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2021.08.16
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『ペリリュー・沖縄戦記』という本を手にしたのです。
終戦記念日が近くなると、新聞やテレビ放送でも戦記ものが増えてきます。
この本ではアメリカ海兵隊の一兵士の体験が綴られているが、戦闘の実態が明らかにされたドキュメンタリーとなっているようです。






ユージン.B・スレッジ著、講談社、2008年刊

<「BOOK」データベース>より
「戦争は野蛮で、下劣で、恐るべき無駄である」。硫黄島に匹敵する損害率を記録した一九四四年秋のペリリュー島攻略戦、そして四五年春の沖縄上陸戦。二つの最激戦地でアメリカ海兵隊の一兵歩が体験した「栄光ある戦争」の現実とは?敵味方を問わずおびただしい生命を奪い、人間性を破壊する戦争の悲惨を克明かつ赤裸々に綴る、最前線からの証言。

<読む前の大使寸評>
終戦記念日が近くなると、新聞やテレビ放送でも戦記ものが増えてきます。
この本ではアメリカ海兵隊の一兵士の体験が綴られているが、戦闘の実態が明らかにされたドキュメンタリーとなっているようです。

rakuten ペリリュー・沖縄戦記


ペリリュー島上陸あたりを、見てみましょう。
p72~79
<第三章 ペリリュー島へ>
 8月下旬、われわれはパヴヴ島での訓練を官僚した。26日ごろ、K中隊はLST(戦車揚陸艦)661に乗艦。三週間にわたる航海ののち、ペリリュー島の海岸に敵前上陸することになる。

 ペリリュー島を強襲するライフル中隊を乗せたLSTはアムトラック(水陸両用トラクター)を積んでいた。このアムトラックが、上陸を敢行する兵員をLSTから海岸へと運ぶのだ。われわれが乗り込んだLSTは、中隊全員を収容するだけの兵員室を備えておらず、どの小隊がどの場所を占めるかは、それぞれの小隊長がくじを引いて決めた。わが迫撃砲班は運に恵まれた。艦首楼にある、主甲板に面した兵員室を引き当てたのだ。主甲板に固定された上陸用舟艇や装備の下、あるいはその周囲に陣取ることを余儀なくされた小隊もあった。

 錨を上げると、われわれはまずガダルカナル島へ直行し、第一海兵師団はタサファロンガ沖で機動演習を行った。このあたりの海岸線はわれわれが上陸をめざすペリリュー島とは似ても似つかない地形だった。それでも数日間にわたり、大部隊や小部隊で上陸演習に励んだ。

 ガダルカナル島の上陸作戦に加わった古参兵のなかには、そのとき命を落とした戦友の墓を訪れたいと望む者もいた。だが顔見知りの古参兵たちの願いは聞き入れてもらえなかった。彼らの憤懣やるかたない気持ちは私にも理解できた。

 訓練の合間を縫って、私は仲間といっしょに海岸をあちこち見て回った。そこここに打ち捨てられた日本軍の上陸用舟艇が残骸をさらし、かく坐して炎上した輸送船、山月丸や二人乗りの潜航艇の残骸も目に留まった。ガダルカナル島の戦いに加わった古参兵の話によれば、難なく上陸してくる日本軍の増援部隊を、なすすべもなく丘の上から眺めているのはひどく心細いものだったという。

 当時、ガダルカナル島を含むソロモン諸島一帯の制海権は日本海軍が握っていたのだ。激戦の模様を物語るかのように、今も一帯はおびただしい樹木がなぎ倒されたままになっていて、ジャングルの茂みのあいだには、白骨と化した数体の遺骸を目にすることができた。

 気が重くなることばかりではなかった。毎日午後、訓練を終えてアムトラックで帰還すると、われわれは船室に駆け込んで装備を片づけ、裸になって、主甲板の下にある戦車甲板へ降りていく。アムトラックがすべて帰還したあとも、艦首の扉と昇降ランプは降りたままになっている。兵士たちがシーラーク水道の青い海(〇)で泳げるようにという艦長の計らいだった。われわれは何のためにここにいるのかも忘れ、童心に返って美しい海で泳ぎ、もぐり、水を撥ね上げた。数時間がまたたく間に過ぎていった。

 第一海兵師団の強襲部隊を乗せた30隻のLSTは、9月4日早朝、ついに錨を上げ、一路ペリリュー島をめざして進発した。3400キロ近い航海のあいだ、海は穏やかで、スコールも一度か二度しかなかった。

 毎朝、食事を終えると、私は仲間といっしょに艦尾の扇形甲板へ出かけていき、ヘイニー一等軍曹のショーを見物するのが日課になった。カーキ色の半ズボンと軍用ブーツにゲートルという出で立ちの軍曹は、例によって銃剣突撃の練習とライフルの手入れを律儀に行うのだ。(中略)軍曹はざっと1時間ばかりこの儀式を続ける。

 ときおり、通りがかった水平が目を丸くしてヘイニーを見つめることもあった。あいつは頭がいかれているのかと、尋ねる水平もいた。(中略)

 海軍の水平たちは、海兵隊の歩兵は少し頭がおかしくて、荒くれ者で、向こう見ずな連中だと思っているらしい・・・私はいつもそんな風に感じていた。もしかすると、そのとりかもしれない。だが「どうにでもなれ」と開き直った態度でいなければ、戦場で待ち受ける運命に正気で立ち向かうことなどできなかったろう。

 われわれ兵卒は、めざすペリリュー島がどのようなところかろくに知らなかった。パヴヴ島での訓練中には、フィリピンに侵攻するダグラス・マッカーサー将軍の右翼線の安全を確保するために攻略する必要がある島だということ、またペリリュー島には将軍を支援するのに格好の飛行場があるということは聞かされていた。
(中略)

 パヴヴ島を離れるに先立って、われわれは第一海兵師団がペリリュー島攻略に備えて約2万8000人に増強される予定だと聞かされていた。しかし、誰もが知っていたように、増強される予定の要員には、戦闘訓練を受けてもいなければ、戦う装備も備えていない連中が数多く含まれていた。彼らは師団付きの特殊技能兵であり、強襲部隊の上陸前は艦上で、その後は海岸で物資の補給をはじめとする任務につくことになっていた。彼らは実際に戦うわけではなかったのだ。

 ペリリュー島へ向けて出航した時点で、第一海兵師団は将兵1万6459人を数え、1771人が後方部隊としてパヴヴ島に残った。このうち歩兵は三個連隊、わずか9000人ほどにすぎない。情報部によれば、ペリリュー島には1万人以上の日本軍守備隊が待ち受けていると推定されていた。われわれ歩兵のあいだでは、もっぱら双方の兵力の比較が話題の的となっていた。

<上陸前日>
 1944年9月14日、夕食を済ませた私は、仲間と二人でLST661の手すりに寄りかかり、戦争が終わったら何をしたいか語り合った。私は翌日のことは気にかけていないふりをした。相手も同じだった。二人とも、相手と自分を少しは欺くことができたかもしれない。だが、本心を隠し通すことはできなかった。(中略)

 そのとき、ある思いが稲妻のように私を貫いた・・・自分は明日、生きてふたたび夕日を見ることができるだろうか? パニックに襲われた私は、膝から力が抜けそうになった。私は手すりを握りしめ、会話に夢中なふりをした。

 船団の影が海上を滑る黒い塊と化していくころ、艦内スピーカーの声が二人の会話を遮った。「総員に告ぐ。総員に告ぐ」。二人で、あるいは少人数のグループで静かに会話をしていた仲間たちは、いつもに増して真剣に命令に聞き耳を立てているように見えた。「全員兵員区画へ戻れ。全員兵員区画へ戻れ」

 私は親友といっしょに兵員室に戻った。下士官の一人が作業班に命じて、別の区画へ携帯口糧と弾薬をとりに向かわせる。作業班が戻ってくると小隊長が顔を見せ、われわれに「休め」と命じてから、伝えておきたいことがあると言った。眉をひそめた士官の顔には疲労の色が浮かび、何か心配事があるように見えた。

「諸君も承知のとおり、明日はいよいよ攻撃開始日(Dデイ)だ。ルパータス少将の話では、きわめて厳しい戦闘になるが、すぐに終わる。四日、あるいは三日で片がつくはずだ。タラワのときと同じく、激戦にはなるが、長くはかかるまい。すぐに休養基地に戻れるだろう。

 訓練で学んだことを肝に銘じておくように。アムトラックに乗ったら、頭を低くしているんだぞ。サイパンでは外の様子を見ようとして舷側から頭を出す兵がいて、無駄に多くの犠牲を出した。アムトラックが海岸に停止したら、ただちに飛び下り、できるだけ早く海岸を離れるんだ。アムトラックは後続の部隊を乗せるに沖へ戻っていく。だから進路を妨害するな。それと、戦車もわれわれのあとから上陸してくる。戦車兵に歩兵をよけている余裕はないから、諸君が道を空けてやれ。ともかく一刻も早く海岸を離れることだ! 日本軍は海岸のわれわれに猛爆を浴びせてくる。浜に釘付けにされたら、大砲や迫撃砲を食らって一巻の終りだぞ。
(中略)

 迫撃砲の高性能炸薬弾は、密閉容器のテープをはがし、弾薬袋にしまっておけ。水筒を満たし、携帯口糧と塩の錠剤を受け取っておくこと。それから武器の手入れを忘れるな。起床は夜明け前。攻撃開始時刻は08時30分。今晩は早めに就寝するように。休養が大切だ。幸運を祈る。しっかりやってくれ」

 小隊長が船室を出ていくと、下士官たちが弾薬、K号携帯口糧、そして塩の錠剤を配った。



「〇」(〇)





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Last updated  2021.08.16 00:04:50
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