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2021.06.10
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カテゴリ: 気になる本
図書館に予約していた『ワールドサイドをほっつき歩け』という本を、待つこと8ヶ月ほどでゲットしたのです。
ロンドンの労働者階級のおっさんたちと呼応する熱きハートを持つ著者である。
その熱きハートで、身の回りをクールにレポートするところが・・・ええでぇ♪



【ワールドサイドをほっつき歩け!】


ブレイディみかこ著、筑摩書房、2020年刊

<「BOOK」データベース>より
EU離脱、競争激化社会、緊縮財政などの大問題に立ち上がり、人生という長い旅路を行く中高年への祝福に満ちたエッセイ21編。第2章は、現代英国の世代、階級、酒事情についての著者解説編。

<読む前の大使寸評>
ロンドンの労働者階級のおっさんたちと呼応する熱きハートを持つ著者である。
その熱きハートで、身の回りをクールにレポートするところが・・・ええでぇ♪

<図書館予約:(9/19予約、副本13、予約218)>

rakuten ワールドサイドをほっつき歩け


「第一章 This Is England」の冒頭から見てみましょう。ロンドンの労働者階級がレポートされています。
p11~15
<1 刺青と平和>
『ハマータウンの野郎ども―学校への反抗・労働への順応』(ちくま学芸文庫) という有名な本がある。ポール・ウィリスという文化社会学者が書いたこの本は、1977年に英国で出版され、以降、エスノグラフィーや教育社会学に携わる人々に多大な影響をおよぼしてきた。

 なんて書くとやたら小難しい本のようであるが、要約すれば、英国の労働者階級のガキどもは反抗的で反権威的なくせして、なぜ自分たちから既存の社会階級の枠にはまり込んで行っちゃうのか。自らガテン系の仕事を選び、いかにもな感じの労働者階級のおっさんになりがちなのか。ということを研究した本だった。

 わたしは1996年から英国に住んでいる人間だが、わたしの連合いは、この本の著者ウィリスが労働者階級の少年たちの調査を始めた1972年に16歳になったのであり、この本に出てくる少年たちとちょうど同じ年代になる。ゆえに当然ながら彼の友人たちも同じぐらいの年齢の人々だ。

 『ハマータウンの野郎ども』という書物に封印された少年たちは永遠に老いない。が、あれから40年。いまやすっかりおっさんとなり果てた現実の「野郎ども」は、転職ありリストラあり、養育費あり借金あり、暴動あり腰痛あり、の山も谷もある人生を送ってきた。労働者階級のクソガキとしてワールドサイドを歩いていた彼らは。いったいどのようなおっさんになり、何を考えながら人生の黄昏期を歩いているのだろうか。というようなことに思いを馳せるとき、うちの連合いや友人たちはその格好の研究サンプルになる。

 例えば、連合いの幼なじみにレイというおっさんがいるのだが、簡単に彼の略歴を紹介しておくと、レイは1956年、連合いと同じ年にロンドンのイーストエンドにあるレイトンストーンという街で誕生した。父親は塗装業者、母親は清掃作業員で、典型的な労働者階級のの家庭で育った。で、セカンダリー・スクール()を卒業した彼は、近所の自動車修理工場に勤め、30代になったとき、一念発起して自分の修理工場を開くもやがて倒産。しょうがないのでRACに勤務することにした。

 RACという会社は、路上で車がガス欠を起こしたりして動かなくなった場合に修理工を派遣する「ロードサイド・アシスタント・サービス」を行っている組織で、レイはその派遣修理工、一般に「RACパトロールマン」と呼ばれている人々の一員になった。

 この頃の彼は、会うたびに仕事の愚痴をこぼしていた。それはだいたい「車が動かなくなった」という連絡を受けて現場に向かってみれば、助けを待っていたカスタマーがめちゃくちゃ態度が悪かった、偉そうだった、無理難題を言いやがった、みたいな話であり、あの頃のレイは「BMWに乗った金持ちは世界で一番ファッキン性格が悪い」とか「アルファ・ロメオを運転している男は漏れなくIQが二桁ない」などの偏見を世にまき散らしていた。

 そんなストレスフルな業務のせいか、レイはいつしか大酒飲みになってしまい、週末など土曜の朝から日曜の夜までぶっ続けで飲んでいることもあり、そんなことをしているとえらいことになりますよ、もう若い頃とは違うのだから、とたしなめていると本当に肝臓を患って「このままでは死にますよ」と医師に言われた。

 だから、すっぱり酒をやめ、人生の仕切り直しを図ることにしたのである。こんなときこそ家族の支えがたいせつになるが、人生を仕切り直す前に愚痴っぽかったのに加え、泥酔して暴力的になることもあったため、病院から出てきたら妻子が蒸発していた。

 レイは衝撃を受けたが、「まあ俺の人生だから、こんなもんだろう」と事態を意外と冷静に受け止め、断酒を続けながら職場復帰して地道に仕事をこなした。しかし、毎日ファミリーのいない家に帰るのも寂しいし、もうパブにもいけないし。ってんで、スポーツジムに通い始めたら、そこでピンクのトレーニングウェアにヒョウ柄のコートを着てやってくる、ブロンドの若い女性を見初めてしまう。で、半年ぐらい遠くからぼうっと眺めていたらしいが、そんなおっさんの不器用で熱い視線に女性のほうも気づいたのだろう。ある日、なぜか彼女のほうからお茶に誘ってきて、あれよあれよという間に同棲を始めていた。ハピネスとはどこに転がっているかわっからない。

 このセクシーな30代の女性はレイチェルと言い、実はやり手のビジネスウーマンで、ロンドン東部に二軒の美容院を経営し、本店で自分も美容師として働いている。が、過去の複数のパートナーたちとの間に三人の子どもがいて、現在はシングルマザーだった。

 だから自分が働いている間は子どもを保育園に預けたり、ベビーシッターを雇ったり、育児面での出費がかさんでいた。で、レイは四人の子どもを育て上げたベテランの父親だったし、ここは彼が仕事をやめ、レイチェルの三人の子どもの面倒を見ながら家事をこなしたほうが、経済的に安上がりだよね、ということになって、レイは早期退職したのだった。

 そんなこんなで過去6年ばかり、パートナーとして幸福に暮らしてきたレイとレイチェルだったが、二人の間に大きな亀裂を生じさせる出来事が勃発した。2016年6月のEU離脱(ブレグジット)の国民投票である。国民投票が近づくにつれて、それまですこぶる順調だった家庭生活に暗雲が立ち込めてきたのである。

「英国は離脱したほうがいいなんて何考えてんのよ、あんた! あたしのビジネスはどうなるの? うちは美容師も顧客も、はっきり言って70%はEU圏からの移民なのよ」
 とレイチェルが激昂すれば、レイは

「そうやってロンドンを外国人に明け渡したのは、EUなんぞの言うなりになってグローバル資本主義を進めてきた政府だ。だいたい俺らはブリュッセルのEU官僚なんて選挙で選んでねえんだぞ。俺らの国の主権はどうなってんだ」
 とやり返す。


元底辺中学校での生活が『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で語られています。

【ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー】


ブレイディみかこ著、新潮社、2019年刊

<「BOOK」データベース>より
大人の凝り固まった常識を、子どもたちは軽く飛び越えていく。世界の縮図のような「元・底辺中学校」での日常を描く、落涙必至のノンフィクション。

<読む前の大使寸評>
待つこと11ヶ月か・・・個人的には最も長く待っていた本だろう。

<図書館予約:(11/13予約、副本19、予約546)>

rakuten ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー


『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』1 :元底辺中学校への道

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Last updated  2021.06.16 13:27:02
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