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2022.11.06
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『そばですよ』という本を、手にゲットしたのです。
この人の味のセンスは折り紙付きなので・・・期待できるのです。




平松洋子著、本の雑誌社、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
ようこそ、暖簾の奥へ。一杯に香る一瞬の人情味。東京立ちそば26店、それぞれの昼と夜を描く。

<読む前の大使寸評>
小川洋子とよく間違える著者である。
この人の味のセンスは折り紙付きなので・・・期待できるのです。

rakuten そばですよ



「そばよし」の魅力を、見てみましょう。
p24~27
<お江戸日本橋の名作そば>
 以前、隣の席で天玉そばを食べているおじさんが、平らげたあとの丼をカウンターに持っていってつゆを注いでもらい、席に戻てきたことがある。そうかなるほど、最初は天玉でこくを楽しみ、締めくくりにさらりと生のままの熱いつゆ。で、できる・・・。

 私はうらやましかった。店が店なら、お客もお客。どっちもやるなあ。無料のおつゆはただのサービスではない。目先にとらわれない度量もいっしょに胃の腑に沁みわたる。これこそが「そばよし」の魅力の根っこではないかしら。

「そばよし」の品書きには、魅惑の一群がある。
 しらすおろし丼セット 590円
 かきあげ丼セット 540円
 野菜天丼セット 560円
 カレー丼セット 590円
 どれもこれも、すばらしいのです。日頃から「セットもの」に近づかない私だが、しかし「しらすおろし丼セット」には、してやられる。それなりに食べ方のこつがわかってきたのだが、軸足を丼ものに置き、そばの熱いつゆには合いの手に甘んじてもらう。麺の処遇は、(あ、そこにいたのね)扱い。「そばよし」のつゆは、汁ものとして自立できる実力なのだ。

 それにしても、立ち食いそば屋で鮮度抜群のしらすおろし丼とはいかにも風変わりだが、これも13代目の人脈による。しらすの仕入れ先は仲間の鰹節問屋だし、年末から春まで限定の生海苔そばは、東京湾や金沢八景の漁師から直接仕入れる。
 かき揚げには魚河岸から仕入れた真っ赤な殻つき小海老が暴れているし、びっくりするほど青海苔をまぶしたちくわ天にしても、香りのいい青海苔を問屋から取り寄せている。ひと品ひと品、すみずみまで目が行き届いている。

 突然ですが、おかかごはんは好きですか。鰹節の粉を熱いごはんにかけ、ちょろっと数滴だけ醤油をたらすおかかごはん。あらためて思うのだが、おかかはふりかけの原点だ。
 温かな湯気が鰹節の香りを煽って、白いごはんがいくらでも食べられる。あれは素朴な家庭の味だった、なつかしいな・・・そのおかかごはんが「そばよし」にはある。

 ごはんを注文すると、茶色の瓶が添えられてくる。なんだ?と手に取ると、中身はおかか。「お好きなだけどうぞ」ということらしいと知ったとき、自分がずぼっと「そばよし」にハマる音がした。
 右を見ても、左を見ても、みんなのそばの隣に鰹節の香りがぷ~ん、おかかごはんがあるではないですか。自販機にこの面子。
 半ライス ¥90
 玉子 ¥60
 そうです、玉子かけごはんです。誘惑の声にふらふらと従い、半ライス、玉子、ボタンをピッ、ピッと二度押す。さあ「そばよし」のお客の特権を行使するのだ。最初のひと口、ふた口はおかかだけで味わい、そののち玉子を割り入れて混ぜ、醤油をちょろり、おかかと玉子のダブル攻撃に身をゆだね、あとは一気呵成。
(中略)

 そうだったのか。パズルのピースがかちりとあった。山崎さんは、自分の舌に刻みこまれた味の記憶をたどりながら「そばよし」の味を完成させたのだ。日本橋の鰹節問屋13代にわたる、味覚のDNAがもたらす記憶。だから、ほかのだれにも真似ができないおいしさなんだ。

 とはいえ、ときどき暴徒が出現する。もりそばにごっそりおかかの山を盛り上げる者。丼の底に溜まるほど、まさかの追いがつおに走る者。閔ごと持ち帰る仕業に遭ったこともあるけど、それでも開店以来ずっと、おかかの瓶が置かれ続けてきた。


女性で立ち食いそばに目覚めたライターとして知られる平松洋子さんのそば談義であるが・・・おかかごはんが出てくるのがわりと関西風でんな。





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Last updated  2022.11.06 00:03:21
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