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2022.05.10
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カテゴリ: アート
図書館で『ショーン・タンの世界』という本を、手にしたのです。
ぱらぱらとめくってみると、油彩画や彫刻まで載っていてショーン・タンのすべてが見られるわけで・・・ええでぇ♪





ショーン・タン著、求龍堂、2019年刊

<出版社>より
オーストラリアの作家ショーン・タン(1974年~)は、1999年に刊行した初めての絵本『ロスト・シング』を元に、2010年に短編アニメーション映画を発表し、同年の第83回アカデミー賞の短編アニメ賞を受賞しました。
2006年に発表した文字なし絵本『アライバル』は大きな反響を呼び、各国で刊行されています。
本書は、2019年5月に開催される日本初の展覧会『ショーン・タンの世界 どこでもないどこかへ』展の図録兼書籍として刊行。

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくってみると、油彩画や彫刻まで載っていてショーン・タンのすべてが見られるわけで・・・ええでぇ♪

rakuten ショーン・タンの世界


ショーン・タンへのインタビューが収録されているので、見てみましょう。
(2019年1月 インタビュアー:原島恵)
p171~172
<ショーン・タン・インタビュー>
Q1:ショーンさんの作品のなかには日本を連想させるようなモチーフが度々出てきますが、日本のどのようなことからインスピレーションを受けているのでしょうか?

 興味深い問題ですね。僕が生まれ育った西オーストラリアは特に日本文化の影響があり、TVで日本のアニメが放映されていたので、子どもの頃から日本文化に触れていたことは確かです。手塚治虫の『ジャングル大帝』や『鉄腕アトム』はお気に入りの番組でした。

 ただ、この質問にはもっと時間をかけて考えないといけないですね。僕はいろんな文化に影響を受けて作品を描いていますから。多文化主義のオーストラリアならではの良い点だと思います。南アメリカ、中国、ヨーロッパ、オーストラリア先住民、そして日本と幅広い文化が存在しています。

 その他には、日本の絵画、とりわけ木版画に魅了され続けています。物語的要素を含んでいるからです。北斎などの木版画作品ですね。そのスタイルを模倣しようと試みたことがあり、それが『遠い町から来た話』の日本人潜水夫のストーリーになりました。その作品では忠実に日本の木版画のスタイルを真似ようとしています。


 その制作に至った理由はぼくの生まれ故郷にあります。西オーストラリアの北の地方には真珠産業のために日本人潜水夫が移住した歴史があります。彼らはとても優秀で、たくさんの日本人が移り住みました。けれどもそんな日本人を含む多くの潜水夫が、産業初期の潜水病に対する未熟な知識によって命を落としました。「壊れたおもちゃ」はそのブルームという町にある日本人墓地に着想を得て制作しました。

 元々の質問に即してP応えすると、日本文化からは多大な影響を受けているといえます。ただそれらは無意識のなかなので、先ほどお話しした「壊れたおもちゃ」のように「この作品のこの部分」といい表すのは難しいです。日本の漫画、アニメ、スタジオジブリ作品、特に宮崎監督作品などは影響を受けたといえます。周囲の友人の多くも日本の漫画やアニメの読者で、彼らから紹介されて知ったものもあります。

 日本の現代アートもとても興味深いですし、日本の様々な文学作品も読みました。なかでも一番読んだのは村上春樹で、特に彼の短編作品からの影響は最新作の『内なる町から来た話』に現れています。そう、最新作は少しだけ村上春樹の影響が窺えるかなと思います。(笑)

Q2:『アライバル』は各国で翻訳されて、様々な人を魅了し共感を得ていますが、ショーンさんご自身はそれに対してどのように感じていますか?


 当初はまず驚きました。『アライバル』の制作は個人的で閉ざされた環境のなかで不確かなまま行われたからです。自分が表現しようとしていることが理解されるかどうか確信のないまま、その不安をバネにしてベストを尽くしました。内容をより明確にしたり、流れをスムーズにしたりしながら、「もし中東のおばあさんがこの作品を読んだらどう思うだろう?」「もしモンゴルの子どもがこの作品を読んだら・・・?」「もし100年前の人々がこの作品を読んだら・・・?」と常に頭の片隅で想像しながら試行錯誤を続けました。

 特に僕のようにファンタスティックで想像上の世界をつくり上げるような作風だと、作品が個人的なものになりがちで、自分自身とばかり向かい合って「これは良いストーリーだ」と思い込んでしまう傾向があるので、「この作品は他人にはどう映るんだろう」ということを常に意識し続けました。それがこの作品をより受け入れられやすいものにする努力につながったと思います。


 この本も 絵本あれこれ に収めておくものとします。





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Last updated  2022.05.10 01:30:27
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