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2019.10.05
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カテゴリ: 歴史
図書館で『日中戦争見聞記』という文庫本を手にしたのです。
この本には見覚えがあるような、ないような・・・ま、いいかと借りたわけです。

帰って調べてみると、6年ほど前に借りていました。で、この記事を(その3)としています。





コリン・ロス著、講談社、2003年刊

<「BOOK」データベース>より
盧溝橋での軍事衝突に始まる日中戦争。それは、軍国日本が東アジアに影を落とす時代の象徴的な事件である。1939年、この緊張高まる日本・朝鮮・中国・モンゴルをドイツのジャーナリストが訪れた。彼は、各地で会見した要人の人物像を犀利に語り、過酷な時局を生きる庶民の姿にそれぞれの民族性を洞察する。太平洋戦争前夜の極東を描く貴重な記録。

<読む前の大使寸評>
第二次世界大戦勃発時期の日中戦争をドイツ人ジャーナリストはどう見たか?
尖閣沖紛争がいつ起きても不思議でない昨今ですが、過去の日中戦争の実相が知りたいわけですね。

<読後の大使寸評>
追って記入

rakuten 日中戦争見聞記


香港ではデモ隊に実弾を撃ち込む騒ぎで荒れているが・・・日中戦争当時の香港を見てみましょう。

<3 香港を守るのは誰だ?>
「われわれは、最後の血の一滴までも香港を死守する!」・・・中国女性の新聞売り子が胸にかかげているプラカードに大きな文字で黒々と、こう書かれていた。 

 彼女はド・ヴォー路の香港=上海銀行の印象深い建物の前にかがんでいた。彼女に寄りかかるように、先端がとがった、ちょっと見たところ隆起した楯を思わす丸い麦わら帽子が置いてあった。体にぴったり合った衣服を着た彼女の細くやせた手足は、伝説上の女性戦士を想起させた。

 しかし、もう一度よく見直すと、彼女の肉体がやせているのは、体を鍛錬したりトレーニングをしたためではなく、飢餓と耐乏生活の結果であることがよくわかる。この新聞売り子の顔、とくに眼は、この百万都市の民衆の眼を象徴し、露命をつなぐための金を必死に求める表情であった。

 その一方で、一握りの階層の人々は、戦乱の中国からこの安全なイギリス領の島に持ち出した財産のことで四六時中頭を痛めていた。もっとも、香港も人々が考えているほどにはけっして安全でないことが、しばらく以前から明らかになっていた。

 極東で現在もっぱら話題にのぼるのは、香港の防衛問題である。もっと悪いことに、そもそも香港を防衛すべきだろうか、そして香港は防衛できるのか、ということが問題になっている。

 わたしたちの汽船が香港島と大陸に挟まれた狭い水路を通過してゆくと、前回の訪問の折には見られなかった砲台が岩壁の急斜面上部にずらりと並んでいた。前回来たときには、岩壁にはただ数門の長い砲身が見えただけであったのに、その頃から今日まで、イギリス軍は香港の防衛強化のために何百万ポンドもつぎ込んできたわけだ。

 この事実は、それ自体では、イギリスの防衛意志を如実に、物語っている。しかし、今度の場合、それを額面通りには受け取れない。そうでなければ、対日戦という事態になればこの島からの撤収が行なわれるであろうという風評が、あれほど執拗に語られなかったろうし、香港は最後の血の一滴までも防衛しなければならないと、司令官や総督が声を大にして強調する必要もなかったろう。

 イギリス人が今を去る数百年前にはじめてこの島に上陸したとき、岩の斜面には一本の樹木も生えていなかったが、今では、この島は緑におおわれている。
 点在する松林のあいだには、白い家屋が真ん中に建っている熱帯風の庭園が広がっている。そして屋敷や小ぢんまりとした邸宅が山の斜面に頂上まで建てられている。下部の屋敷のほとんどが富裕な中国人の所有であり、上部の屋敷はすべてイギリス人のものである。

 つい数年前までは、法律によって、有色人種が山腹に住むことは禁止されていた。だが今日では、この規制は廃止され、ただ風通しのよい涼しい山腹に住居を購入したり借家を求めたりするには、特別の許可がいるだけになった。ところが、この許可は通例、有色人種には与えられない。したがって、実際には、すべてが旧態依然たるものである。

 しかし、イギリス人によって設けられたそれ以外の有色人種規制措置は撤廃されている。香港の第一級ホテルでさえも、今日では白人に交じって有色人種の姿が見られるし、山腹の居住制限も三つの例外措置を除いて、緩和される方向に向っている。

 イギリスは、これによって、中国人を香港防衛の味方に引き込むことができるのか?
香港在住の中国人は、イギリスは香港から撤収するな、と声高に要求してはいるものの、内心では、珠江の河口を眼下に見下ろすこの島を奪ったのがイギリス人であることをけっして忘れてもいないし許してもいない。

 現在、富裕な中国人亡命者数千人が香港に居を構えており、蒋介石政府は、イギリス人が香港に留まっていることに最大の関心をはらっている。香港からは、現在でも重慶に直行航空便が運航され、中国における日本軍の未占領地域に至るありとあらゆる輸送手段が健在である。封鎖を無視して依然として中国の輸出品の相当部分が香港に運ばれ、さらにそこから船積みされている。

 以上のように、香港内外の中国人が、たとえ直接行動に自分たちが参加しないとしても、香港防衛のために最後の血の一滴までも要求しているのは十分に理解できる。

 勇ましいプラカードを掲げているが平和主義の新聞売り子は、香港の全中国人住民の象徴である。イギリスの領土におのれの住居を構えている中国人は、戦火を逃れ財産を安全な場所に移すために、香港に移住してきた。

ウーム 形は違うが、当時にも「一国二制度」みたいなものがあったようですね。

独ジャーナリストが見た日中戦争(その2) :日本の成功の秘訣p73~76、満州族p114~118、チンギスハンの国p154~159
独ジャーナリストが見た日中戦争(その1) :朝鮮での皇民化p81~84、p95~97、満州国p101~105、p285~289





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Last updated  2019.10.05 01:09:02
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