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2021.06.18
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『〆切本』という本を、手にしたのです。
ぱらぱらとめくってみると、新旧の作家たちが如何に〆切に悩まされているか、〆切をのばしてきたか、が載っていて面白そうでおます。





左右社編、左右社、2016年刊

<「BOOK」データベース>より
作家としめきり、悶絶と歓喜の94篇!
【目次】
1 書けぬ、どうしても書けぬ(机(田山花袋)/文士の生活/執筆/読書と創作ほか(夏目漱石) ほか)/2 敵か、味方か、編集者(自著序跋(川端康成)/編集中記(横光利一) ほか)/3 〆切りなんかこわくない(私の発想法(山田風太郎)/北国日記(三浦綾子) ほか)/4 〆切の効能・効果(のばせばのびる、か(外山滋比古)/勉強意図と締め切りまでの時間的距離感が勉強時間の予測に及ぼす影響(樋口収) ほか)/5 人生とは、〆切である(イーヨーのつぼの中(小川洋子)/自由という名の不自由(米原万里) ほか)

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくってみると、新旧の作家たちが如何に〆切に悩まされているか、〆切をのばしてきたか、が載っていて面白そうでおます。

rakuten 〆切本


村上春樹さんの話しを、見てみましょう。まあ、凄いわ。
p241~243
<植字工悲話:村上春樹>
 この連載をはじめてからもう8ヶ月めになる。「締め切りのある人生は早く流れる」というのはあるアメリカのジャーナリストの言葉だが、まったく御説のとおりである。ウンチクを傾けるみたいで申しわけないが、英語では締め切りのことを「デッドライン」と言う。デッドラインという言葉にはこの他にも「死線・囚人がこれを越えると銃殺される」(研究社リーダーズ英和辞典)という意味もあって、これは日本語の「締め切り」よりはずっと語感が切実である。恐いですね。

 もっとも締め切りというのは作家の側ばかりではなく、相手の編集者にとっても文字どおりのデッドラインなのであって、編集者と話しているとよくこの締め切りのことが話題になる。

 ①締め切りに遅れる ②悪筆 ③生意気というのは作家が編集者を泣かせる三大要素と言っても差し支えないだろう。僕は③に関してはかなり心覚えがあるが、①と②についてはまず潔白である。締め切りは大体ちゃんと守るし、字はとびっきり読みやすい。だから締め切りに遅れがちな作家や悪筆の作家についての愚痴なんかは他人事として笑って聞き流せるし、「うーん、それはひどい」なんて適当に編集者に同情しちゃったりもする。

 それにだいたい遅筆・悪筆というのは才能や人格とは(おそらく)無縁の性向・傾向だから噂話としても比較的カラッとして明るい。

 編集者の話によると大御所的な作家になると中には締め切りの4、5日前に編集部に電話をかけてきて「あー、君、今回の連載は休みだ!」と言ったきりがちゃんと電話を切っちゃう人もいるらしい。そうなると雑誌はもうてんやわんやの騒ぎになってしまう。

 面白いといえば面白そうだけど、僕なんかがそんなことしたら即刻どこかの原っぱにひきずり出されて銃殺されてしまうことだろう。5分後に電話をかけて 「今の嘘、ウソ。ちゃんと原稿できてますから」なんて言っても二度と仕事はまわって来るまい。

 そこまでなくても編集者が作家の家に泊まりこんだり、受けとった原稿を猛スピードで車を走らせてやっとデッドラインの1時間前に印刷所に放りこんだなんていう類の話はよく耳にする。「もう××さんには参っちゃうんだから」と編集者はグチるかれど、僕なんかが聞いていると編集者の方もけっこうそういうデッドライン・ゲームを楽しんでいるのではあるまいかという気がしなくもない。

 これでもし世間の作家がみんなピタッと締め切りの3日前に原稿をあげてしまうようになったら(そんなことは惑星直列とハレー彗星がかさなるほどの確率でしか起こり得ないわけだが)編集者の方々はおそらくどこかのバーに集まって 「最近の作家は気骨がない。昔は良かった」なんて愚痴を言っているはずである。これはもう首をかけてもいいくらいはっきりしている。

ウーム 話を面白くしている気味が無きにしもあらずであるが、まあ、凄いわ。

『〆切本』2 :編集者をめぐるいい話
『〆切本』1 :高橋源一郎の〆切対処法





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Last updated  2021.06.18 00:13:15
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