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2019.10.03
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カテゴリ: 歴史
図書館で『日本近代漫画の誕生』という本を手にしたのです。
この「日本史リブレット」というシリーズであるが・・・
図が多く、薄くて手頃で、元祖ビジュアル本という体裁がええでぇ♪






清水勲著、山川出版社、2001年刊

<「BOOK」データベース>より
本書は、近代漫画誕生の経過を七つのエピソードで紹介する。
【目次】)
1 幕末諷刺画の誕生とその発展/2 自由民権期の『団団珍聞』/3 『パック』と日本近代漫画/4 「漫画」という言葉の誕生/5 国際漫画雑誌『東京パック』の登場/6 日本最長寿漫画誌『大阪パック』/7 柳瀬正夢の漫画表現の変遷

<読む前の大使寸評>
この「日本史リブレット」というシリーズであるが・・・
図が多く、薄くて手頃で、元祖ビジュアル本という体裁がええでぇ♪

rakuten 日本近代漫画の誕生



北沢楽天と東京パックの盛衰を、見てみましょう。
p67~72
<近代的漫画スタイルの完成>
 明治末期の漫画ブームの火付け役となった『東京パック』には、漫画の持込みや投稿もあった。そうした作品や才能ある青年たちの作品も数多く掲載された。そのなかに小川治平・幸内純一らがいた。

 また有楽社が発売していた美術文芸雑誌『平旦』が明治39(1906)年4月に廃刊になると、その執筆メンバーたちを楽天は活用した。41年4月15日号(三周年記念号)は、作者名入りで漫画が掲載されるが、その20余の人々も『東京パック』の常連漫画家であったろう。したがって、第一次『東京パック』の漫画執筆者は少なくとも35人はいたことになる。

 楽天は即戦力の画学生を導入する一方で、長期的にみた漫画家の養成も行なった。明治39年、『東京パック』に載せた漫画家養成の広告に最初に応じて弟子に採用されたのは、下川貞矩(凹天)であった。

 『東京パック』が与えたもう一つの影響は、類似雑誌をたくさん生んだことである。前述の『東京ハーピー』『パック』、それに国木田独歩が独歩社の経営不振挽回策として出した『上等ポンチ』(明治39年8月創刊)、関西版として赤松麟作らが関係したといわれる『大阪パック』(明治39年11月創刊)などである。

 しかし、楽天主筆の『東京パック』の終焉はあっけなかった。明治44年の大逆事件後、楽天の筆力がにぶって売れ行きが落ちる。それによって有楽社社主の中村弥二郎とうまくいかなくなる。そんな折、中村が他の事業で借金をつくり、7人の金貸しの抵当に楽天と『東京パック』が入れられ、債権者に渡るという事件が起こる。

 楽天は「私は抵当物ではない」と、有楽社を明治45年5月退職してしまう。こうして第一次『東京パック』は終わり、楽天抜きの第二次『東京』が同年6月からスタートする。その中心メンバーは小川治平と森田太三郎であった。

 有楽社を退職した楽天は、明治45年6月15日、独自で漫画雑誌『楽天パック』を創刊し、続いて7月1日、婦人向け娯楽雑誌『家庭パック』を創刊する。しかし、そのころには漫画ブームは去り、いずれも2年半ほどで廃刊に追い込まれた。そこで楽天は再び古巣の『時事新報』の仕事に本腰を入れるようになる。この楽天の本格的復帰によって、『時事新報』は時々色刷り日曜付録「時事漫画」を出すようになった。

 大正7(1918)年ごろ、楽天は力量のある弟子を養成するために、研究会「漫画好楽会」を結成した。定期刊行の漫画付録を発行するためにその人材養成を行なったのである。そして、大正10年2月から『時事新報』日曜付録「時事漫画」を定期刊行する。そのおもなスタッフは小川治平・穂積稲天・河盛久夫・長崎抜天・在田凋らであった。

「時事漫画」は昭和6(1931)年7月に『漫画と読物』と改題、さらに昭和7年5月に『漫画と写真』と改題し、同年10月に終刊する。楽天は時事新報社を退職し、現役漫画家を引退する。かくして明治28年、横浜でスタートした楽天の漫画家生活は38年目にそのピリオドを打った。

 楽天の創始した『東京パック』(第一次)は、明治45年に編集者が代わって以来、第二次(明治45年~大正4年)、第三次(大正8年~12年)、そして昭和戦前期(昭和3年~16年)の第四次まで発行される。

 それらはいずれも多色刷による絵画性豊かな作品、すなわち風刺美術を生み出し、西洋漫画に強い影響を受けた近代的漫画スタイルの最高傑作の数々を生み出した。近代漫画は、この四次にわたる『東京パック』によって完成されたといってよいだろう。


『日本近代漫画の誕生』2 :北沢楽天
『日本近代漫画の誕生』1 :この本の冒頭





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Last updated  2019.10.03 08:44:24
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