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2021.09.08
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カテゴリ: アート
図書館で『芸術新潮(2021年2月号)』という本を、手にしたのです。
特集《愛でたい読書》の冒頭にヤマザキ・マリが載っているが・・・
芸術新潮に連載漫画で貢献しているので、トップ掲載なのかなあ。





雑誌、新潮社、2021年刊

<Customer Reviews>より
2月号特集は「ブックガイド2021 愛でたい読書」で、必読本150冊。
〇印象的な表紙は、グスタフ・アドルフ・ヘニッヒ「本を読む少女」(1828年)。へニッヒはドイツの画家。
〇必読本150冊の内訳は
☆アートの世界で活躍する15人が選ぶ人生の必需「本」各5冊、計75冊。
欲しくなってくる本は、三國万里子氏推薦のアンディウォーホルのファッションドローイング集(2004年)と諏訪敦氏推薦の1994~95年にセビリアで開催されたアントニオ・ロペスの展覧会図録(1994年)。
☆橋下麻里氏と保坂健二朗氏による美術書入門、約75冊。読みたくなる本が一杯

<読む前の大使寸評>
特集《愛でたい読書》の冒頭にヤマザキ・マリが載っているが・・・
芸術新潮に連載漫画で貢献しているので、トップ掲載なのかなあ。

amazon 芸術新潮(2021年2月号)


『ファン・ゴッホの手紙』が語られているので、見てみましょう。
(原田マハが圀府寺司先生にインタビューするスタイルです)
p80~82
<『ファン・ゴッホの手紙』>
原田: 10月に刊行された『ファン・ゴッホの手紙Ⅰ・Ⅱ』。翻訳をされた圀府寺先生は、ファン・ゴッホ研究の第一人者ですが、本のお話の前に、先生がファン・ゴッホの研究をするようになった経緯から教えてください。かなり時間は飛びますが、まずは、どのようなお子さんだったのでしょう?

圀府寺: 大阪の外れの池田市というところで育ったのですが、特に美術と縁があったわけではありません。ただ絵を描くのは好きでした。

 父親が新聞社で働いていたので、印刷されていない新聞用の紙を家に持って帰ってきて、それを思う存分使っていいよ、と言われて。親が留守にしている間はずっと絵を描いていて、戻ってくると自分の絵の説明をしましたね。これはこういう戦争で、ここに戦車がやってきて、バンバンと大砲を撃って・・・とか。それを母親が根気よく聞いてくrたのを覚えています。

<野球部と美術研究所>
圀府寺: 自分で描いた絵を解説していたのは、あとで考えてみると、今の仕事と多少関係があるかな。でも、外で遊ぶのも好きで、野球ばかりやってました。中学校も高校も野球部です。 高校1年生のときだったか、高階秀爾先生の『名画を見る眼』を読んで、美術史家という仕事を知って、これで飯を食っていこうって、その時点で職業はほぼ決まりました。

 野球部の合宿で寝っ転がって画集をみていたら、他の部員から気持ち悪がられました(笑)。実はあとでわかったのですが、佐伯祐三が同じ高校の野球部の先輩だったので、私の前にも画集を見ていた部員が少なくとも1人はいたはずです。展覧会に行ったことはほとんどなかったです。記憶にあるのは、親がどこかでチケットをもらったとかで、京都市美術館だったかな、ツタンカーメン展。

 人が多くて、肩車されて、遠くの方に展示品が見えたのを覚えています。美術館巡りを始めたのは大学に入ってからです。

原田: 美術史家の他になりたい仕事はなかったんですか?

圀府寺: 小学校の時の文集には「技師」と書いてあります。白衣を着る理系の職業のイメージですね。コツコツ積み上げていくような。絵も、わりと細密なものを、何ヶ月もかけて描いていました。大阪大学へ行くことに決めたのは、たまたま私が入学するちょっと前に美学科ができたからです。

 入ってみると、とてもリベラルな感じでした。実際に居心地がよくて。ただ、作品や文献、史料の乏しい日本にいてもしょうがない、早くパリにでも留学しなきゃと考えていました。

原田: なぜパリに?

圀府寺: 近代美術の研究はパリ、というイメージがあったんです。でも、大学1年生の頃、研究者じゃなくて画家になろうかと迷った時期もあって、独学でデッサンを始め、美大の願書を取り寄せたりもしました。某美術研究所に登録してお金を払ったその日に、「デッサン室で石膏デッサンから始めて下さい」と言われて、たまたまタイミングが一緒だった他の男の子と2人で部屋を覗いてみたら、もうイーゼルがビシッと隙間なく置いてあって、入り込む余地がなかった、トイレに行って、「違う。ここは自分のいる場所じゃない」とピンときて、そのまま帰りました。お金を払って10分後に自主退学。

 もう1人の男の子は他の人のイーゼルをかき分けて、自分のをドンッと置いてました。絵を描くことに関して、自分には彼のような情熱はない、と自覚しましたね。そのうち大学の美術史の授業がおもしろくなって、やっぱりこっち(研究職)かなと思いました。

原田: 人生の分岐点で、インスピレーションが働くというか、自分の道に気がついちゃうんですね。

圀府寺: そうですね。ファン・ゴッホの手紙を訳していても、翻訳という仕事は自分には不向きだと思うんですけど、ファン・ゴッホの手紙を訳すという仕事だけは、自分がやるべきことだという確信はありました。

<ファン・ゴッホの贋作に感動>
原田: 研究対象としてファン・ゴッホを選び取ったのには、どのような経緯があるのでしょう?

圀府寺: 偶然と必然があります。最初はキュビズムをやろうと思ったんですけど、先生にそう伝えたら、20世紀美術をやっても就職先がありませんよと言われて。素直な大学生だったので、他の研究テーマを探さなくてはと思っていたちょうどその頃、ファン・ゴッホの全作品が載ったカタログ・レゾネの日本語版刊行された。
 その頃までにファン・ゴッホの手紙は一通り読み終えていたので、これで行こうか、となったんです。

原田: 先生が初めてご覧になって感動したファン・ゴッホ作品は、贋作だったとか。

圀府寺: 大学に入って初めての夏休みです。大原美術館で見たのが、当時はファン・ゴッホ作とされていた≪アルビーユの道≫。けっこう感動して、絵葉書も買って、美術館の隣の喫茶店でアイスティーを飲みながら余韻に浸ったんです。
 ところがその2ヶ月ぐらい後に、たまたま読んでいた文献で、あれがオットー・ヴァッカーという有名な贋作者の手によるものだと知った。あの時の感動をいったいどこに片付けたらいいんでしょう?という感じでした。でもその体験はすごく勉強になったし、役に立ちました。本当に、心の底から感動したので。

原田: 贋作に感動するのは、ネームバリューのマジックみたいなものがあるからですよね。大切なのは画家の作品か、名前か、バックグラウンドか・・・・。

圀府寺: すべて絡み合っています。絵を見るということは、純粋な視覚的体験ではありません。事前に画家の名前を知っているだけで、すでに色眼鏡をかけているわけです。作品の背景、歴史を知っていると、その流れの中で見ることにもなるし、色眼鏡は結局、必ずかけているんです。

 それを自覚し、たとえ色眼鏡を外せなくても、外そうという意識を持てるかどうかが大切ですね。

ところで、原田マハさんのウェブ関連では マハの展示室 がお奨めです。

『芸術新潮(2021年2月号)』2 :橋本麻里×保坂健二朗 入口としての美術書案内
『芸術新潮(2021年2月号)』1 :15人がえらぶ、人生の必需「本」





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Last updated  2021.09.08 13:51:42
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