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2018.04.08
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『イマジネーション』という本を手にしたのです。
おお 赤川さんの本ではないか。赤川さんを浅田次郎と混同して以来、気になる作家である。
この本は各地の大学での講演を集めた構成とのことで・・・真面目でポジティブな著者の人柄が表れているんでしょうね。







赤川次郎著、光文社、2004年刊

<「BOOK」データベース>より
コンプレックスの塊だった著者が、稀代のベストセラー作家になった生きる姿勢。

<読む前の大使寸評>
この本は各地の大学での講演を集めた構成とのことで・・・真面目でポジティブな著者の人柄が表れているんでしょうね。

rakuten イマジネーション

渚にて

赤川さんが『渚にて』という映画を語っているので見てみましょう。
p237~240
<「語り継ぐ」ということ>
 私たちの前の世代の人たち・・・私たちよりも10歳、20歳上の人たちというのは直接原爆を体験することはなかった人たちであっても、過去の恐怖というのはとても身にしみて持っている。それはどうしてかというと、米ソの冷戦という時代を経験してきたからなんですね。おそらく皆さんは米ソの冷戦といっても実感がないと思うんですけれども。本当にいつ何かのミスで世界が核戦争で滅びるかわからないという時代が20年、30年続いたのです。

 これはアメリカの人たちにとっても非常に大きな恐怖であって、この当時、アメリカやアメリカのハリウッドで作られた映画を見ましても、そういうテーマの作品がたくさん残っているわけです。いかに核の恐怖、核戦争によって世界が滅亡するということが本当に起こるかもしれないという恐怖に、アメリカの人たちが怯えていたかということがよくわかります。

 代表的な映画といえば、『渚にて』という映画を挙げることができます。これは今ではビデオなんかでも見ることができると思いますので、もし、皆さんご覧になったことがなければ是非一度ご覧になってください。『渚にて』・・・原題名『オン・ザ・ビーチ』という。これは今私たちがこの映画を見ますと、よくこんな地味な話がハリウッド映画として大スターを使って作られたものだと思います。

 ご存じない方のためにちょっと簡単に物語をご説明しますと、物語といいましても、この映画は始まった時、既に米ソの核戦争は終っているんですね。そして、もう世界は放射能に覆われて滅亡していくその過程にあるわけです。北半球から放射能の雲が徐々に広がって、唯一人間が生きて暮らしていけるのがオーストラリアだけであるという状況から始まる映画なんです。けれども、オーストラリアのほうにも確実に放射能の雲がやってくる。ですから何ヶ月かしたらもう人類は死に絶えるということをみんな知っている、そういう状況から始まります。

 ですから、米ソの核戦争の映画はあるんですけれども、戦争の場面はどこにもない。一つもありません。撃ち合いもなければ爆発もありません。もう既に開巻冒頭、アメリカの原子力潜水艦がオーストラリアに入港するところから始まって、あと何ヶ月かでみんな死ななければいかないという状況が説明されます。この映画は当時のハリウッドの大スターであるグレゴリー・ペック、エヴァ・ガードナー、それから、アンソニー・パーキンス、それから、ダンスの神様といわれたフレッド・アステアなんかが、とてもシリアスな役で登場しているんです。

 映画はここから最後の終末を迎えるまでの何ヶ月間かを、淡々と描いていくんですね。唯一、ドラマらしいドラマがあるというのは、もう人類がいなくなった、滅亡したはずの街からモールス信号が送られてくるということがわかるのです。

 ところが、モールス信号といっても全くいわゆる意味をなさないんですね。ただ発信されてくるけれども、ちゃんとした信号にはなっていない。けれども、だれかが信号を打っているに違いないというわけです。それを調査してくるのが、アメリカの原子力潜水艦の最後の任務になるんですけれども、そのために出掛けていって、放射能に汚染され、既に滅亡した街に入っていく。

 結局、モールス信号の謎というのは防護服を身につけた海兵隊員が調べにいくんですけれども、誰かが死ぬ直前に・・・窓のブラインドがありますよね、日除けのブラインド・・・あのブラインドの先のわっかにコカ・コーラの瓶を引っかけて、そのコカ・コーラの瓶の先がモールス信号の発信機に当たるようにしておいたんですね。
(中略)

 こういう状況になった時に人間は何をするかって言うことがこの映画の中で描かれていて、特に宗教にすがる、神にすがる人たちというものが、かなり強烈に描かれています。説教をする、辻説法といいますか、道端で説教をする牧師たちのところに人が集まって、大きな横断幕に、まだ遅くない、という文字が書かれているんですね。そこに人たちが集まって、せめて宗教に救いを求める、そういう光景が描かれて、最後はグレゴリー・ペックが・・・原子力潜水艦の艦長なんですけれども、決して戻ることのない航海に発っていきます。

 映画のラストでは、このメルボルンの街を映画の撮影のために無人にして、本当に街の中にだれ一人いないという風景を、ずっとカメラが映し出して見せます。で、映画の一番最後のカットでは、風が吹く中で、まだ遅くないという横断幕だけがはためいている。この映画を作ったスタンリー・クレイマーという人は観客に向かって、まだ遅くない、いまならまだ間に合うということを訴えているわけです。


ウン 静かな反戦映画でしたね。『渚にて』という題名も印象的でした。





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Last updated  2018.04.09 01:23:05
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