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2019.04.14
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カテゴリ: 歴史
図書館で『新・戦争論』という新書を、手にしたのです。
やや古くなった新書であるが、内容はそんなに陳腐化していないようです。





池上彰×佐藤優、文藝春秋、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
最強コンビが語り下す戦略、情報術
領土・民族・資源紛争、金融危機、テロ、感染症。これから確実にやってくる「サバイバルの時代」を生き抜くためのインテリジェンス。

<読む前の大使寸評>
やや古くなった新書であるが、内容はそんなに陳腐化していないようです。

rakuten 新・戦争論


朝鮮との歴史的関係、インテリジェンスを、見てみましょう。
p180~184
<■日本vs.朝鮮、1対1の戦争はなかった>
池上: 中国にとっては、北朝鮮の労働力も、地下資源も魅力です。さらに韓国もどんどん中国寄りになってくるから、朝鮮半島がまるごと自分の属国になるという戦略を描いていたわけでしょう。それが不思議なことに、北は離反するような動きを見せ、南が属国になりつつあるという、南北が入れ替わるような様相を呈してきました。

佐藤: 韓国の朴槿恵大統領からすれば、中国がいかに怖いかは自分たちが一番よく知っている、というのではないですか。ロシアやアメリカや日本は、中国の本当の恐ろしさを知らない。朝鮮民族が中国のすぐ傍にいながら同化されずにやってこれたのは、決定的な喧嘩をしなかったからなんだ、と考えているはずです。歴史をふり返ると、日本と朝鮮が単独で戦争したことはないのです。

池上: その通りだ。元寇のときだってそうです。

佐藤: 元と高麗の連合軍ですから。これは、元韓国大使の小倉和夫さんの『日本のアジア外交』の指摘を読んで初めて気づいたのですが、日本が戦ったのは、いつも中朝連合軍。歴史上、一度も、朝鮮半島の単独政権と戦ったことはない。

「過去2000年近くの間に、日本と中国は、五回戦争を行なった。唐と日本の戦争(白村江または錦江の戦い)、元寇、明軍との戦い(秀吉の朝鮮侵攻と明の介入による戦闘)、19世紀の日清戦争、1930年代以降の日中戦争の五回である。
 これらの戦争の背景を分析してみると、現代の世代が世代が教訓として学ぶことが、すくなくとも三つあることにきづく。

 一つは、いずれの戦争も、その始まりは、朝鮮半島における勢力争いだったことである。1930年代の日中戦争は、満州の権益の問題が、導火線であるようにも見えるが、その背後には、日本の朝鮮半島支配の安定化という、歴史的流れがあった。

 このことは、朝鮮問題についての日中対話が、現在及び将来において、いかに重要であるかを物語っている」(『日本のアジア外交 二千年の系譜』藤原書店)

 そう考えると、やはり中国といかにうまくやるかということが、韓国の生き残りにとっては死活問題になります。朴槿恵はそう気づいているのでしょう。

池上: 中国が経済力においても軍事力においても強くなる一方、アメリカの力は弱くなっています。北朝鮮の核開発も、結局、アメリカには止められなかった。韓国の安全保障は、アメリカではなく中国に頼んだ方がいいと思っているかもしれません。

 2009年、日本と韓国は安全保障上の関係強化のための軍事協定を結ぶ方向で協議を進めていましたが、調印のわずか1時間前に韓国がキャンセルしました。中国から「日本と新たな軍事協定を結ぶな」と脅されたのです。朝鮮戦争では、多くの韓国人が中国軍によって殺されています。本来なら中国に謝罪要求や責任追及をしてもいいはずですが、中国に対してはそんな感情を抱いていない。これが韓国の「事大主義(小が大につかえる)」ですね。韓国は、歴史上、長い間、中国に「事大」し、中国の臣となることで生き延びてきましたから、今も大国・中国の懐に抱かれているのが、心地よいのでしょう。

<■中・朝「歴史戦争」が始まる>
佐藤: つまり東アアジアの秩序が、冷戦よりもはるか昔に戻っているのです。歴史になぞらえると、南北朝鮮は、三国時代の新羅と高句麗の対立と見ることもできます。あるいは、北朝鮮が渤海だと考えたほうがいいかもしれません。新羅は中国に朝貢していましたが、渤海は日本に朝貢していました。朝鮮半島に統一王朝がない状況で、渤海がなぜ日本に安全保障を求めて来たのか。

 金正恩政権になったとき、北朝鮮のポータルサイトの「ネナラ」に変わった論評が出ていました。「遅れた日本に文化を伝えた渤海」というのです。そこには、天皇から衣冠をもらった人など、日本に朝貢していた人の名前が挙げられていました。これは明らかに日本へのシグナルです。北朝鮮の渤海化がいま起きているのかもしれません。

 あるいは韓国が新羅と化しつつある。同じ朝鮮半島の国といっても、韓国と北朝鮮は、三国の時代から、もともと違うのであって、だからこそ南北の分断もこんなに長く続くのだ、と言いたいのかもしれない。

 金正日が金日成総合大学の学生時代に書いたという、三国時代に関する歴史論文があります。朝鮮半島の統一は、高句麗、新羅、百済、の三国のうち、新羅が主になったと言われてきたが、実はそうではなく、高句麗が主であって、新羅は中国に隷属して自主性のない国だったという内容です。

 この論文が企画しているのは、北朝鮮による歴史の書き直しです。その結果、中国とも論戦になりました。中国は、高句麗を「朝鮮民族の国」ではなく、「中国の地方政権」と位置づけているからです。いずれにせよ、金正日論文の図式からすると、韓国人と朝鮮人は、もともと別なのだという見方も出てくるのかもしれません。実際、言葉は、いまや南北で少し違ってきています。

 国際的に似た例としては、マケドニア語とブルガリア語があります。歴史的言語としてはほぼ同じですが、ユーゴスラビアとブルガリアに分かれているうちに、別言語の扱いになりました。あるいは、ルーマニア語とモルドバ語も、本来、まったく同じ言語なのに、モルドバ語がロシア語と同じキリル文字に変えた後に、またラテン文字に戻しましたが、ルーマニア語とは、別言語の扱いになっています。

池上: 人名の「李」さんも、北では「リ」と読むのに、南では「イ」と読みますね。ですから前韓国大統領・李明博は、「イ・ミョンバク」になる。


『新・戦争論』1





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Last updated  2019.04.14 01:26:30
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