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2018.01.26
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カテゴリ: 経済
図書館で『森の仕事と木遣り唄』という本を手にしたのです。
林業や炭焼きは大使のツボなんで、チョイスしたわけです。
実際にこの分野で活動するには、手遅れというか歳をとりすぎた感もあるわけですが。



s森

山村基毅著、晶文社、2001年刊

<「BOOK」データベース>より
東京・木場、木曽、熊野、高知、京都、飯能、和歌山、日田、広島、岡山、北海道…失われた唄を探して各地を訪ね歩く。山に分け入って、伐採や集材や運搬の実際を見、炭焼きに汗し、古老の話に耳を傾ける。それは、培われた技能や知恵を掘り起こし、人々が山や森や木とどう関わってきたかを丹念に熱く描きだすこととなった。私たちが得たもの失ったものとは?日本の林業の営みをとおして、唄うことの心性と働くことの意味を深く問う、渾身のルポルタージュ。

<読む前の大使寸評>
林業や炭焼きは大使のツボなんで、チョイスしたわけです。
実際にこの分野で活動するには、手遅れというか歳をとりすぎた感もあるわけですが。


amazon 森の仕事と木遣り唄



「第8章 炭焼きを訪ねて」の冒頭あたりを見てみましょう。
p175~178
<第8章 炭焼きを訪ねて>
木遣り唄と森の仕事との関連を追いつづけるにつれて、私のうちには、森林と人々との結びつきを改めて確認したい、という要求も芽生えてきた。
(中略)

 いま、私は木炭について語ろうと考えている。
 炭である。

 北海道、東京、和歌山、そして島根…いくつもの山に分け入り、煙たなびく炭焼きの小屋を訪れた。そこでは、確かに、木々と人間とが直に触れ合い、言葉を交わすようにして付き合う姿があった。そして、いつの間にか私たちが「産業」として捉えてしまっていた山の仕事を、「生業」の段階で留めている人々がいた。

 その端緒は、やはり京都の四手井綱英さんのところで開かれた。
 あるとき、雑談に交じってこんなことを聞かれた。

――里山という言葉は、四手井さんが作られたと聞きましたが。
 「もっと前に使っていた人がおったかもしれんが、まだ聞いたことがない」

――里山の消失もそうですが、戦後の林業というのは、やはり森林の活用が一辺倒になっていった歴史なんでしょうか。
 「炭はあの時分最も便利な燃料やったんです。それが使われなくなったのは大きいわね。農業の肥料が全部化学肥料になってしまったことも原因としてあるかもしれん。ただ、これは林業家のやった政策やないですからね。ほかからの力で変わってしまった。山村民というのは、たいてい炭焼いてましたが、炭焼きは山持ちやないですわな。他人の山から原木を買うて、炭焼いておった」

――現金収入になった?
「そう、山から定期的にお金が入るのは、製炭が一番良いんですね。製炭か、柴でもいいですわね。そういうものが、みな、なくなった。林業というものは、もともとは財産の保有法だったんですね。普通、大山持ちというのは、下の田畑ももっとったんです。東北の山形あたりだと非常にはっきりしてますが、明治の初めに商業資本が発達して、雑貨屋みたいなもんが発達するわけです。造り酒屋とかね。そうすると、農民は、そっから物を買わなならん。農民の生産品も、そこを通じて外に出ていく。そういう山持ちが各村に何軒かある。となると、農民はそこに借金がたまるばかりになる。

 借金たまると、最初に『山』を手放すわけです。で、そういう家に山林が集中して行く。それでも借金がつづくと、農地も手放して、農地が集中していくわけですね。最後には家屋敷まで手放さなならんなくなる。と、村全体が、その家の支配下になる。ついに農民は何にもないから出ていくかというと、山持ちは出ていかれると困るわけです。せっかく取った田畑も山林も維持経営ができなくなる。だから、農民の最低の生活は保障するわけです。村中の家、田畑、山林、全部持ってたような大山持ちが山形あたりにはたくさんいましたよ。紀州あたりでもそうだったと思いますね」

――そういう土地では炭焼きが盛んですものね。

「商業資本家に隷属して、焼き子をやっていけたわけです。焼いた炭を全部その家に持っていく。そして、生活必需品をもろうて帰ってくる。みんな本当は赤字ですわ。秋田あたりでは、昭和初期に自力更生というのをやったんです。京大の農業経済学者の主張で、全国的に農民の自力更生を謳った。たとえば、農村工業を起こす。ロクロをやらしたり、炭も商業資本と焼き子の関係を断ち切って、木炭倉庫というのを作りましてね、役人が収支計算するようにした。全部、郵便貯金にした。そこで初めて炭焼いたら儲かるということを知りよったのです。それまでは炭焼いたら食えることは知っていたけど、金が残るとは思うとらへん。これが私らが営林局に入ったころですわ。生活必需品は購買部を作ってね。それがのちに農協やとか森林組合やとかになっていくわけです」

 高度経済成長のただなか、日本の燃料事情は石油、ガスへと移行していく。この燃料革命と呼ばれる変革期に、木炭は消費者によって、そして生産者によって切り捨てられる。戦前の木炭生産のピークは1940(昭和15)年で269万9千トン、戦後は57(昭和32)年の222万2532トンである。数字を上げたところで生産量を理解することは難しいが、流通に流れる15キロ詰めの木炭(これを1俵という)に換算すると、57年はじつに約1億5千万俵になるといえば多少は像を描けるだろうか。さらに現在(平成10年)の生産量が2万7千トンだから180万俵。戦後のピーク時のほぼ83分の1の生産量になる。

 生産量が減ることは、そのまま従事者の減少も意味する。1957年の木炭生産者42万3821人に比して、1990年には約1万1千人になっている。こちらは38分の1である。


ウーム 燃料革命によって木炭産業が消滅していく様がすさまじいですね。
とにかく全国の家庭の炊事場で柴、木炭からガスに転換したのだから、まさに燃料革命だったわけだけど。





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Last updated  2018.01.26 04:08:40
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