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2018.04.12
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『日本人はどう死ぬべきか?』という対談本を、手にしたのです。
養老孟司と隈研吾という二人の賢人の対談とあれば、哲学的かつ美的なニッポンが見えるかも知れんなー?ということで、借りたのです。







養老孟司, 隈研吾著、日経BP社、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
先生、我々は墓場まで何を持っていけばいいですか?読めば気が楽になる、解剖学者と建築家の師弟対談。
【目次】
第1章 自分は死んでも困らない/第2章 年を取った男はさすらうべきだ/第3章 『方丈記』から考える/第4章 時間を超越する歌舞伎座/第5章 日本人とキリスト教的死生観/第6章 人が死んだ後も残る「舞台」が都市に必要だ

<読む前の大使寸評>
養老孟司と隈研吾という二人の賢人の対談とあれば、哲学的かつ美的なニッポンが見えるかも知れんなー?ということで、借りたのです。

rakuten 日本人はどう死ぬべきか?


お二人が「日本の戦争責任」や会社経営を語っているので、見てみましょう。
p29~34
<ロンドンで知った日本人の甘さ>
養老: 最近、『日本はいかにして中国との戦争に引きずり込まれたか』(田中秀雄著、草思社)という本を読んだんです。「支那通軍人・佐々木到一の足跡から読み解く」という副題の通りに、当時の新聞記事を順番に並べつつ、その間に支那通の軍人だった佐々木の行動や思考の文章を載せていく構成なんですが、そこに臨場感があってね。それで昭和12年7月7日に起こった盧溝橋事件のことに触れているんですね。ちなみに僕は同じ年の11月11日に生まれているんですけど(笑)。

 佐々木の足跡から著者が見つけていく盧溝橋事件の本質って、決して日本の「侵略」ではないんです。そんな単純な話ではなく、要するに、中国が覚悟を持って策略した、中国における本土決戦ということなんですよ。つまり、中国本土に日本軍に引き込んだんだから。

隈: 当時は満州国の勢いがありましたから、中国はそれに対して真剣に危機感を持っていたことでしょう。

養老: 満州国というものが既定路線で、できあがりそうになっていた。うっかりすると中国の金持ちも満州に投資した方がいいという流れになっていたんです。そんな中で日本に最終的に勝つためには、日本軍を本土に引き込んで持久戦に持ち込むしかない。そのように中国の首脳は決断したんです。

隈: 逆に言うと、それに乗せられてしまったのが日本軍だったんですね。

養老: 僕は終戦の時、小学校2年生でしたが、日本軍が「一億玉砕」と本土決戦を豪語していながら、結局、決戦は沖縄でしか行なわれず、広島と長崎に原爆を落とされて降伏したことが腑に落ちていなかった。要するに、日本軍は本音では本土決戦をやる気はなかったんだな、と後から気が付いたんです。

隈: 日本の軍部は甘かった。

養老: そうなんです。甘いんですよ。それで敗戦後、欧米人が日本で戦争の責任を追及すると、「あの場の空気では、ああするのはやむを得なかった」という話になった。欧米人たちは、「そんな非論理的な理由はあり得ない」と怒る。欧米では子供の頃から主体が存在するということを思考の原理として叩きこまれるでしょう。だから「戦争責任の追求」という行為が可能になるんです。何であんなことになったんだ、それはナチが悪い、ヒトラーが悪いと、個人の責任に行き着く。

隈: でも我々日本人は、その物語構造を共有していないですよね。

養老: 日本で戦争責任を問うと、「あの場の空気がそうだったんですよ」となる。

隈: 日本人にとっては、それがある意味で最も客観的な見立てになります。

養老: ばかな話に聞こえるかもしれないけれど、あの場にいた人間が満腹か、満腹でなかったかで、結論が変わった可能性がある。それが非論理的だというのは欧米からの見立てであって、そういう状況依存の極致のような「論理」を我々は共有している。そういう論理構造を、我々は取っているんです。

隈: 脳科学を研究している人たちが、「果して人間に自由意志というものはあるか」という考察をされていましたよね。

養老: それ、論理的に突き詰めると、「完全なる自由意志の存在は否定せざるを得なかった」という結論になったんです。

隈: 自分の日常を考えたって、自分が全部決定しているわけではなくて、天気とか体調とかによって左右されます。周りの景色とか雲の動きとか相手との関係性とか、そういうものが全部関与していますよね。

養老: それこそが日本人なんです。だから国際社会から戦争責任と言われても、今一つぴんと来ない。今のビジネスで言うと、グローバルスタンダードが流行しているから「CEO」みたいな肩書が出てきますよね。あれも欧米では、責任を取る存在ということでCEOがいるんですが、日本では個人が責任をとるという原理が定着していないので、CEOごっこになっているでしょう。

隈: 取締役会のみんなで、何となくこっちへいくという風に決まりました、というのが日本の経営のかなりの部分を占めているでしょうね。

養老: CEOの決断に賛同したふりをして、成功したら万々歳だけど、失敗したら、「うーん、どうしてでしょうね」って責任を取らない。面従腹背というけど、日本は典型ですからね。

隈: その話がどこに戻るかというと・・・。

養老: すみません、すぐに脱線して(笑)。冒頭の地方の過疎とか地方消滅とかの話ですね。

 デービッド・アトキンソンというイギリス人がいて、彼は金融アナリストとして、バブル後の日本の銀行の不良債権の実態を暴いた人なんですよ。そのアトキンソンさんが日本の伝統文化財の保存修復をやっている会社の会長兼社長を今、務めているんです。「小西美術工藝社」という名前の会社なのですが。

隈: へえ。

養老: アトキンソンさんが最初に取り組んだのが「漆」です。日光東照宮の陽明門など、日本の伝統建築や工芸に漆は欠かせないけど、それらに使われるのも、今では100%中国産なの。それをまず日本産に変えようということで、社内の改革に取り組んだんです。

隈: 僕もかねてから、日本の伝統工芸を残したいと思っているので、心強い話ですね。





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Last updated  2018.04.12 01:02:10
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