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2020.12.12
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『病が語る日本史』という文庫本を、手にしたのです。
新型コロナウィルスが猛威をふるっている昨今であるが、古来、日本人や御雇い外国人医師たちは、いかに病気に立ち向かってきたか・・・興味深いのでおます。





酒井シヅ著、早川書房、2008年刊

<「BOOK」データベース>より
古来、日本人はいかに病気と闘ってきたか。人骨や糞石には古代の人々が病んだ痕が遺されている。結核・痘瘡・マラリアなどの蔓延に戦いた平安時代の人々は、それを怨霊や物の怪の祟りと考え、その調伏を祈った。贅沢病といえる糖尿病で苦しんだ道長、胃ガンで悶え死にした信玄や家康。歴史上の人物の死因など盛り沢山の逸話を交え綴る病気の文化史。

<読む前の大使寸評>
新型コロナウィルスが猛威をふるっている昨今であるが、古来、日本人や御雇い外国人医師たちは、いかに病気に立ち向かってきたか・・・興味深いのでおます。

rakuten 病が語る日本史


いまでは見ることもなくなった寄生虫である。
「第一部 病の記録」で代表的な寄生虫を、見てみましょう。
p114~117
■7 日本住血吸虫症と肝硬変
 馬王堆の漢墓から発掘された遺体で、肝臓でに無数の虫卵が発見されたことはすでに述べたが、日本住血吸虫は古代からアジア全般に広く蔓延していたと考えられている。住血吸虫症の症状は腹痛など腸の症状から始まるが、住血吸虫が門脈に中に寄生するために、慢性になると肝臓や腸など腹部の臓器に虫卵が塊をつくり、それが害になって脾臓が腫れ、肝硬変になる。

 末期になると、腹水がたまって腹がパンパンに膨れる。その一方でからだはガリガリにやせてくる。そんな姿の老婆を描いた絵が『奇疾絵巻』に登場する。

 日本ではかつて住血吸虫が甲府盆地、静岡県沼津地方、利根川流域、広島県片山地方、筑後川流域に多かったが、住血吸虫症を最初に診断したのは東京大学の草創期の御雇い外国人ベルツであった。日本が近代医学を受け入れたときの師匠である。

 ベルツ自身、寄生虫病に大いに関心をもって観察していたが、弟子にも寄生虫の研究を奨励した。日本住血吸虫だけでなく、つつが虫病の研究などすぐれた研究などすぐれた研究が日本から始まった。

 明治37年(1904)に世界ではじめて住血吸虫が発見されたが、発見者は当時岡山医学専門学校校長桂田富士朗であった。彼は片山地方の住血吸虫症を研究して、虫体を発見したのである。その後、住血吸虫の乾癬経路の研究が続けられた。

 寄生虫病は人から人に直接感染しない場合が多い。他の動物のからだを通ってから人に感染する。それを中間宿主というが、住血吸虫の中間宿主はカタヤマガイである。それを発見したのが宮入慶之助であった。それでこの貝はミヤイリガイとも呼ぶ。
(中略)
■8 つつが虫病とケダニ
 つつがなく暮らしているかと遠方の友人への手紙に書くが、「つつがない」とはツツガムシがいないことから生れた。

 つつが虫病は昔から新潟、秋田、山形など日本海側三県の、日本海に注ぐ雄物川、最上川、信濃川の中・下流地帯で夏になると発生した。症状は突然、高熱・発疹で譫妄状態になり、半数近くが2週間から20日以内に死んだ病気である。人々は河原に行くと、ケダニという毒虫に刺されて発病することを知っていた。

 つつが虫病の病原体はダニの一種のツツガムシが保有するリケッチアである。ツツガムシの幼虫は河原に住む野ネズミや野鳥に寄生して、そこに立ち入った人を刺すと、リケッチアが人体に入って発病した。

 山形県南部の米沢では上杉藩の時代、中央の最上川が蛇行しながら北上している地域でつつが虫病が発生した。とくに沿岸の鮎貝村、畔藤村、田尻村、石那田村、広野村一帯が洪水の氾濫で大きな被害をうけたあとが、土砂に覆われ、雑草が繁茂して、茫々たる草原になったが、そこにいつしかケダニが大発生して、草刈りを行った土地の人が毒虫に刺され、高熱を出して命を落とす者がたくさん出た。

 土地の者は河原に近づくことを怖れたが、牛馬のための草が豊富な土地へあえて危険を冒して、草刈りに行って、病に倒れたのである。それで万延元年(1860)、河原に毛谷大明神をまつる祠が建てられたのであった。

 ベルツは洪水を繰り返す河原につつが虫病が発生することを聞き、これを研究していた日本人医師の仕事をもとに、「日本河川熱あるいは洪水病」という論文を書いて海外にも紹介した。この病気を世界に紹介した最初の論文である。

『病が語る日本史』2 :コレラ大流行
『病が語る日本史』1 :胃ガンと食道ガン
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Last updated  2020.12.12 00:46:21
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