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2018.09.29
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カテゴリ: 中国
図書館で『尖閣喪失』という本を、手にしたのです。
日本の安全保障委員会とか、中国軍の特殊部隊とか、なかなかのシミュレーション小説やおまへんか♪

かわぐちかいじの『空母いぶき』を彷彿とするようなシミュレーション小説であるが、『空母いぶき』よりも、もっと“おたく度”が深いようでおます。


【尖閣喪失】


大石英司著、中央公論新社、2012年刊

<「BOOK」データベース>より
中国・台湾が領有権を主張する「尖閣諸島」。衆議院の解散総選挙を伴う政権交代のタイミングで、ついに中国が実力行使に踏み切った。政治的影響を睨みながら展開される水面下での熾烈な駆け引きと日中の軍事作戦の行方を、迫真の筆致で描く。

<読む前の大使寸評>
日本の安全保障委員会とか、中国軍の特殊部隊とか、なかなかのシミュレーション小説やおまへんか♪

rakuten 尖閣喪失


魚釣島に中国兵が上陸したあたりを、見てみましょう。
p271~276
<第九章>
 外務省の中国課長・荒井慶一と、コピー用紙を抱えた防衛大臣秘書の国上が入って来る。国上がコピー用紙を全員の前に置いた。
 「要回収ですので、必要な部分はメモを取ってください」
 国上がそう念押しした。ここにいるメンバーは、中国課長を除いて全員<小隊名簿>に名を連ねていた。いわば同じ釜の飯を食った仲間だ。

 「NMO、非軍事的選択肢です。原則的に、2010年の尖閣事案の直後、外務省と経産省の間で纏められたものを踏襲しています」
 クリップで留められたペーパーは僅か三枚。表紙を除けば二枚に過ぎない。30項目あまりの対抗措置で、中国の国内資産の凍結から、大使の召還、人の往来の停止、上海雑伎団の入国禁止まで書かれていた。

 石橋はそれを捲ってチッと舌打ちした。
 「近所のガキ大将のご機嫌を損ねずに、どうやって復讐しようかという話だな。どだい無理な話だ」
 「国内資産の凍結は即効性はあるでしょう。日本が本気で怒っているという意思表示ができます。対してわれわれは、中国国内にたいした資産は持ちません。持てない仕組みになっていますから」
 「われわれが資産を差し押さえたら、中国はきっと数百人単位で在留邦人を拘束するだろうな。・・・実際の手続きを考えるとナンセンスだし、あとあと裁判沙汰になったら、政府に勝ち目はない。こういう提案をする時には、日中貿易がそれで止まったらGDPがどのくらい落ち込むか試算結果も付けるべきだな。誰も得はしない」

 中国課長が頷いた。
 「駐日大使は何だって?」
 「寝耳に水で、個人的には困惑しているとのことです。おそらく、チベット問題から世界の目を逸らすと同時に、国内の不満も解消できる一石二鳥を狙った策だろうという話です」
 「九段線保持のアピールもできる。一石二鳥どころか、三鳥も四鳥も捕れるよ。私が向こうの主席でも飛びつくね。もし日中関係がこじれない確約が得られるならな。引き続き検討してくれ。北京に対しては、公式非公式あらゆるルートを使って、日本が尖閣を防衛するという意思表示を繰り返すよう」

 石橋は、中国課長に退席するように命じた。その顔には、チャイナスクールは信用できないと描いてあった。荒井が退席うると、部屋の片隅に畏まっていた楠木がブリーフケースをテーブルの一番端に置いて開くと、先ほどのものとは別のペ-パーを出し、一人一人に配った。

 こちらはさらに厳重な扱いで「閲覧のみ許可」という赤いスタンプが押されていた。ご丁寧に「EYES ONLY」と英字ルビまで振られている。
 「ACO、中国軍が上陸した後の、近接阻止対応作戦です。これは<プロトコルA>とは別個の作戦で、空自と海自が主体となります。航空自衛隊はすでに対応部隊が那覇へと向かうべく各基地で待機しております」
(中略)

 「ACOは、全て防衛出動待機命令が出ないことを前提に練られました。従って、那覇基地防衛に於いては、空港施設の防衛は、警官がピストル一丁で担うことになっています。レーダーサイトの防衛にしても同様です。基地のゲートを一歩出たら、そこで武装した自衛官が行動する自由はありません」
 「不自由はある?」
 「ないと言えば嘘になります。ただし、外交上の損得を考え、さらに中国軍が尖閣の外で次の軍事行動に出る可能性を勘案した場合、慎重な判断が必要になろうかと」
 「つまり、国上さんとしては、中国が沖縄本島や九州本土に対して、何らかの軍事行動を起こす可能性は低いと判断しているわけだ」
 「僭越ながら、そう考えております。現に彼らは、魚釣島上陸に関しても、銃の一発も撃ちませんでした。王洪波少将は、何が日本の世論を激高させるか百も承知しています。那覇空港でコマンドが蜂起するような事態は、しばらくはないでしょう。われわれが武力行使に踏み切るまでは」

 「<プロトコルA>までやっちゃっていいの? 待機命令なしで」
 「部隊は訓練名目で移動しました。陸にしても海にしても、その延長線で、上陸訓練が行なわれるまでです。その部隊がたまたま実弾を携行していたからといって、法律違反に問われることはありません。<プロトコルA>は、戦車が公道を走るわけではないので」

ネタばらしになりますが・・・この小説はハッピーエンドではありません。
ニッポンに対する警鐘という意味ではそのほうがいいのかも。

ところで、世界最強の特殊部隊といえば、英国陸軍SASと言われています。
最近読んだ『ブラヴォー・ツー・ゼロ』という湾岸戦争の戦争ノンフィクションに英軍SASの実戦がレポートされているが、この『尖閣喪失』とよく似たシーンが出てきたのが興味深いのです。


【ブラヴォー・ツー・ゼロ】


アンディ・マクナブ著、早川書房、2000年刊

<「BOOK」データベース>より
1991年1月22日、「世界最強の特殊部隊」の異名をもつ英国陸軍SASの兵士八人が、イラクに潜入した。任務は極秘にスカッド・ミサイル発射機を破壊すること。異常寒波のなか、彼らは敵軍と長く激しい戦闘を繰り返すが、抵抗もむなしく捕虜となってしまう…悪夢と化した任務の全貌を『SAS戦闘員』の著者が克明に語る!その圧倒的な迫力で多くの読者を魅了し、大ベストセラーを記録した戦争ノンフィクションの金字塔。

<読む前の大使寸評>
大使はフォークランド紛争や湾岸戦争の戦歴に関心があるのだが・・・
その裏には、中国の狂ったような軍拡が影響しているわけでおます。

rakuten ブラヴォー・ツー・ゼロ

『ブラヴォー・ツー・ゼロ』2 :捕虜になるp157~160
『ブラヴォー・ツー・ゼロ』1 :侵入作戦開始p69~71





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Last updated  2018.09.29 14:41:45
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