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2019.08.31
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カテゴリ: 歴史
図書館で『コロンブスからはじまるグローバル社会I493』という本を、手にしたのです。
タイム誌ベストノンフィクション部門の第1位になったとか・・・さて、どんなグローバル社会なのか。





チャールズ・C・マン著、あすなろ書房、2017年刊

<「BOOK」データベース>より
コロンブスのアメリカ到達によって、世界はどう変わったのか?さまざまな思惑によって、人とモノが行き交い、世界がつながっていく様子をダイナミックにたどる新しい歴史入門書。タイム誌ベストノンフィクション部門(2011年度)第1位の大著が、わかりやすくコンパクトに!

<読む前の大使寸評>
タイム誌ベストノンフィクション部門の第1位になったとか・・・さて、どんなグローバル社会なのか。

rakuten コロンブスからはじまるグローバル社会I493



「はじめに」で“コロンブス交換”とやらを、見てみましょう。
p8~10
<コロンブスの航海が意味するもの>
 わが家のトマトは、コロンブス到着後の歴史も、少しばかり引き継いでいる。トマトは16世紀初め、ヨーロッパ人によって世界中に広められた。見かけない赤いかたまりが無毒であるとわかるや、アフリカからアジアまでの各地で栽培されるようになった。そしてトマトは伝来した場所で、かなりの文化的影響力をふるった。

 見逃せないほどの影響力を残すことさえあった。たとえば、トマトソース抜きのイタリア料理なんて、とても想像できないだろう。

 とはいえ、わたしは、『ヨーロッパ帝国主義の謎…エコロジーから見た10~20世紀』(岩波書店)を読むまで、トマトをはじめとする植物の移植が、食卓にとどまらない大きな意味をはらんでいることには気づいていなかった。これは、地理学者で歴史学者デモアルアルフレッド・クロスビーが書いた本だ。

 タイトルに引かれてその本を手にしたとたん、冒頭の一文が目に飛びこんできた。「ヨーロッパからの移民とその子孫は世界各地に住んでいるが、このことには特別な説明が必要だ」
 まったくそのとおりだ、と思った。ほとんどのアフリカ人はアフリカに住んでいるし、大多数のアジア人はアジアで暮らし、大半のアメリカ大陸先住民は南北アメリカ大陸に住んでいる。

 しかし、ヨーロッパ人の子孫だけは、オーストラリア、南北アメリカ、アフリカ南部といった遠隔地にまで広く分布している。彼らは移植に成功した人間なのだ。でも、それはなぜなのだろう? ウクライナ生れのトマトと同じくらい、不思議に感じられた。

 世界中にヨーロッパ人が広がっていることを、従来の歴史学者は、ヨーロッパ人が優れていたからだと説明してきた。ヨーロッパ人の方が、彼らが征服し植民地化した土地の文化に比べ、社会システムの面でも船舶や武器類などの科学技術の面でもまさっていたからだ、と単純に説明してきた。ところがアルフレッド・クロスビーは、長期的に見れば、ヨーロッパの決定的な優越性は生物学的なものだった、としているのだ。

 大陸間を行き来したヨーロッパの船は人間だけでなく、時にはある目的のため、時には知らないうちに、動物や植物も運んでいた。コロンブスがアメリカ大陸に到着して以降、長年隔絶されていた生態系と生態系とが突然出合い、混ざり合った。この過程をクロスビーは、“コロンブス交換”と命名した。

 コロンブス交換によって、トウモロコシがアフリカに、サツマイモが東アジアに、ウマやリンゴがアメリカ大陸に渡り、ルバーブやユーカリがヨーロッパへ渡った。そして、多くの虫や植物、バクテリアやウイルスもまた交換されることになったのだ。

 コロンブス交換を引き起こしている当人は、自分のしていることをよく理解できずにいたし、なによりそれはコントロール可能ではなかった。しかし、コロンブス交換によって、ヨーロッパ人は世界の相当部分を激変させたのだ。彼らはアメリカ大陸とアジア、そしてアフリカ大陸の生態系のかなりを、ヨーロッパ風に変容させた。

 ヨーロッパ人が便利に活用できるように、時には先住民の気持などおかまいなしに新たな景観を作り出した。こうした生態学的変容が、イングランド(後にイギリス)、オランダ、フランス、スペイン、ポルトガルに、海外で領土を拡大できるような優位性を与えたのだ、とクロスビーは説明する。

 クロスビーの著作によって、“環境史学”という新しい研究分野が生れた。やはり新分野である“大西洋学”は、大西洋に接した地域の文化交流を分析するものだが、同様のアプローチは環太平洋地域でもなされている。この分野の研究者たちは、相互に影響し合わずにいられない現代文明というものがどうやって生まれてきたのかについて、新たな全体像を模索しているところだ。

 今日、“世界化(グローバリゼーション)”という言葉は、経済と文化が地球規模で密接にからみ合いながら拡大していく状態をさして使われている。しかし、この現象は、活気あふれるアジアとの貿易に参入したいと、ヨーロッパ人が強く望んだ16世紀にすでにはじまっていたのだ。そして、この願いこそが、コロンブスをはじめとするヨーロッパ人を航海へといざなった。

 こうして確立された新しい貿易システムは、生物学的にはほんの一瞬とはいえ、19世紀までに、地球を一つの生態系ゾーンへ変容させていた。ヨーロッパ人に適した生態系を拡大させたことにより、ヨーロッパは数百年間も政治的覇権を独占することになり、その間に今日の世界が形づくられたのだ。





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Last updated  2019.08.31 00:34:45
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