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2023.06.30
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『不謹慎な旅』という本を、手にしたのです。
副題が「負の記憶を巡る「ダークツーリズム」」となっているのだが・・・ぱらぱらとめくると、戦中から戦後にかけての不幸なエピソードが並んでいて、ついチョイスしたのです。





木村聡著、弦書房、2022年刊

<「BOOK」データベース>より
そこを訪ねてみなければわからないことがある。忘れてはならない戦跡や被災地、公害・差別・事故現場で耳を澄ませる。現地の人々の声を写真とともに伝える渾身のルポ!!

<読む前の大使寸評>
副題が「負の記憶を巡る「ダークツーリズム」」となっているのだが・・・ぱらぱらとめくると、戦中から戦後にかけての不幸なエピソードが並んでいて、ついチョイスしたのです。

rakuten 不謹慎な旅


 昨今では、高い気温、梅雨前線がもたらす湿気で記録的な降雨が発生して、防災インフラの能力ではおっつかないケースが頻発するようになりましたね。
この本で、吉野川の防災資源が語られているので、見てみましょう。

<川には矛盾が流れる>
 そこは“暴れ川”のほとり。高い台座の上に石地蔵がいた。近所の人が「うつむき地蔵さん」と呼ぶそれは、少し目線を下げてほほ笑み、ポツンと道端に座っている。
 江戸後期の文化8(1811)年造立とある。聞けば、洪水のたびに地蔵が水に浸かり流されてしまうのがかわいそう、申し訳ないとの思いから、当時の人々が高所に据え直したのだそうだ。ちょっと高みから土地の暮らしを見守る地蔵尊の姿は、阿波徳島の人たちとの心やさしき情景である。

■堤防を築かなかった川
 台座に乗った独特の「高地蔵」は、吉野川の下流沿岸では数多く見られる。上流の高知県の山に大雨が降ると、中下流の徳島平野を鉄砲水が襲い、一挙に氾濫を起こす吉野川。流域はくり返し洪水に苦しめられてきた歴史を持つ。高地蔵の由来にひそむのは、そうそうやさしい物事ばかりじゃない。

 高地蔵が建てられた時期は記録的な洪水被害が出た江戸後期から明治にかけてが多く、また地形的に土地が低く浸水しやすい場所ほど台座が高いという。台座高1メートル以上の高地蔵は190ヵ所。地図上に並べると、国土交通省作成の「洪水浸水想定区域図」とピタリ一致する。徳島大学環境防災研究センターの上月康則教授は、「水害の警鐘として、高地蔵は現代人も理解しやすいシンボル」と話す。

 もっとも高いものは先のうつむき地蔵(徳島市国府)だ。約3メートルの台座、全高は4メートル超。想定される浸水水位が2~5メートルの洪水常襲地区にあって、その高さはいまも洪水時の目安になる。点在する高地蔵それぞれは、先人が遺してくれた貴重な“ハザードマップ”と言えるかもしれない。

 吉野川の洪水は、長らくこの川に堤防が築かれなかったことも要因だ。江戸時代、徳島藩は台風襲来と収穫時期が重なる稲作より藍の生産を奨励した。藍の栽培は地力を奪い連作を嫌うが、吉野川の氾濫は沃土を運び、いつでも藍が育つ豊かな土壌に流域を変えた。莫大な富を生み阿波国の経済を支える藍生産のため、藩はあえて川の水をあふれさせる「無堤防政策」を続けたのである。

 吉野川中流、美馬市の舞中島地区は毎年のように吉野川の濁流にのまれ、ゆえに阿波国有数の藍産地となった。対岸の脇町は吉野川の水運も利用し阿波藍の集散地として栄える。災害を運ぶ一方、人力およばぬ恵みをもたらす川。背反する事象がそこに流れていることを人は知る。無堤防政策は暴れ川を前になすすべのない藩の「言い訳」だったとも語られるが、ただ無意味に無抵抗に自然災害を受け入れていたのではなさそうだ。





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Last updated  2023.06.30 00:10:27
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