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2023.06.21
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カテゴリ: 気になる本
朝日デジタルに『好書好日』というコラムがあり、気に入ったものをスクラップしているのだが・・・、
これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。

<予約済み>
・山本佳典『羊と日本人』:図書館に6/17予約済み
・西加奈子『くもをさがす』:図書館に6/17予約済み

<予約候補>
・楊双子「台湾漫遊鉄道のふたり」
・菊間晴子「犠牲の森で」

<図書館で見っけ>


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【「羊と日本人」書評 国家・戦争と連動した牧畜事業】朝⽇新聞掲載:2023年06月17日

 文明開化以降の日本には、いつも羊がいた−。在野の研究者が忘れられた日本の緬羊史を独自の視点でとらえ、膨大で緻密な調査と関係者への聞き取りを行い、たゆまぬ努力を続けた羊をめ…

 村上春樹の初期作品『羊をめぐる冒険』を想起する人も多いだろう。小説に登場する羊博士は、若き頃農林官僚として満州に渡り、洞窟で羊に取り憑(つ)かれた。
 憑依(ひょうい)こそないが、本書にも羊に人生を捧げた人物が数多く登場する。欧米で牧羊を視察した農林省の技師は、建国直後の満州国で緬羊(めんよう)改良計画に関わったという。民間人でも、渡米中に羊に魅了され、十勝で牧場を開いた後、朝鮮や内モンゴルに渡った人がいる。
 著者はこうした群像を時系列に配置して、羊をめぐる近代日本史を描いた。そこから見えてくるのは、日本の牧羊事業と国家・戦争との密接な関わりだ。
 明治政府は直営事業として、千葉県に牧羊場を造った。のちに、三里塚地区を含む下総御料牧場となる。だが事業は容易に根付かなかった。19世紀末の日本で飼育された羊の数は2400頭、自給率は1.6%に過ぎない。羊は繊細な動物で、疥癬(かいせん)などの病気や寄生虫によってダメージを受けやすく、飼育は簡単ではなかった。事業を興すにも、海外から羊を大量に輸入する費用がかかる。国による支援が不可欠だ。
 日露戦争以降、日本の牧羊事業の舞台は外地に向かった。中国東北部・朝鮮に牧羊場を設けたのだ。大正期には「緬羊百万頭増殖計画」が打ち出され、両地に加え、台湾・南樺太などでも羊の牧畜が試みられた。
 満州事変後、現地の人びとの抵抗に遭いながらも、牧羊は満蒙開拓の一環として進められた。満州国の牧場建設に携わった日本人の思想に、他民族への優越感を著者は見て取る。
 下総御料牧場が閉鎖されたのは、1969年。成田空港の建設を受けてのことだ。「明治大帝偉業達成」の地として牧場の存続を訴える運動の様子を本書は伝える。ここには、牧羊が天皇制国家と連動して展開したことが象徴的に表れていよう。羊から国―個人―時代を見通した、読み応えある文化史だ。
    ◇


【羊と日本人】

山本佳典著、 彩流社、2023年刊

<「BOOK」データベース>より
明治維新、植民地朝鮮、農村恐慌、満蒙開拓、御料牧場、三里塚…忘れられた日本の緬羊史を在野の若手研究者が独自の視点でとらえ、執念とも言える膨大で緻密な調査と関係者への聞き取りで浮かび上がらせた、渾身のノンフィクション。

<読む前の大使寸評>
追って記入

<図書館予約:(6/17予約、副本1、予約1)>

rakuten 羊と日本人

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【「くもをさがす」 乳がん闘病で得た「私は私という確信」】朝⽇新聞掲載:2023年5月31日

 西加奈子さん初のノンフィクション「くもをさがす」(河出書房新社)は、語学留学先のカナダで自身に乳がんが見つかってから寛解するまでの8カ月を中心につづる。治療の記録であるとともに、言葉によって自分をつかみ直した記録でもある。

 家族といっしょにカナダに渡った西さんは、2021年5月、胸にしこりを見つける。検査の結果は、ステージ2Bの浸潤性乳管がん。宣告を受けてから日記をつけ始めた。ほぼ同時に本作も書き始めていた。抗がん剤治療による体の変化、カナダの医療体制の下で思い通りにならない出来事や不安に直面し、涙を流した経験も正直に明かす。

 書き始めたのは、「こんな状況ないぞ」という作家の性(さが)に突き動かされたから。自分を救うためでもあった。「日記には、『しんどい』としか書いていない日が何日もある。でも、そこにはもっと複雑な思いがあったはず。書くことで『しんどい』だけではない感情を取り戻していった」と西さんは話す。



 西さんのがんは右胸だが、転移や再発の可能性が高い変異遺伝子を持っているため、手術で両乳房を切除した。乳房の再建はしないと決断するのに迷いはなかった。だが医師から、「将来再建したくなるかもしれない。そのときのために乳首を残しておくこともできる」と言われ、悩んだ。確かに、数年後の自分の気持ちはわからない。

 乳がんサバイバーの担当看護師にそのことを話すと、目を見開いて驚かれた。「乳首って、いる??」。迷いは吹っ切れた。〈私たちはどのような状態であっても、自分自身の身体で生きている。何かを切除したり、何かを足したりしても、その体が自分のものである限り、それは間違いなく本物なのだ〉。「言葉は呪いでもあり、祝福でもある。乳房、乳首の切除は、言葉にすることで祝福できた。自分の体を愛している、と心から思うことができました」

 これまで、社会から押しつけられる価値観に、小説を通して「じゃかましわ!」と言ってきたつもりだった。でも、まだまだ足りなかったと気付いた。「こんなに自分の体がいとおしいと思えたことはなかった。『じゃかましわ!』が大きくなりました」。誰かのジャッジに委ねず、自分で自分を愛する。両乳房を失った西さんが得たのは、私は、私だという確信だ。

 本作には、西さんが闘病中に力をもらった小説や詩、歌詞の一節が随所に盛り込まれている。「出会った本や歌に救われたのは、作品に力を見つける力が私にあったから。読者には力がある。だから私の本に何かを感じ取ってくれる人がいるとしたら、その人に力があるんです」(田中瞳子)=朝日新聞2023年5月31日掲載


【くもをさがす】

西加奈子著、河出書房新社、2023年刊

<商品説明>より
カナダで、がんになった。「私は弱い。徹底的に弱い」。でもーーあなたに、これを読んでほしいと思った。祈りと決意に満ちた著者初のノンフィクション。

<読む前の大使寸評>
追って記入

<図書館予約:(5/10予約、入荷待ち)>

rakuten くもをさがす

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【「台湾漫遊鉄道のふたり」書評 「どうして?」に誘われる心の旅】朝⽇新聞掲載:2023年06月17日

【金鼎賞(2021年)】昭和13年、台湾。作家・青山千鶴子は台湾人通訳・王千鶴と出会う。千鶴と台湾縦貫鉄道に乗りこんだ千鶴子は、つぎつぎ台湾の味に魅了されていく。ただ、い…

 〈どうあっても、一度台湾に行かねばなるまい〉
 そう決意した若き作家・青山千鶴子が、南国、台湾に上陸したのは昭和十三年五月。そこから約一年にわたる「漫遊」が綴られていく。日本の統治下にあった時代の台湾の様子が活写され、読者もまた新鮮な驚きと興味に心惹かれること確実の物語だ。
 「ほとんど妖怪ですよ!」と揶揄(やゆ)される食欲を持つ千鶴子が目を奪われる食べものは、いかにも旨(うま)そうで、その地の民俗風土を深く知るには「生活」することが重要だという彼女の持論にも納得させられる。
 当初はお仕着せの行程に従っていたものの、次第に不満を募らせていく千鶴子の様子を察し、専属通訳として日本人婦人会が手配したのが、四つ年下の本島(台湾)人、王千鶴だった。

 かくして「生活」を実践すべく千鶴子が台中に借りた日本式の家を拠点とし、幹線鉄道である「台湾縦貫鉄道」を軸として、ふたりは各地を旅してまわる。珍しい景色に興奮し、美食に喜び、感興の赴くまま動く千鶴子に対し、千鶴は万全のサポートを行う。日本語の通訳のみならず、千鶴子の食事の世話も滞りなく、旅の手配も完璧。手先は器用で所作は美しく教養もある。気をよくした千鶴子は友達になろうとはしゃぎ、親友だと思っていると頻繁に好意を口にし、着物を贈り日本へ行こうとも誘う。
 しかし季節が廻(めぐ)り新年を迎えて間もなく、千鶴は千鶴子が態度を変えなければ通訳を辞めなければならない、と言い出す。常に感謝を表し、大切に接してきたつもりなのに何故(なぜ)――?

 本書で描かれる「旅」は、強い衝撃を受けた千鶴子がこの「どうして?」を追求していくことから始まるとも言える。複雑な台湾の時代背景。ふたりの生い立ち。更に作品に施されたとある企みと試みが、見たことのない景色を楽しんでいた読者を更なる迷宮へと誘い込む。其々(それぞれ)の「心の旅」がある。
    ◇
よう・ふたご 1984年生まれ。小説家。双子の姉で、楊双子は亡き妹との共同筆名。著書に『花開時節』(未邦訳)など。

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【「室町は今日もハードボイルド」インタビュー 自粛しない人々の正義感】朝⽇新聞掲載:2021年8月14日掲載

 コロナ禍で、強制されなくても協力、自粛する日本人の国民性は世界の注目の的だ。しかし、今から700年ほど前はそうではなかった。自己の利益を守るための暴力が容認される、苛酷な自力救済の世だった。「やられたらやり返す。場合によっては、やられてなくてもやり返す」が美徳だったとさえ著者は記す。

 中世民衆史に関する多くの著書があり歴史番組に出演、「室町ブームの火付け役」とも称される。本書は「初のエンタメ」として書いた歴史エッセーで「前振りとオチをつなげたり、室町が現代と地続きだと伝わるように工夫したりした」。軽妙な文章を支えるのは、史実を踏まえて詳細が書き込まれた逸話の数々だ。

 何と言っても鉄板ネタは、浮気された妻が仲間を募って相手の女を襲撃する「うわなり打ち」。度が過ぎて女が殺害されることもあった。年貢を横領した武士を呪い殺そうとする僧侶には、本来人を救済すべき立場ではないかとツッコミを入れつつ「現代人の感覚で非常識で非道徳なことにも、中世なりの正義やルールがあった」と説明する。

 教科書にはないような事例をどのように集めるのか。「多くの研究者は史料から幕府の構造を明らかにしようとするのですが、私は本筋とは関係のない、たまたま書かれた三面記事的なことが気になる。でも、そこに中世らしさが出ている」。そんなニッチな興味が「おまえのカアちゃん、でべそ」のルーツの考察や、寺の屋根瓦に落書きされた同性愛の恋文の発見につながった。

 歴史にはまったのは小学3年生ごろ。テレビドラマがきっかけで、家康や三成の評価が見方によって変わることに衝撃を受けた。「室町には私たちが安住する価値観を揺るがす破壊力がある」。面白がるツボは子供の頃から変わっていないようだ。(文・久田貴志子 写真・小山幸佑)=朝日新聞2021年8月14日掲載


【室町は今日もハードボイルド】

清水克行著、新潮社、2021年刊

<「BOOK」データベース>より
僧侶は武士を呪い殺し、農民は合戦を繰り広げ、浮気された妻は相手の女を襲撃するー。あなたたち、本当にご先祖様ですか?数々の仰天エピソードから浮かび上がる中世の日本人像は実は凶暴でアナーキーだった!想像の斜め上を行く驚愕の日本史エッセイ。

<読む前の大使寸評>
この本の副題が「日本中世のアナーキーな世界」となっているが・・・・面白そうなのでチョイスしたのです。


rakuten 室町は今日もハードボイルド

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Last updated  2023.06.21 00:50:07
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