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2018.11.22
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カテゴリ: アート
図書館で『スパイだったスパイ小説家たち』という本を、手にしたのです。
ジョン・ル・カレやサマセット・モームが元スパイだったって・・・
これは読んでみるしかないようです。






アンソニー マスターズ著、新潮社、1990年刊

<「BOOK」データベース>より
ジョン・ル・カレ、イアン・フレミング、グレアム・グリーン、サマセット・モーム…。元スパイだった彼らの作品はいかなる状況のもとに生みだされたのか。作家の実人生と作品との関りあいを綿密に探る。

<読む前の大使寸評>
ジョン・ル・カレやサマセット・モームが元スパイだったって・・・
これは読んでみるしかないようです。

amazon スパイだったスパイ小説家たち



「第三章 サマセット・モーム」で、モームの生い立ちから情報部員への登用までを見てみましょう。
p63~72
<「事実は・・・退屈なストーリー・テラーである」>
 うわべだけを見れば、サマセット・モームはおよそMI6向きでない志願者だった。1874年生れの彼は、きわめて不幸な幼少時を送り、その影響が精神的にも肉体的にも終生尾を引くことになった。

 彼は8歳になるまでパリに住んだ。その年に母親が出産で死んだ(モームはこの打撃からついに立ちなおれなかった。医師たちは母親に結核の療法として出産を薦めた)これは当時の医学界でポピュラーな学説だった。その2年後に、父親がぜいたくな休暇旅行と、夫の半分の年齢だった妻の浪費によって、あらかた底をついたわずかばかりの遺産を残して、胃癌で死んだ。モームはフランスをあとにしてイギリスへ渡り、ホイットステーブルの牧師である叔父のもとで、その後の少年期を送ることを余儀なくされた。

 こうしてたてつづけに両親を失った結果、モームは吃り癖にとりつかれ、それに湾曲足と背の低さが加わって、いじめの集中攻撃の対象となった。そのために本の世界に逃避して、ヴィクトリア朝の海辺の町の偏狭な田舎気質と、彼が忌み嫌ったカンタベリーのキングズ・スクールにおける教育を避けて、自分の殻に閉じこもるようになった。

 母親が死んだときすでに十代に達していた三人の兄たちは、モームがまだ幼いうちに家をはなれって寄宿学校に入り、ドーヴァー・カレッジでりっぱにやっていた。いろいろ問題があるのはモームだけだった。

 1915年に出版された『人間の絆』のなかで、モームは主人公のフィリップに託して、キングズ・スクールの日々を精細に描いている。「彼は多くの賞をもらっていた。いずれも粗悪な紙に印刷されたつまらない本だが、学校の紋章入りの装丁だけはりっぱだった。この立場が彼をいじめから解放し、彼も満更ではなかった。仲間は彼の肉体的欠陥に免じてこの成功を許した」

 モームはラテン語とギリシャ語がよくできたが、湾曲足のせいで運動は苦手だった。上級に進むといじめはやんだが、その過程で防衛本能(辛辣な皮肉)が身についてしまい、そのせいで人気者にはなれなかった。
(中略)

 1915年8月13日に、ウィリアム・ハイネマンがロンドンで『人間の絆』を出版し、アメリカではダブルディが同時出版した。モームは事実とフィクションがわかちがたく溶けあった自伝的小説としてこの作品を書いた。

 初版は五千部で、それまでの彼の作品では最もよく売れた。『人間の絆』はロンドンでは批評家の受けが芳しくなかったが、モームはそのころローマにいてサイリーの出産を待っていたために、そっちのほうに気をとられて、本来なら気になったであろう不評もあまり気にならなかった。娘のライザは1915年9月1日に生まれ、娘とサイリーの板ばさみになって苦しんだあげく、モームはふたたび戦地に舞い戻ることを望むようになった。

 しかし傷病兵輸送部隊には欠員がなく、逃道を捜してむなしくロンドンのあちこちを歩きまわった。皮肉なことに救いの手をさしのべたのはサイリーだった。かつてインド警察の一員で、のちにフランスとイタリアのイギリス情報機関の責任者となり、第一次大戦の終りまでその地位にとどまることになる彼女の友人、サー・ジョン・ウォリンジャーを紹介してくれたのである。

 ウォリンジャーはモームに向かって、あなたのようにフランス語とドイツ語に堪能で、しかも職業作家とくれば、第一級の情報部員としてのすべての資格がそなわっているようなものだといいだした。モームが最初の驚きから立ちなおると、ウォリンジャーはある任務に彼を誘った。

 その任務とは、本を書いているように見せかけて中立国のひとつに住むことだという。モームはこの申し出に大いに関心をそそられた。人目を忍ぶ生活もスリルがあって面白そうだし、そのうえ目先の責任から逃れられるだけでなく、今後本を書くときの材料まで仕込めそうだったからである。ウォリンジャーは、行先はスイスで、ノイローゼになった情報部員の後任としてただちに出発してもらいたいと語った。





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Last updated  2018.11.22 00:14:36
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