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2023.06.23
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カテゴリ: 気になる本
図書館に予約していた『言葉の周圏分布考』という本を、待つこと10ヶ月ほどでゲットしたのです。
テレビ番組『探偵!ナイトスクープ』を通じて著者・松本修さんが敢行した“方言の全国市町村アンケート”が気宇壮大ですごいのです。




松本修著、集英社インターナショナル、2022年刊

<「BOOK」データベース>より
テレビ番組『探偵!ナイトスクープ』で「全国アホ・バカ分布図」を完成させた著者が敢行した、方言の全国市町村アンケート。膨大な回答を基に作成した圧巻の五十数枚のカラー方言分布図で、懐かしい言葉に楽しく再会!分布図は文献にない言葉の歴史解明にも力を発揮。『源氏物語』に登場する「戻る」の謎を解く壮大な知の旅に誘います。また分布図には、京都を中心に見事な多重の円が現れました。日本語の「周圏分布」についても、深く論じます。

<読む前の大使寸評>
テレビ番組『探偵!ナイトスクープ』を通じて著者・松本修さんが敢行した“方言の全国市町村アンケート”が気宇壮大ですごいのです。

<図書館予約考:(8/15予約、副本1、予約16)>

rakuten 言葉の周圏分布考



「方言周圏論」の登場したあたりを、見てみましょう。
p27~29
<古語は辺境に残る>
 「言語地理学」を、もっとわかりやすく説明しましょう。
 まず「古語は辺境に残る」という大原則からスタートしなくてはなりません。つまり、古い表現は、都から遠い地方に見いだされることが少なくないのです。
(中略)
 また徳川中期に生きた国学者・本居宣長(1730~1801)は、エッセイ集『玉勝間』の中の「田舎にいにしへの雅び言の残れる事」の項で、こう語っています。

 すべて田舎にはいにしへの言の残れること多し。ことに、遠き国人のいふ言の中には、、面白きことどもぞ、混じれる。

 この本居宣長の考えと同様のことを、明治41年(1908)、柳田國男もまた、宮崎県内奥の椎葉村で感じました。当時満32歳の官僚だった柳田は、山の神を信仰し焼畑に生きる人びとの暮らしに大きな感銘を受け、椎葉のイノシシ狩りの言葉を集めた『後狩詞記』(1909)を50部だけ、自費出版しました。その序で、柳田は次のような文章を書いています。
 思うに古今は直立するひとつの棒ではなくて、山地に向けてこれを横に寝かしたようなのが、我が国のさまである。

 つまり、もし日本の歴史を1本の棒にたとえるならば、過去から現在へと延びている棒は、上下、縦に「直立している」のではなくて、平地から「山地に向けて横に寝かしたよう」に存在している。つまり、平野部よりも山間部に古い日本の姿が残っている、というのです。
<方言周圏論の登場>
 それから18年たって、柳田國男は全国に向けて、32語の方言の通信調査を貴人で独自に行い、その中の「カタツムリ」の呼び名の方言分布を分析して、昭和2年(1927)、のちに「方言周圏論」と命名される考えを打ち立てました。その趣旨はこうです。
 古語は単に辺境に残るというばかりでなく、その残り方には、きちんとした規則性がある。すなわち、首都であったなら・京など近畿の都から見て、より古い言葉ほど日本の遠くの地域に残っているのである、と。

 たとえば、ひとつの池がある。そこに小石を投げ込むと、円い波紋が広がる。同じところにまた小石を投げ込むと、ふたつ目の波紋が広がる。こうして次々に同じところに石を投げ込むと、多数の同心円が広がっていく。その中心点が都である、というわけなのです。

 今、東京が、圧倒的な影響力で全国に文化を発信しています。京もまた、明治維新で首都の地位を東京に奪われるまで、千年以上、言葉の文化を発信し続けました。方言とは、そんな京の文化の波及の跡を現代に留めたものなのです。それが方言周圏論の考え方です。

 柳田國男は、「カタツムリ」の呼び名の例から、その原理を導き出しました。京というかつての中央に立てられた歴史の棒は、いわば、「東北や九州に向けて、これを横に寝かしたようなのが、我が国のさま」だった、ということなのです。柳田はその原理を、イメージしやすく、目に浮かぶように伝えようとして、昭和2年『人類学雑誌』5月号、連載の論文「蝸牛考」の二回目で、次のように書き記しました。

 もし日本が、このような細長い島でなかったら、方言はおおよそ近畿をぶんまわし(著者註:コンパス)の中心として、段々にいくつかの圏を描いたことであろう。

 方言は、近畿地方、正確に言えば「京の都」を中心軸としてコンパスで円を描けば、同心円の円周上に同じ方言があたかもバウムクーヘンのように、いくつもの圏をなして分布していることだろう。柳田國男はそういう内容を主張したかったのです。


「全国アホ・バカ分布考」読書レポート#2 にも「カタツムリ」の五重の同心円が出ています。

『言葉の周圏分布考』1 :はじめに





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Last updated  2023.06.23 08:03:41
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