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2021.09.15
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カテゴリ: 歴史
図書館で『明治維新とは何だったのか』という対談本を、手にしたのです。
おお 半藤一利さんが明治維新について出口治郎さんと対談しているのか・・・これは面白そうである。






半藤一利×出口治郎著、祥伝社、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
あのとき、日本を動かしたのは龍馬でも松陰でもなかった!知の巨人2人が、薩長史観に隠された「幕末・維新」を語る。

<読む前の大使寸評>
おお 半藤一利さんが明治維新について出口治郎さんと対談しているのか・・・これは面白そうである。

rakuten 明治維新とは何だったのか


『第4章 「近代日本」とは何か』で賊軍を、見てみましょう。
p222~226
<薩長が始めた太平洋戦争を「賊軍」出身者が終わらせた>
半藤: あえていえば、太平洋戦争を始めたときの海軍中央(海軍省と軍令部)の首脳部は、ほとんどが薩長の出身者なんですよ。

出口: そうじゃないのは、長岡出身の山本五十六ぐらいですね。

半藤: その山本は開戦時にはいわば現場監督で中央にはいませんでした。制作を決定する中央にあったのは、永野修身という軍令部総長が土佐の人ですけど、それ以外はほとんど薩長ですね。しかしその連中が、みんな若い世代なので日露戦争の実態を知らないんです。ロシアに勝ったという栄光だけは知っていましたけど。

出口: 神話の部分だけを教わってきたんですね。

半藤: そういう人たちが太平洋戦争に踏み切ったんですよ。それで真珠湾攻撃をやってみたら成功したものだから、その永野という軍令部総長が「ほら見ろ、戦争はやってみなきゃわからないんだ」なんていう調子で威張ってたんですね。

出口: 場当たり的ですねえ。

半藤: しかも日露戦争のときと違って、この戦争をどうやって収めるかを誰も考えていないんです。だから私は、「大日本帝国は薩長がつくって薩長が滅ぼした」と言いたいんですよ。薩長の連中が軍国主義の下地をつくり、日清・日露の二つの大戦争にどうやら勝ち、さらに勝手な神話をつくり上げて、その後の日本をリードして、昭和の軍隊をあの無謀な戦争に追い込んだんです。

 では、その戦争を収めたのは誰か。終戦時の総理大臣の鈴木貫太郎は薩長ではありません。彼が生れた関宿藩を治めていた久世家は、代々の殿様が幕府の老中を務めていました。徳川譜代の名門です。つまり「賊軍」に属するんですね。

出口: 関宿藩からは、徳川慶喜の警護のために結成された彰義隊に加わる者もいたそうですからね。

半藤: 久世の殿様が大坂代官だった関係で、鈴木貫太郎自身は大坂で生れたんですが、鳥羽伏見の戦いで慶喜が薩長軍の錦の御旗に恐れをなして江戸に逃げ帰ったとき、鈴木家の人たちも生後間もない貫太郎を連れて関宿に逃げ帰りました。つまり鈴木貫太郎は、幕末に「官軍」と「賊軍」ができたそのときに生れた人なんです。

出口: いわば生れたときから賊軍なんですね。

半藤: それから、その鈴木貫太郎内閣の海軍大臣だった米内光政。この人も親は盛岡藩士ですから、賊軍です。

出口: 陸軍大臣の阿南惟幾との敗戦をめぐる論争で、「一日も早く講和を結ぶべきだ」と主張したのが米内光政でした。

半藤: さらに最後の海軍大将として戦争の終結に尽力した井上成美も仙台藩の出身ですから、賊軍です。薩長の連中が終わらせ方も考えず無謀にも始めた戦争を最後に終わらせたのは、賊軍出身者たちなんです。いささか強引な論法ではありますけど(笑)、私はそういうふうに考えていますね。

 これに戦争の途中で戦死した長岡藩出身の山本五十六も加えてやりたいんです。彼が生きていて軍令部総長か何かになっていたら、戦争終結のために身を挺して頑張ったと思うんです。彼らはみんな戦争の悲惨を骨の髄まで知っている人たちですからね。ある意味で、戊辰戦争に始まる「官軍」対「賊軍」の構図は、太平洋戦争が終わったときにひとつの決着を見たんです。

<世界の情報をシャットアウトすると現実離れした妄想が膨らむ>
出口: こうしてペリー来航から第二次世界大戦における敗戦までをひとつながりの歴史として眺めてみると、教訓とすべきことが、いろいろと見えてくるような気がします。ここで半藤先生とお話しして僕がいちばん強く感じたのは、広く世界を見ることの大切さですね。

 たとえば日露戦争を終わらせるとき、伊藤博文が日本とロシアの国力を冷静に比較して「ここで講和するしかない」と判断できたのは、やはり若いときに岩倉使節団の一員として世界を見てきたからだと思います。アメリカの国力の大きさがよくわかっていたからこそ、講和の斡旋をセオドア・ルーズベルトに頼むことになったのでしょう。

 しかし第一次世界大戦が終わったあたりから、日本のリーダーたちはあまり世界を見なくなりました。ワシントン軍縮条約から脱退し、満州事変を起こすなどして国際連盟からも脱退、「世界の孤児」のような状態になると、留学先もナチスドイツしかなくなってしまいましたよね。そうなると、世界のことが把握できなくなるんです。世界の国々に対してオープンな姿勢でいなければ、情報が入ってこない。情報がなければ、リアリズムも失われるんですよ。実際に世界に出て行かず、部屋の中にこもって考えているだけだと、現実離れした妄想が膨らむじゃないですか。

 その意味で、近代日本のキーワードは150年前から今日にいたるまでまずは「開国」だと思うんです。「鎖国」をしてしまうと、ロクなことになりません。


『明治維新とは何だったのか』4 :西南戦争
『明治維新とは何だったのか』3 :五万石を薩長に「盗まれた」長岡藩
『明治維新とは何だったのか』2 :薩長のスタンス
『明治維新とは何だったのか』1 :起きて困ることは「起こらない」と思い込む日本人





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Last updated  2021.09.15 00:12:03
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