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2021.09.23
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『日本列島の自然と日本人』という本を、手にしたのです。
著者は東北大学応用化学科に学び、IHIに勤務した理系のひとであるが・・・
日本の自然と歴史と信仰を余すことなく綴っています。その真摯なスタンスがええでぇ♪




西野順也著、築地書館、2019年刊

<「BOOK」データベース>より
緑豊かな国で、縄文の時代から現代まで、人々はさまざまな自然の恵みを活用し、時には痛めつけ、一方でその大いなる存在を敬い、畏れ、愛でてきた。万葉集に登場する数々の草花、戦や築城による森林破壊、江戸時代の園芸ブーム、信仰と自然の深いつながりが息づく年中行事など。日本人の自然観はどのように育まれていったのか。そしてそれは、どのような文化を生み出していったのか。日本人と自然の深い関わりを見つめ、これからの私たちが自然とどう向き合っていくべきかを問いかける。

<読む前の大使寸評>
著者は東北大学応用化学科に学び、IHIに勤務した理系のひとであるが・・・
日本の自然と歴史と信仰を余すことなく綴っています。その真摯なスタンスがええでぇ♪
amazon 日本列島の自然と日本人



『第5章』で日本的な価値観を、見てみましょう。
p122~
<『第5章 近世の都市と自然』>
■2 人気の高い下肥
 着物だけでなく、物資が限られており大量生産の技術が今ほど進んでいなかった江戸時代には、壊れたら修理して何度でも使い、古くなったら他の用途に利用するのは当然だった。修理のできる職人や、古紙や壊れた鍋、釜、針などの鉄くずを買い集め、紙漉き職人や鍛治屋に売る廃棄物回収業者が社会的に必要とされていた。
(中略)

 屎尿が下肥として利用されたことは、都市として大きな利点があった。河川が汚染されなかったのだ。19世紀に人口集中が起こった100万都市ロンドンでは早くに水洗トイレが艦尾され屎尿を河川に放流したため、河川の水質汚濁が深刻化し、コレラなどの水を媒介とする伝染病が発生した。同じく100万都市のパリは下水道がつくられたのはロンドンより早かったが、屎尿は道路に捨てられた。

 100万人の人口を抱えながら江戸の町が長期にわたって衛生的だったのは、屎尿を運び出し、河川に放流しなかったため、河川の水質汚濁がロンドンほど深刻化しなかったことが大きかった。明暦元年(1655)、ごみも河川に捨てるのが禁止され、永代島に運ばれ干潟の埋め立てに使用されている。日本で初めてコレラが流行したのは江戸時代後期の文政5年(1822)である。

 九州から感染が広がり大坂、京都にまで広がった。江戸の町でコレラが流行したのは安政5年(1858)、やはり長崎から海外との交易を通じて持ち込まれた。

■3 「もったいない」の文化
「もったいない」という言葉は、もともとは「物体ない」と書き、「その物が本来あるべき意味や機能を実現できない状態にあることをいった。そして、それを惜しみ申し訳ないと思う心情」であり、そこには日本古来の自然観が仏教として融合して生れた「 草木国土悉皆成仏 」の思想が反映されている。あらゆるものにはいのちがありそれを粗末に扱うのは神仏に対してふとどきだというのだ。つまり、ものを何もしないで捨て置いたり、そのまま捨ててしまうのはいのちを粗末にすることであり、不徳だから何かに利用する、という論理である。「ものを粗末にすると罰が当たる」と子どもの頃よく言われたものである。

 現代人も「もったいない」という言葉を使う。「損をしたくない。無駄なお金を使いたくない」、つまり、「お金の持つ本来の価値を損なう」、という意味で使われることが多い。ものの対象がお金に転化されてしまっているのだ。
 物資が限られていた江戸時代と異なり、現代のように、大量生産で安価なものが増え、修理するものや再利用するものが出てこなくなれば、修理する職人も廃棄物回収業者も生計が成り立たなくなり、再利用の仕組みは崩壊してしまう。

 しかし、ものを生産するにはエネルギーを消費する。ものを捨てれば、それを処分するにもエネルギーを消費し、また投棄されれば地球を汚染する。エネルギーを得るために石油や石炭などの化石燃料を燃やすと、発生した二酸化炭素によって地球が温暖化し、海洋に投棄された廃棄物によって海洋生物に汚染が広がっているとなると、現代のものの使い方は考え直す必要があるだろう。

『日本列島の自然と日本人』1





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Last updated  2021.09.23 00:33:32
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