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2019.01.15
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カテゴリ: 自然・環境
図書館で『日本の景観』という本を、手にしたのです。
先日、『思考としてのランドスケープ地上学への誘い』という本を読んだところだが・・・
その勢いでこの本を読む気になったわけです。





樋口忠彦著、筑摩書房、1993年刊

<「BOOK」データベース>より
どの人にも共通して好ましいと感じられる日本の風景を「水の辺」と「山の辺」、さらに「八葉蓮華」型景観、「隠国」型景観、「蔵風得水」型景観などいくつかの典型にさかのぼり、風景が包含する精神的また空間的な特性を、文学作品や絵画を引用しつつ細かく考察する。さらに日本の景観とヨーロッパの景観を比較検討するとともに、日々変化し続ける現代の都市に生き生きとした棲息地景観を作っていくための道を探る、景観工学の代表作。サントリー学芸賞受賞作。

<読む前の大使寸評>
先日、『思考としてのランドスケープ地上学への誘い』という本を読んだところだが・・・
その勢いでこの本を読む気になったわけです。

rakuten 日本の景観



著者は「流域圏」という考え方に拘っているのだが、そのあたりが第2章「日本の景観」の「はじめに」に出ているので、見てみましょう。
p54~58
<はじめに>
 日本人が自然や自然の景観に対してどのような意識を持っていたかということを第1章で述べた。次に、日本の景観がどのような構造をもっているかを物理的な側面から明らかにしていくことにしよう。

 まず、日本の景観のフィジカルな特徴は次のようにまとめられるであろう。(1)日本は、四面を海に囲まれた島国である。(2)世界有数の海岸延長をもち、その海岸線は複雑で変化に富んでいる。(3)さらに、日本列島は、非常に急峻な山脈でできており、そこに源を発した急勾配の河川が流れている。そして、その川の流域に小規模の盆地や平野が点在している。この平地部分は国土面積の3割に満たない。いわゆる「山国」である。(4)その植生は、森林を主体としている。南の方からいえば、琉球列島の亜熱帯林から、次第に西日本の常緑広葉樹林、東日本の落葉広葉樹林になり、北海道の亜寒帯針葉樹林になっている。(5)気候はいわゆる「モンスーン型」で、四季がはっきりとしており、梅雨、台風、北での降雪など多雨である。

 日本の風景の特徴としてこれらの要素をうまくまとめて論じたのが、志賀重昴の『日本風景論』である。そこでは(1)気候、海流の多変、多様なること、(2)水蒸気の多量なること、(3)火山岩の多々なること、(4)流水の侵蝕激烈なること、の四つをあげて日本の風景を説明している。これは従来の「もののあわれ」的風景論に対し、日本の風景をフィジカルな側面から科学的に見たものとして画期的なものであった。

 このように日本列島全体がどのような特徴をもっているかという位置づけから、日本の様々な特徴を捉えようとする試みは、最近では生態学によって発展させられている。そこでは、特に植生などの面から、日本の風土が論じられている。その中でも梅棹忠夫氏の『文明の生態史観』や中尾佐助氏・上山春平氏等の『照葉樹林文化』などは代表的なものであろう。

 以上のような日本列島全体の位置づけから展開される日本の景観論。風土論に対して、私はもう少し小さなスケールから見ていくことにしたい。即ち、日本人は、そのような日本列島の中の、どのようなところに住み込んできたか、という視点から日本の景観を考えていきたいと思う。

 第三次全国総合計画、いわゆる三全総では、「流域圏」という考え方が提出された。先にも述べたように、日本は、急峻な山脈をもち、そこに発した急勾配の河川に沿って小規模な平地が点在している。日本人の居住の場所は、全体にして三割弱のこの平地であった。したがって、「流域圏」という考え方は、日本人の居住の場を、まとまった単位として捉えるのに非常に便利な概念である。

 「三全総」で流域圏という概念が提出された理由は次のように述べられている。(1)日本の国土は分水嶺により多くの流域に分割されており、この流域ごとに気象条件や土地条件が微妙に変化し、風俗、習慣も異なる特色ある地域社会が形成されていること、(2)流域を特性づける水系を総合的に管理することにより、流域の安定度と安定性とを高め、流域の生態系と環境の容量とを維持することができること、などである。これらの理由から、地域の特性に応じた国土管理を考える場合、水系を中心とした流域に着目する必要があったということである。
 この流域圏という考えは、日本列島全体をさらに細かい段階で見ていく上でなかなかすぐれた着眼点である。
(中略)

 日本人は、流域に点在する平地に住み込んできた。この流域に点在する平地は、例えば、谷―盆地―谷―平野というようなかたてで存在しているのが、日本においては一般的なのではないだろうか。盆地、谷間の平地、海沿いの平野、ここに住み込んできた。
 <盆地>、<谷>、<平野>、この三分類は簡単明瞭で、だれしもはっきりしたイメージを思い浮かべることのできる分類ではないだろうか。そこで私は、日本人の居住の場いわゆる棲息の場を、<盆地>、<谷>、<平野>という三つの分類でまず大きく捉えてみたいと思う。この三類型は、日本人の棲息の場の大きなまとまりを表現するばかりでなく、日本の景観の大きなまとまりをも表現するはずである。
(中略)

 このように分類された空間や景観こそ、私達にとってもっとも日常的に感じ取られている空間や景観ではないだろうか。「日本列島」的な把握も、「照葉樹林帯」的な把握も、さらには「流域圏」的な把握も、それぞれに有効なものではある。しかし、私達の住む土地が棲息地といて一つのまとまりをもって感じとられるかどうかは、何よりもこのスケールでの空間や景観の状態に大きく左右されると思う。
 ここから出発することにより、志賀重昴に代表される総論的ともいえる日本風景論をより詳細な各論へと導いていくことができるのではないだろうか。

ウン 水系というか「流域圏」的な把握が、日本の景観を語る上で欠かせないことが分かりました♪

『日本の景観』2 :水分(みまくり)神社
『日本の景観』1 :古代の治水技術





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Last updated  2019.01.15 06:23:00
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