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2020.12.28
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カテゴリ: アート
図書館で『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』という本を、手にしたのです。
この本の表紙には、なんか見覚えがあるが・・・ま いいかということで借りたのです。帰って調べると、やはり借りるのは二度目でした。ということでこの記事は(その4)とします。





辛島デイヴィッド著、みすず書房、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
村上春樹と英米出版界のスペシャリストたちの冒険。A・バーンバウム、E・ルーク、L・アッシャー、J・ルービン、G・フィスケットジョン、チップ・キッド…、そして村上春樹。Haruki Murakamiの世界への飛翔までの道のりを、30余名へのインタビューをもとにたどる、異色の文芸ドキュメント。

<読む前の大使寸評>
内容を覗いてみると、翻訳がテーマとなっているようで・・・
これが太子のミニブームにいたく響くわけでおます♪

rakuten Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち


翻訳家バーンバウムができるまであたりを、見てみましょう。
p7~10
<1 ボヘミアンな翻訳家ができるまで>
 アルフレッド・バーンバウムは、十年近く前に井の頭公園の近くに購入した家に、ミャンマー人の妻と二匹の猫と暮らしている。二階の十畳ほどのリビング・ダイニングは線路に面していて、踏切の警報機が数分に一度大きな窓の向こう側で点滅する。吉祥寺方面ユ行の電車がたまに踏み切りの手前で停まると、車内から目を丸くして(個人宅というよりはおしゃれなカフェを思わせる)リビングを見上げる人たちにバーンバウムが手を振る。

 1970年代後半に大学を出てから、バーンバウムは主に翻訳、編集、ビデオ・アートなどの仕事をフリーランスで受けて生計を立ててきた。50歳を過ぎて日本で家を買うことにしたとき、銀行でローンが組めず、蓄えで買える物件を探すほかなかった。シアトルのマンションを売却し、母からも少なくない金額を借り、何とか買うことができたのは、線路沿いの狭い土地に建つ築50年近い一軒家。

 もともと建築に興味があり、「家事も料理もそれこそ翻訳も、とりあえず何でもこなす」自称「なんでも屋」のバーンバウムは、壁をつぶすのも、階段を入れるのも、天井を張り替えるのもほとんど自ら一人でやった。

 リビングの棚の本は、「引っ越しを繰り返してきたし、読み終わったら基本的に人にゆずるので」翻訳家にしては多くない。ウィル・セルフのThe Book of DaveやDr.Mukti(「とてもいい作家。特にユーモアのセンスが素晴らしい」)、ゼイディー・スミスNW(「読んだかな?」)、トマス・ピンチョンBleeding Edge(「もらいもの」)の他には、フリオ・コルタサルやホルヘ・ルイス・ボルヘスの小説のスペイン語の原書が並ぶ(「これらは何度も読んだ」)。

 村上春樹の本は? そう尋ねると「今でも送られてくるので、最新刊はまだ届いていない気がするけど、探せばほとんど出てくるはず」とのこと。

 本の代わりに棚に所狭しと並ぶのは版画。客員教授を務める神戸芸術工科大学の特殊プリンターで印刷し、巻物の形にしてある。壁には日本、アジア、南米などの旅先で集めた仮面がかかっている。今でも数ヶ月に一度は海外に出るが、これまで数年に一度、国内外で引っ越しを繰り返す「移り住み」の生活を送ってきたバーンバウムからすれば、ようやく1ヶ所に根を下ろした感がある。引っ越してすぐ植えた無花果の木も屋根まで達し、昨年は5キロの実をつけた。

 日本文学研究の巨匠ドナルド・キーンは、2011年3月11日の震災をきっかけに、2012年、90歳目前で日本国籍を取得し、日本に骨を埋めるべく墓も準備した。バーンバウムは、なぜ日本に根を下ろすことにしたのだろうか。
「単純に住み慣れているから」

 1998年に結婚してから(ミャンマーの首都ヤンゴンで開かれた披露宴には、村上もカメラを首から下げて参加した)しばらくは、冬はミャンマー、夏はシアトル、春と秋は日本、と季節ごとに住み分けていた。が、十数年前に、当時住んでいたミャンマーからビザが下りなくなり、「ある日突然、家に帰れなくなった」。母も一昨年亡くなり、アメリカに行く必要性も以前ほどない。

「日本に骨を埋めるとかの大そうな発想はないけど、結局、最も長く住んだのが日本。少なくともアメリカよりも、日本の方が異邦人だという感覚が薄い。妻もアメリカより日本の方が住みやすいって言うし、完璧な場所なんてないし、ここなら仕事もある。ミャンマーに住んでいる時も仕事の大半は日本人相手だった。吉祥寺エリアも住むのは三度目で慣れ親しんでいる。できれば日本で家は買いたくなかったけどね。価値が下がるだけだから(笑)」。

『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』3 :村上さんの「冬の時代」p236~238
『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』2 :出版社の出版事情p32~35
『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』1 :翻訳家バーンバウムのケースp23~27
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Last updated  2020.12.28 10:23:53
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