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2018.09.05
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カテゴリ: アート
図書館で『文人暴食』という本を、手にしたのです。
嵐山さんの食のエッセイであるが・・・
文人の食癖は、正直言って、あまり美味しそうとは言えないなあ。



【文人暴食】


嵐山光三郎著、新潮社、2006年刊

<「BOOK」データベース>より
野人・怪人と謳われた南方熊楠の好物はアンパン。本職が牛乳屋の伊藤左千夫は丼飯に牛乳をかけてもりもり食べたそうな。人肉嗜好の金子光晴は口腔内の頬肉を食いちぎって試食したというから驚きだ。そして美食家の折口信夫は若い頃のコカイン常用で殆ど嗅覚がなかったし、アル中の極みは若山牧水だった。ああ、食は人なり。三十七文人の食癖にみる近代文学史。『文人悪食』の続編。

<読む前の大使寸評>
嵐山さんの食のエッセイであるが・・・
文人の食癖は、正直言って、あまり美味しそうとは言えないなあ。

rakuten 文人暴食


小泉八雲を、見てみましょう。
p9~11
<小泉八雲 一椀に白魚の泣き声を聞く>
 ラフカディオ・ハーンこと小泉八雲が来日したのは、明治23(1890)年、40歳であった。来日した23年12月に松江在の小泉節子と結婚し、54歳で没するまで14年間を日本で過ごした。日本の伝統文化を深く愛しながらも、近代化しつつある日本に幻滅して生涯を終えた。

 八雲の食生活は、小泉節子『思い出の記』と長男小泉一雄『父「八雲」を憶う』に詳しく記されている。節子の回想記には、
 「食物には好き嫌いはございませんでした。日本食は漬物でも、刺身でも何でも頂きました。お菜から食べました。最後に御飯を一杯だけ頂きました。洋食ではプラウプディンと大きなビフテキが好きでございました」
 とある。なかでも奈良漬を好んだという。

 明治29年、東京大学講師として東京牛込に移り住むと、新橋壷屋洋食店へ行き、好んで伊勢エビフライを食べた。京橋鍋町の風月堂もお気に入りの洋食店であった。しょっちゅう通ったのは上野精養軒で、一雄は、「あの頃の上野には今日よりも遥かに古木が多く、塵埃も少なく精養軒は静かな処でした」となつかしんでいる。

 八雲は「ここは三百年来日本をキリスト教国の侵攻から救ってくれた徳川家の霊地である」と嬉しそうに解説したという。八雲はギリシャのレフカス島で、アイルランドの軍人の父とギリシャ人の母とのあいだに生まれた。両親はすぐに離婚して悲惨な少年時代を過ごし、極度のキリスト教嫌いになっていた。16歳のとき、「ジャイアンツ・スライド」という綱引きのような格闘競技で綱が左目にあたって失明した。右目もひどい近眼で、いつも虫眼鏡を持ち歩き、その後遺症で眼玉が異常に膨張していた。

 東京へ移り住むと、夏休みは一雄を連れて焼津で静養し、長期間滞在した。焼津では、宿の廊下に小鼠が出てきたことがあった。トーストの破片を与えると、馴れて、膝近くまで近づくようになった。小鼠がカリカリと音をたてて食べるのを一雄とともに見ていた八雲は突然「パパと同じ盲目だ!」と叫んで哀れんだという。八雲は小鼠にもうひとりの自分を見ていた。このように、鳥や昆虫といった小動物に愛情をそそぐやさしい性格の人であった。

 宿では毎晩、日本酒で晩酌をした。自宅ではウィスキーを飲むが、宿では日本流の晩酌に馴れ親しもうとしていた。朝食は、味噌汁、生卵、煮豆、奈良漬、となんでも食べ、人に接するときは、女のようにやさしく、近眼の右目がほほえんでいた。

 八雲は、新宿で、酔っ払いのならず者三人組にからまれたことがある。こんにゃくおでんを持ったチンピラが、八雲の顔をのぞきこみ、からかって、串刺しこんにゃくをブルブルッと振り動かしてつかみかかると、一瞬のうちに相手は地面に倒れた。「ヤイ、異人待て!」と三人組がさらに追ってきたとき、八雲は両手の拳を固めて身構えた。一雄は、そのときのことを、「戦慄を覚えました。これが本当に私のパパの顔だろうかと思ったほどに(今まで一度も見たことのない)実に恐ろしい形相でした」と回想している。

 こういった側面は八雲の面目躍如といったところで、イギリスからアメリカのニューオリオンズへ渡って無頼の日々を過ごした男ならではの凄みがある。通常は限りなくやさしい男は、その内面に不屈の闘争心を秘めているもので、八雲には、「強い男が世間を制する」というアメリカ流の武闘魂があった。


以前に読んだ『へるん先生の汽車旅行』を紹介します。

【へるん先生の汽車旅行】
ヘルン

芦原伸著、集英社インターナショナル、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
小泉八雲は「元祖バックパッカー」だった。ニューヨークから松江までの旅でその人生を一変させた男がいた。文無しジャーナリスト、ラフカディオ・ハーンは、1890年、ニューヨークから鉄道で大陸を横断し、横浜へと向かった。松江で「へるん先生」となった男は、熊本、神戸、そして東京へと生涯旅を重ねた。

<読む前の大使寸評>
ラフカディオ・ハーンのイメージとして、旅行カバンを下げたややうらぶれたシルエットが浮かびます。
人生の長旅の最後に、日本にたどりつき…やっと安らぎを得たのかもしれません。

そのへるん先生の汽車旅行とあれば、興味がわくのです。

rakuten へるん先生の汽車旅行
へるん先生の汽車旅行 byドングリ


『文人暴食』3 :織田作之助
『文人暴食』2 :金子光晴
『文人暴食』1 :寺山修司





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Last updated  2018.09.05 00:59:13
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