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2018.06.25
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カテゴリ: メディア
朝日のコラム「ザ・コラム」にチャイナウォッチャーとも言える吉岡桂子記者の記事を見かけたので紹介します。
吉岡



「見る 聞く 言う」の存在感 より
 あのサルたちはいま、どこにいるだろう。インドのモディ首相が安倍晋三首相に贈った白い大理石製の「三猿」である。

 「見ざる 言わざる 聞かざる」。2017年9月、ともにガンジーの旧居を訪ねた記念の品だ。ガンジーは、日本の有名な僧侶、藤井日達氏から贈られた「三猿」像を常にそばにおいたそうだ。そして、「悪を見るな、悪を聞くな、悪を言うな」と教えたことが、インドで広く知られている。

 森友・加計問題を始めとする国会でのやりとりを見ながら、あの白いサルが浮かんだ。モディ氏にはいっそ「見る 聞く 言う」のサルを作って渡してほしかった。

 国際会議にまつわる伝説がある。「成功するには日本をしゃべらせ、インドを黙らせる」。日本でも雄弁な政治家や官僚は増えたと聞くが、かつては主張の弱さで知られた。逆に、問われなくても激しく意見を述べ、まとまりかけた議論を揺さぶるのがインド。誇張が混じるとはいえ、自分は他者とは異なる前提で独立した意見を述べあう社会。十数億人がひしめくなか、その多様性がインドという国家をつくっている。

     ◇
 台頭する中国と向き合うため、日本にとってインドの重要性が高まっている。米国とともに「自由で開かれたインド太平洋戦略」を掲げ、関係を強化している。インドも国境紛争を抱えるうえ、スリランカ、モルディブ、パキスタンと周囲の港の整備を続ける中国を警戒する。習近平政権の対外戦略「一帯一路」にも冷たい。中国政府の情報収集の拠点とみて、中国が世界に展開する中国語などの教育機関「孔子学院」の設置にも消極的だ。

 ただ、インドはそれだけではない。

 中国が主導して設立したアジアインフラ投資銀行(AIIB)は来週、3回目の年次総会をインドの商都ムンバイで開く。中国研究で知られるネール大学のコンダパリ教授は言う。「中国に地域をハイジャックされないために加盟したのだ」。日米は入らなかったが、インドの出資比率は中国につぐ2番目。副総裁のイスにも座る。

 興味深い案件がある。インド洋から中東へ至る海上ルートの玄関口オマーンの港湾都市ドゥクム。中国が工業団地を造っている。先には中国軍初の国外基地のあるジブチが控え、中印の勢力がせめぎあう場所である。港の開発にAIIBは300億円相当を貸す。インドはなぜ、許したのか。

 「自らもメンバーの組織がかかわれば、情報も得られるし、誘導もできる」。中国がAIIBを国際機関として育てるなら地域の大国インド抜きはありえない。米国との摩擦が強まるなか、インドとの関係は重みを増す。その足元を見ながら、カネを出すなら口も出す。審査中も含めると全45件のうち、12件がインドでの事業である。

     ◇
 歴史的な南北首脳会談が開かれた4月27日。モディ氏は習氏と湖北省武漢にいた。博物館で古代の鐘をつき、湖畔で語らう。わたり合う姿をツイートする。地域の秩序が流動化するなか、悠久の大国の首脳として「蚊帳の内」を強調するかのように。

 その約1カ月後。「インドと中国の協力がアジアや世界のより良い将来につながる」。モディ氏はシンガポールで開かれた国際会議の演説で、中国を刺激しない言葉を選んだ。対中牽制を期待していた日本政府の関係者は拍子抜けしたようだったが、地域の重心がインド洋へ移ることを心配する東南アジアの国々への配慮でもあった。中国とXXのどっちをとるかという踏み絵を嫌う彼らとうまく付き合うためだ。

 トランプ米大統領の「暴言」に揺さぶられた6月上旬のG7。タイの英字紙ネーションの風刺漫画が目にとまった。メルケル独首相が「トランプ」赤ちゃんを必死にあやすが、おしっこをひっかけられている。開催国カナダ、英仏の首脳が見守る。あれれ、イタリアと日本の首相の姿がない。

 正しい描写かどうかは別にして、今の日本のアジアにおけるイメージの一面だ。誰かの「腹話術」に聞こえたら、耳をそばだてるべきは後ろにいる人の言葉だ。インドほどでなくとも、身も心もどこかの国と、誰かと、一心同体はありえない。かの人の「暴言」の連投は、自らの言葉を取り戻す好機なのかもしれない。(編集委員)


朝日新聞の吉岡記者といえば、チャイナウォッチャーとして個人的に注目しているわけで・・・・
その論調は骨太で、かつ生産的である。
中国経済がらみで好き勝手に吹きまくる経済評論家連中より、よっぽどしっかりしていると思うわけです。

波聞風問一覧 に吉岡記者の中国論が載っています。

<吉岡桂子記者の渾身記事21>





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Last updated  2018.06.25 00:00:59
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