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2021.03.12
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カテゴリ: メディア
<英国のデジタルディバイド>





(欧州季評)コロナ禍、見えてきた公益 小さな政府より公助の時代 より
 英国では、ウェブサイトやテレビのニュース番組で示される「本日のコロナ情報」が1月から少し変わった。新規感染者や死者の数に、「ワクチン接種者数」が加わったのだ。

 わが家でも、がんを患ったことのある配偶者は「基礎疾患を有する者」のカテゴリーに入っているので、2月に1度目のワクチン接種を受けてきた。 通知は配偶者のスマホにSMSメッセージで来た。メッセージには自分で日時を予約するためのリンクが貼られていて、NHS(国民保健サービス)の予約サイトに飛ぶようになっていた。

 息子が通う中学校ではPCR検査が始まった。3月8日からのがっこうでの授業再開に向け、その前週に生徒たちが定められた時間に学校へ行って、仮設の施設で検査を受けた。息子が検査を受けることに対する保護者のコンセント・フォーム(同意書)も、NHSのサイトに行ってオンラインで提出した。

 全3回の検査を受けた後、生徒たちは毎回、渡されたQRコードを自分のスマホで読み取り、やはりNHSのサイトに飛んで住所や氏名やメールアドレスを登録する。結果もメールで送られてくる。

「これ、家にWiFiがない生徒はどうやってNHSのサイトにアクセスするんだろうね。スマホを持ってない人とか…」
 素朴な疑問を漏らすと息子が答えた。
「さあ、どうするんだろうね」
 とはいえ、息子の学校では、ロックダウンでオンライン授業に切り替わるときに、学校が地元の慈善団体と協力し、パソコンやネット環境のない生徒たちが一人もいないように都合をつけた。


 だから今回の検査でも困っている生徒はいないだろう。だが、英国の全ての公立校がそうだとは限らない。

            ◇
 1月には、貧困家庭の子どもたちへのWiFi無料バウチャー配給を政府が取りやめた、とBBCが報じていた。英通信大手ブリティッシュ・テレコムがその提供をオファーしていたのに、政府が効率的な配給に手間取ったことが理由だったという。この同社側の主張に対し、英国教育省のスポークスマンは、同社提供のインターネット接続は「安定せず、確実でない」から配給しなかったと述べている。

 思えば2019年12月に行われた総選挙で、コービン党首率いる労働党は、ブリティッシュ・テレコムの一部を国有化し、全ての国民に高速のブロードバンドを無料提供する政策を打ち出した。

 財政支出拡大の「大きな政府」路線を打ち出したコービン労働党の政策は、過去10年におよぶ緊縮財政に慣れてしまった有権者の間で、「財源はどこから出てくるんだ」と不人気で、特にこのブロードバンド無料化計画は「税金の無駄遣い」「そんなものまでいらない」と言う人が周囲にも多かった。

 だがコロナ禍のいまになってみると、これほど必用な政策はなかったのではと思える。 コロナ禍中のデジタルディバイドは「リモートワークができる人と、できない人」「オンライン授業に参加できるきる子どもと、できない子ども」の格差だけにとどまらない。いまやワクチン接種からPCR検査といった健康にかかわる公共サービスでさえ、ネットがなければ迅速にうけられない。

            ◇
 ところで、英国で広域なワクチン接種が始まってから珍しく通貨ポンドが上昇している。年内の本格的な経済再開への投資家の期待が高まっているからだという。

 14年に米王手製薬会社ファイザーが英国のアストラゼネカ社を買収しようとしたことがあった。英国の労働組合や科学者たちは、国内の雇用や科学研究の削減につながると警鐘を鳴らした。バイオテクノロジーで科学界を支える立場にある同社が米企業に買収されたら国にとってダメージになると懸念する声もあった。労働党は、この買収に「公益性審査基準」を適用すべきだと求めたが、政府は、株主にかかわる「商業的な問題」として介入しなかった。

 結局、買収は成立しなかったが、オックスフォード大学が昨年4月に新型コロナワクチン開発のパートナーに選んだのがアストラゼネカで、有効性が確立する前から英政府はワクチンを1億回分確保できた。ワクチン接種も順調に進んでいる。

 今年に入ってから、EU(欧州連合)はアストラゼネカに英工場製のワクチンを要求したり、ワクチンの域外輸出規制を打ち出したりしていいるが、英国には国内での供給ウがすでに十分にあった。

 株主の利益だけを追及し、アストラゼネカが米国企業の傘下に入っていたとしてもこれは可能だっただろうか? それはわからない。だが、あの時、買収の公益性を問う意見が出たのは、今になると興味深い。

 1990年代、クリントン米大統領は「大きな政府の時代は終わった」と宣言した。代わって、市場への介入を最小限にする「小さな政府」がこれからの道と言われた。 しかし、コロナ禍は小さな政府の時代を終わらせそうだ。たぶんこれからは、きちんと自らの仕事をする政府の時代だ。その仕事とは公益を守り、公助を行うことである。


ウーム 英国のデジタルディバイドは、日本よりはるかに小さいようですね。
なにしろ日本は、これからデジタル庁を作ってお役所改革を目指すんだものね。


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Last updated  2021.03.12 21:37:43
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