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2021.08.21
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『図説 ユーラシアと日本の国境』という本を手にしたのです。
おお ユーラシア諸国や日本の領土問題の少数民族が満載の図説である。
やはりロシアや中国が頻出するが、それだけ覇権国家なんだろう。

それにしても、ボーダースタディーズ(境界研究)というわりとニッチな分野があることを、この本で知ったのです。さすが北大というべきか♪




岩下明裕, 木山克彦編著、北海道大学出版会、2014年刊

<商品説明>より
日本とユーラシアの国境・境界の問題をよく知るためのビジュアル本。国境の変遷やそれに伴う人々の暮らしの変化、境界をまたいで活躍した人々など、多数の地図と写真から国境地域の歴史と現在に迫る。北大博物館で試みたボーダースタディーズ(境界研究)の実験的展示の成果。

<読む前の大使寸評>
おお ユーラシア諸国や日本の領土問題の少数民族が満載の図説である。
やはりロシアや中国が頻出するが、それだけ覇権国家なんだろう。

rakuten 図説 ユーラシアと日本の国境

サーミ


先住民という視座が語られているので、見てみましょう。
p89~95
<第7章 先住民という視座からの眺め>
 先住民と呼ばれる人々は、世界の様々な地域に居住し、それぞれの先住民を取り巻く状況は多様である。本グローバルCOEプログラムでは、先住民と境界に関わる展示を2度実施した。

 1度目は、2010年11月から2011年5月まで実施された第4期展示「先住民と国境」である。本展示は、会期を前半と後半に分けて実施された。前半では、北米先住民ヤキの事例から地理的な国境に関するトピックを取り上げ、後半ではアイヌの事例から、概念的な境界に関するトピックを取り上げた。

 2度目は、2012年5月から12月まで実施された第7期展示「北極圏のコミュニケーション 境界を越えるサーミ」である。本展示は、フィンランドを中心に北欧の国境を越えて生活するサーミの暮らしぶりと国境との関わりを中心に取り上げた。

 これら先住民に関わる展示が取り上げたトピックは様々であるが、そこで扱われるテーマには共通点も認められる。例えば、ヤキにおける儀礼の場では、アイヌと共通した境界に関わる実践が認められ、そこでは様々な境界が錯綜している。また、アイヌの伝統的な居住地域の一部は現在ロシアの管轄下にあるが、サーミにおいてもノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアと4国にまたがって暮らしている現状があり、ここには近代国家間による国境策定と先住民に関わるいくつかの共通点を認めることができる。

 境界研究では、先住民という視座を得ることで鮮明に見えてくる課題も少なくない。さらに境界を意識することで、目の前の風景がいままでとは違って見えてくることもある。これら先住民と境界に関する展示を通して、観覧者が先住民と呼ばれる人々に関心を抱くとともに、一人一人が日常のなかに当然視していた境界に疑問を抱き、その歴史に興味を持ち、自らの内と外の世界を見直す契機となったら幸いである。

■北極圏のコミュニケーション:境界を越えるサーミ
 サーミは、北欧に住む先住民である。伝統的居住地は、スカンジナビア半島北部からコラ半島に及ぶが、近代国家の成立により、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、ロシアに分断された。現在、北欧・ロシア全体で約7万人が暮らすと推定されている。各国に組み込まれるなかで、サーミの人々は、文化的・経済的に差別されるとともに、各国の多数派の文化へ同化されることを強いられてきた。

 この展示では、とくにフィンランドのサーミ(約9000人が暮らすとされる)に焦点をあてて、歴史や生活文化を紹介した。またどのようにサーミの言語、生活文化を維持・継承し、国境により分断されたサーミのネットワークを取り戻そうとしているのか、サーミの人々とフィンランドを含む北欧諸国の取り組みを紹介することとした。
(中略)

■アイヌと境界
 本展示の中心は、『アイヌと境界 pet kamuynomi ペッカムイノミ 川の神への祈り』というタイトルの映像作品である。その内容は、2010年9月10日に財団法人アイヌ民族博物館で実施されたペッカムイノミ(川の神への祈り)と呼ばれる儀礼に参加した4人の1日の様子を、4台のビデオカメラで同時進行的に追うものとなっている。ペッカムイノミとは、漁期の始まる前に、カムイチェブ(サケ)が無事に遡上し、豊漁となることを祈願するアイヌの儀礼のことである。

 映像作品のコンセプトおよび撮影総括は、山崎幸治と北原次郎太(ともに北大アイヌ・先住民研究センター)が担当した。作品では、4人の儀礼参加者(被写体)が、それぞれの日常生活から儀礼の場に参集し、またそれぞれの日常生活へと戻っていく様子が映し出される。そこには「日々の暮らし/伝統文化」「現在/過去」「日常/非日常」「職場/家庭」「カメラマン/被写体」「アイヌ/和人」「録画ボタンのオン/オフ」「正装/普段着」など多種多様な「境界」を見出すことができる。

 そして、それらの「境界」が、重なり、交差し、もつれ合い、融け合うような感覚を視聴者に抱かせ、複数の解釈が可能な作品となっている。またクレジットが流れるエンドロールにNGシーンを中心とした映像を付し、本作品が創られたものであることを印象付ける。この映像作品自体も、現実との間に「境界」を生み出しているのである。

 本映像作品は、儀礼参加者被写体)とカメラマンがペアとなって撮影された。てんじでは、それに対応するように4ペア(8人)の等身大写真のタペストリーとともに、全員の撮影当日の声(感想)をパネルとして展示した。観覧者は、それぞれ異なるポジションから発せられるコメントを読み比べることで、複数の「境界」の存在を意識化することが可能となる。

アイヌのサケ迎え(ペッカムイノミ)といえば、『カムイの世界』という本に詳しく出ていました。
『カムイの世界』1

『図説 ユーラシアと日本の国境』3 :亡命と移住の文学
『図説 ユーラシアと日本の国境』2 :日本最西端の与那国島
『図説 ユーラシアと日本の国境』1





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Last updated  2021.08.21 11:58:33
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