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2018.06.24
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カテゴリ: アート
図書館で『ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと』という本を、手にしたのです。
ビジュアルな「とんぼの本」シリーズなので、絵本作家エンデを知るには最適ではないか♪




池内紀, 小林エリカ著、新潮社、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
『モモ』『はてしない物語』ほかファンタジー物語の傑作を残した作家エンデの人生、そして現代人に伝え続けたメッセージとは。待望のエンデ入門。

<読む前の大使寸評>
ビジュアルな「とんぼの本」シリーズなので、絵本作家エンデを知るには最適ではないか♪
rakuten ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと


池内紀がエンデを語っているので、見てみましょう。
p76~77
<エンデ氏物語>
 『はてしない物語』を字義どおりに訳すと、「終り(エンデ)のない物語」である。作者の名前を詠みこんである。エンデなしのエンデの物語をつくるエンデ氏とは、いかなる人物であろう。よほど遊びが好きで、発想のもとに言葉遊びがあるにちがいないと私は思った。

 そういえば『モモ』には、女の子が時間どろぼうたちとどうしたこうしたといった長いタイトルがついている。言葉遊びが大好きだった17世紀ドイツ・バロック小説のスタイルである。当時、社会や政治に対するエンデの発言が大きくとりあげられていたが、社会性や警世的モラルを取り去ると、おもしろい遊戯人間が出てくるのではなかろうか。『モモ』の章名からして、そうなのだ。

 一章 大きな都会と小さな少女
 二章 めずらしい性質とめずらしくもないけんか
 三章 暴風雨ごっこと、ほんものの夕立
 四章 無口なおじいさんとおしゃべりな若もの

 全21章のおおかたが対比の技法をもちい、つくられている。念のため終りちかくも見ておくと、「向こうでは1日、ここでは1年」「食べものはたっぷり、話はちょっぴり」「おわり、そして新しいはじまり」。

 ここでは永遠と一瞬がかさなりあったり、極大と極小が一致する。時間さえも遊びの原理で扱ってあるし、「灰色の男たち」の灰色は、白でもなければ黒でもなく、白でもあって黒でもあって、白と黒の両方をそなえていながら白でもないし黒でもない。否定と肯定が二重写しの色なのだ。

 灰色の時間は薄明であってうす明りだ。日本語では「夜明け」と「夕方」はべつの時間だが、ドイツ語には一語しかなく、朝にも夕にも同じ「デンメルン」があてられる。朝なのか夕方なのか、光が闇にかわる時間なのか、闇が光に入れ替わるのか、前後にあたらないとわからない。物語作家ミヒャエル・エンデは、そんな微妙な時間をワナのように仕掛けて物語りをつむいでいった。

 遊び人間のつねであるが、おそろしく言葉の音感がいい。もとよりドイツ語の音感であって、どんなにすぐれた翻訳であろうとも、大半がこぼれ落ちてしまう。音でつながれた意味と無意味が物語づくりの基本にある。そこにエンデが持ちこんだ時間の使い方は、これまでの児童文学にはまるでなかった要素だろう。


エンデの絵本をネットで見つけたので、見てみましょう。

第149回/おとなしいきょうりゅうとうるさいちょう


「はだかのサイ」の紹介に続いてのミヒャエル・エンデの作品である。この絵本も少々風変わりである。と、言うのは著者欄の並びに「音楽」と記されているからである。はて?絵本なのに何故「音楽」を担当した人物の名前が記載されているのか?それはこの絵本をご覧いただければ理解できるだろう。

 さて、今回の「おとなしい きょうりゅうと うるさい ちょう」はじつはサブタイトルがついている。<めずらしい交換>と記されているのがそれである。ページをめくると、まず「序曲」とあり、そこに楽譜が書かれている。これが前述した音楽である。

 と言ってもここではその音楽がどのような曲なのかご案内することはできないが、音楽付の紙の絵本というわけである。今流行りの電子書籍などなら、もしかしたら音楽も再生しつつ楽しめるのかもしれないが、ここではあくまでも平面の絵の一部として読み進めるしかない。

 お話は2部構成のような様相を呈しており、それが最後は重なりあうようなスタイルである。その第1幕はきょうりゅうのお話。不気味な石の塔があり、そこには口よ尻尾から火をふくきょうりゅうが住んでいた。そこに本をかかえたヒックス教授なる人物がやってきてきょうりゅうの研究を始めた。きょうりゅうはうっとおしくなり、教授を飲み込んでしまったが、本が消化しにくく、腹から本と教授を吐き出した。教授はケロッとして、1冊の本を置いて帰っていってしまった。そこには「火をはくきょうりゅうは、みんな、おとなしいきょうりゅうとよばれる」と書かれていた。それを目にしたきょうりゅうは愕然とした。
(中略)
 つまり、名前というもので固定観念を持たれてしまうと、それが当人には大きなプレッシャーとなってしまう場合があるということである。それをきょうりゅうとちょうを使って、ユーモアたっぷりに表現したのが、この絵本である。もんしろちょうが、ヒゲをたくわえたタキシード姿で描かれているのは思わず笑ってしまうし、そのもんしろちょうが世捨て人となって引きこもってしまう姿も頭にターバンを巻いて、座禅を組んでいるスタールで描かれて笑える。

 ミヒャエル・エンデの作品は少々難しい…と前回「はだかのサイ」で記したが、こちらはそれに比べればかなり読みやすい。絵も非情にユニークで笑える。しかし、そんな中にエンデ独特の主張がしっかりと盛り込まれている。初めてミヒャエル・エンデの本に接するなら、こちらがオススメかと思う。


『ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと』1





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Last updated  2018.06.24 00:12:31
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