田: 大使が召還されましたね。

姜: ええ、2012年に李明博大統領が竹島訪問したときも、抗議のために日本は大使を召還しましたよね。そんなことばかり繰り返している。そうやって踏み絵を重ねて、日韓合意をどうするんだと言われれば、僕はやっぱり合意は履行した方がいいと思う。ただし、僕の言葉で言うと、魂を入れなければいかない。たとえパフォーマンスであっても、魂を入れた外交をしなければ関係は修復できないと思うんです。

 かつてドイツのヴィリー。ブラント首相がワルシャワで、ユダヤ人のゲットー蜂起の記念碑の前でひざまづいて祈りをささげましたね。パフォーマンスととる向きもいるでしょうが、あれをしたことで、ポーランドの人はそれなりにけじめをつけられたと思うのです。

 日韓の指導者が被害者を慰問するなり、心の琴線に触れる行動をすることが、わだかまりを解く重要なきっかけになるはずです。その意味で、日韓合意は国と国との間で確認した重要な取り決めなのだから決めた後にゴタゴタ言うな、では両国の間の友好・協力への道筋は見えてきませんね。大切なことは、日韓関係がささくれだったまま、お互いにそっぽを向き合っている関係が今後もずっと続いた方がいいのか、それともそうした関係を修復して、より身近な隣国同士の関係を作る方がいいのか、比較考量してみることで、答えはおのずから明らかです。とにかく魂のあるやり方をしてほしい。僕らの言うアジアの連携は、やっぱりそのうえで成り立つのかなとは思います。

 そして、メディアやネットに流布する反知性的なポピュリッズムに流されず、足せば1億7000万いるこの韓国と日本の吸引力が、どのくらいのパワーになるのだろうかと一度考えてみて欲しいんですね。

内田: そうですね。

姜: そのシナジー(相乗効果)の方をもっと積極的に言うべきなのに、なかなかそれが取り上げられていない。
 でも、海峡を挟んで多くの人々が、個人的には、たとえば若者であれば、村上春樹や村上龍を読んだり、日本のいろんな文学作品に興味を持ち、人気漫画も読んでいる。日本から見れば一時期は韓流ドラマが一世を風靡したように、ドラマや映画など映像でいろんなものを楽しんでいる。そんな現実があるのに、なぜもっとシナジーを広げていかにのだろうと思います。そんなシナジーを広げるどころか、どんどん逆の方向に行くような流れが主要メディアや政治の世界では主流になっている。

 先ほど内田さんが言ったように、日清戦争以前には、日本と韓国は非常に親密な関係を結んでいた時期もあったわけです。そのころに立ち返れば、日本は未開や半開のアジアではなく西洋の文明国と手を結ぶべきという福沢諭吉の「脱亜論」もあれば、アジアを中心に世界を見る宮崎滔天や、樽井藤吉の『大東合邦論』もあった。また、挫折はしたものの、甲申政変(1884年)では、朝鮮の金玉均ら独立党と日本が組んで開国に向けてクーデターを起こすという、韓国側からの発信もあった。

 かつて日本にはこうしたいくつかの選択肢があったと思うのですが、どれも未発に終っています。では、なぜ未発に終ったのか、挫折した原因は何なのか。日韓の問題を考えるとき、僕はかなりのことができるのじゃないかと思っているのですが。

内田: 僕もそう思います。まったく姜さんと同じ意見なんです。でも、そういうことを言う人が今どこにも見当たらないんですよね。だからこうして二人で言っているわけですけど(笑)。韓国の人と飲んでいると、必ずこれから東アジアはどうなるかという話になります。そして、最終的な結論は「日韓連携がアジア再編の基本になるべきで、この方向しかない」ということになる。韓国の人たちだと、そういう結論に自然に導かれるのです。嫌韓本とか書いている人たちで、実際に韓国人の友人知人がいて、膝つき合わせてじっくりとこれからのアジア情勢について話したことがある、という人が一体何人いるのでしょう。

姜: そう、実は互いの国益のことなんか1ミリも考えてないのですよ。そういう連中が嫌韓を煽っている。


『アジア辺境論』1
『アジア辺境論』2 :トランプのアメリカ
『アジア辺境論』3 :東アジアの辺境国家
『アジア辺境論』4 :韓国での漢字復活





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Last updated  2018.01.01 10:40:42
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