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2018.01.27
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カテゴリ: カテゴリ未分類
図書館で『森の仕事と木遣り唄』という本を手にしたのです。
林業や炭焼きは大使のツボなんで、チョイスしたわけです。
実際にこの分野で活動するには、手遅れというか歳をとりすぎた感もあるわけですが。




s森

山村基毅著、晶文社、2001年刊

<「BOOK」データベース>より
東京・木場、木曽、熊野、高知、京都、飯能、和歌山、日田、広島、岡山、北海道…失われた唄を探して各地を訪ね歩く。山に分け入って、伐採や集材や運搬の実際を見、炭焼きに汗し、古老の話に耳を傾ける。それは、培われた技能や知恵を掘り起こし、人々が山や森や木とどう関わってきたかを丹念に熱く描きだすこととなった。私たちが得たもの失ったものとは?日本の林業の営みをとおして、唄うことの心性と働くことの意味を深く問う、渾身のルポルタージュ。

<読む前の大使寸評>
林業や炭焼きは大使のツボなんで、チョイスしたわけです。
実際にこの分野で活動するには、手遅れというか歳をとりすぎた感もあるわけですが。


amazon 森の仕事と木遣り唄



「第8章 炭焼きを訪ねて」で、たたら製鉄にふれたあたりを見てみましょう。
p179~183
<第8章 炭焼きを訪ねて>
 『砂の器』にも、亀嵩が算盤の産地であることが紹介されているが、今も亀嵩を中心に雲州算盤の小さな工場がたくさん並んでいる。

 この亀嵩駅の隣が、私が訪れようとしている出雲横田駅である。
「たたら製鉄を理解するには、昔の農家の生活習慣も判っていないといけないですよ」
 横田町在住の郷土史家の高橋一郎氏に、そういわれた。そう、私は出雲の「たたら」に関して知りたくて、話を聞きにいったのである。

 辞書には「たたら」とは足で踏んで空気を送る大型の鞴(フイゴ)のこと、とある。「たたらを踏む」とは、ここから来ている言葉である。ちなみに「代わり番こ」というのも、この「たたら」の作業者「番子」から来ているのだが、それはまた別の話。

 大型の鞴をたたらと呼ぶのは確かだが、一般的にはこの大型鞴を使った製鉄、つまりは「たたら製鉄」そのものも単に「たたら」と呼んでいる。大型の鞴「たたら」を使用する作業とは、製鉄がほとんどだったのであろう。

 この砂鉄を使った製鉄法の中心が、たたら製鉄なのである。
 山陰地方は、とくに鳥取から島根にかけて、たたら製鉄の本場であった。資料を読むかぎり、今では、その残滓のみが所々に見かけられるだけ、とある。資料館のようなところに模型はあるらしいが、実際の製法に関しては資料によって想像し、理解しなければならない。私は想像力に乏しいのか、資料を読んでも、どうにもたたらの姿をつかめずに苦しんでいた。なんとか実際に現物を見ることができないか、そう考えていたときに、中国新聞の島津邦弘氏から横田町に住む郷土史家、高橋一郎氏を紹介されたのである。

 以下、高橋氏の講義に、多少とも私の学習したことを交えて説明してみる。
 出雲地方には、中世まで一般には「野たたら」といわれる、より原始的な製鉄法が存在していた。これは自家製の鉄器具を作るぐらいの規模である。山や川から砂鉄を取ってきて、小さなたたら炉に入れ、その上から炭を入れ、火を熾す。すると、砂鉄は熔けて銑鉄といわれる塊になる。これを村の鍛治屋にもっていき預ける。鍛治屋は、銑を脱炭して農機具、鍋、包丁まで作ったのである。この銑鉄と、そこから出る鉄屑をさらに鋳直して製品を作ることで村の鍛治屋は生計を立てていた。だから、文部省唱歌にある『村の鍛治屋』は決して特殊な職業を歌ったものではなく、当時としてはごく普通の風景を歌ったものにすぎないことが判るのだ。農作業とは切り離せない職業として鍛治屋が存在し、「しばしも休まず槌打つ響き」が聞こえていたのである。

 つまり、近世に入るまでは、このような小規模のたたらが一般的であり、かつ、これは日本各地に見られた状況のようである。それゆえに出雲地方が「古代から」製鉄の本場だというのは大きな間違いだというのが高橋氏の説である。

 なぜ出雲地方が「古代から」製鉄の本場だと捉えられたか、については、もちろん郷土自慢の心性が大きく作用はしているが、ここには八股のオロチの伝説があり、三種の神器となる剣も登場するためでもある。それゆえに出雲地方のたたら製鉄を古代にまでさかのぼって考えがちなのだが、どうもそうではないらしい。まさに製鉄の本場となるには、もう一段階技術革新がなされなければならないのである。

 野たたらは、一家で行なうこともあったし、寄り合いで何軒かが一緒に行なうこともあった。これには、当時の鉄器の貴重さも考え合わせねばならないだろう。使い捨てなどはもってのほか、新製品にしてもなかなか手には入らない。多くは鋳造のし直し、いわゆるリサイクル、再生産されて使われたのである。
 この自給たたらが、永代たたら(高橋氏は「企業たたら」と呼ぶ)といわれる大規模製鉄に変化するのは江戸時代も半ばになってからである。

 永代たたらの興りには、砂鉄の収集法の変容が関係してくる。野たたらの場合、規模からいっても、実際に使用される砂鉄はそれほど大量なものではない。個人が山や川で集めてくる量で十分に間に合っていた。が、ここに鉄穴流しという方法が登場する。これは、山の斜面を削り、その土砂を人工の川に流し込む。川には何段階かに堰が作られ、その堰ごとに土砂を沈殿させ、さらに先へと流してやる。と、砂鉄だけが最後の溜まり場まで行き着くという方法だ。この方式によって大量の砂鉄を採取することができるようになり、製鉄の規模はかくだんに大きくなった。
 ここから、たたら製鉄のシステムが作り上げられていくのである。そして、製鉄を生業とする者たちが多く登場しはじめる。

 大規模な製鉄が行なわれるようになるには、当然人手が必用であった。また、資力も必要であった。大地主、山林地主が、その根幹を担うことになる。とくに享保年間には松江藩が、鉄師の勝手な操業を禁止し、9人の鉄師に土地の製鉄を委託することになる。このときに受託した家々が、明治以降の有数の山林地主、たとえば田部氏や絲原氏となるわけである。

 絲原家のたたら製鉄について見てみると、相当にシステム化された組織であることが判る。大きく鉄方、山方、地方、納戸方に分けられ、さらにその下に職員、労働者が組織される。地方は主に田畑関係で、いわゆる中作、小作へとつながる。納戸方は家の仕事を主にこなす。鉄方が、いわば製鉄部門を受け持ち、手代の下に山配、村下(「むらげ」と呼び、製鉄の技師長のこと)、そして作業員がいる。山方も手代の下に山番がいて、山子と呼ばれる炭焼き作業員がいるのである。

 この鉄方と山方が連関しながら、たたら製鉄を行なっていたのである。

ウン モンスーン気候に包まれた日本では、企業たたら用に木炭を生産しても山が再生できたようですね♪ そこが大陸とちがう点かも。

『森の仕事と木遣り唄』1





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Last updated  2018.01.27 05:33:57
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