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2021.03.18
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カテゴリ: メディア
図書館で『日露戦争と新聞』という本を、手にしたのです。
開戦論に傾くメディアを今日的に見つめることも意義深いのではないかと思ったのです。




片山慶隆著、講談社、2009年刊

<「BOOK」データベース>より
日露戦争の時代、新聞界は黄金期を迎えていた。福澤諭吉創刊の『時事新報』、陸羯南主筆『日本』といった高級紙から伊東巳代治による『東京日日新聞』、徳富蘇峰『国民新聞』や『東京朝日新聞』など時の政府に近いもの、政治家の女性問題のようなゴシップから政府・大企業批判、リベラルな主張までを載せる『萬朝報』『二六新報』。知識人から下層階級、政府支持から社会主義者まで、多様な読者に向けた無数で雑多な新聞が、大国との戦争へと向かう日本と世界をいかに語り、論争をしたか。膨大な史料を掘り起こし、新聞が大企業化する以前の、粗野で豊かだった時代を活写する、メディア史研究の試み。

<読む前の大使寸評>
開戦論に傾くメディアを今日的に見つめることも意義深いのではないかと思ったのです。
rakuten 日露戦争と新聞




「第3章 日露戦争勃発」で当時の新聞界あたりを、見てみましょう。
p89~92
 1904年2月、いよいよ日露戦争が勃発した。本章の主題に入る前に、日露戦争が開始してからの戦争の様子について概略を記すことにしよう。

 2月8日のカイ戦後、日本海軍は仁川および旅順口の海戦で大勝利を収め、陸軍は仁川から上陸してソウルを占領した。朝鮮半島に上陸した師団で形成された第一軍は、5月1日に鴨緑江を渡って九連城を占領し、5日には第二軍が遼東半島に上陸を開始。

 また8月10日には黄海海戦、8月28日から9月4日の遼陽会戦、10月10日から20日の沙河会戦と、日本軍は重要な局面でロシア軍にことごとく勝利した。そして、日本軍で英雄的な活躍をした軍人が日本国内で称賛され、広瀬武夫海軍中佐、橘周太陸軍中佐といった「軍神」が生れたのである。

 一方、ロシアでは、戦況の悪化と軍費の負担が民衆の不満を呼び、1905年1月には「暴動」に発展し、第一次ロシア革命が起こることになる。戦局が不利な状況で、ロシアは海戦での勝利を目指して、バルト海からバルチック艦隊を東アジアに派遣することになるが、その際にイギリスの漁船を誤まって攻撃してしまい、イギリスから激しい批判を受けることになった。

 さて、ではそうした戦時下において、ロシアに対しては敵愾心を煽るような論調しかなく、同盟国たるイギリスには好意的な姿勢しかなったのであろうか。この章では、新聞から見える当時の外国認識の多様性を示すとともに、敵国や同盟国を従来とは異なる角度から捉え直していきたいと考えている。

 具体的に言えば、ロシアに関しては専制国家や野蛮な国家として批判し、日本国内でも「露探(ロシアのスパイ)」騒動が起きる一方で、ロシアの民衆には共感を示す新聞があった。また、イギリスにも同盟国として評価が高まる一方で、ロシアの同盟国フランスとの接近に疑念を表明する新聞もあったのである。

<「野蛮」としてのロシア>
 すでに戦争勃発前から対露開戦論を訴えていた新聞界は、戦争協力に動き出すことになる。海戦直後の1904年2月14日、『国民新聞』の徳富蘇峰、『東京朝日新聞』の池辺三山、そして『萬朝報』の黒岩周六らの呼びかけで、軍人に後顧の憂いを抱かせないための相談会が開かれ、これがきっかけとなって有志による国民後援会が結成された。

 桂内閣と近い関係あった徳富、池辺だけでなく、黒岩も挙国一致の雰囲気づくりに一役買ったのである。このような状況で、新聞では、敵国であるロシアに対して攻撃的な主張が目立つようになったのである。だが、その一方で、ロシアの民衆に共感を示す首長や、捕虜の扱いに関して冷静な対応を呼びかける新聞もあった。
 本節では、このようなロシアに対する日本の新聞の姿勢を見ていくことにしたい。

■専制国家ロシア
 開戦当初から、日本の新聞によるロシア認識に特徴的なのは、ロシアが専制国家であることから生じるマイナス・イメージである。たとえば、典型的な例として、『時事新報』に見られるロシアに対する認識を挙げてみよう。

 『時事新報』は、戦争勃発直後からロシアに対する非難を行っている。同紙によると、ロシアは専制政治だが、「専制国の政治家は立憲国に於けるが如く議会に対して言責を負い国民の〇望を得て地位を得んとせず唯、君主の寵を私して政権を縦(ほしいまま)にせんとする」ために、宮廷において「文治派と武断派」が絶え間なく争っている。そして、「一部の権臣が自己の虚栄心に駆られて放漫なる国策」を行っていると主張した。


『日露戦争と新聞』2 :開戦論の完成
『日露戦争と新聞』1 :日露関係の緊張
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Last updated  2021.03.18 00:00:59
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