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2023.07.01
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『翻訳のさじかげん』という本を、手にしたのです。
ぱらぱらとめくってみると・・・翻訳の蘊蓄というか、翻訳がかすっているヨタ話とでもいうんでしょうか?
なんか既視感のある本だが、まあいいかと借りたのだが・・・帰って調べると、やはり以前借りたことのある本でした。





金原瑞人著、ポプラ社、2009年刊

<「BOOK」データベース>より
料理に骨董、三味線に歌舞伎…翻訳しているヒマがない?人気翻訳家の最新エッセイ集。三浦しをん氏との「文楽対談」も収録。

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくってみると・・・翻訳の蘊蓄というか、翻訳がかすっているヨタ話とでもいうんでしょうか?

rakuten 翻訳のさじかげん


「3 翻訳のさじかげん」からヘップバーンという名前の発音について、見てみましょう。

<ヘボンさんの末裔>
 もう20年くらい前になるだろうか。翻訳を始めたころ、ファッション・デザイナーのユベール・ド・ジバンシーが日本にくるから、というので呼ばれたことがある。ジバンシーが、ファッション評論家の大内順子さんと対談をするので、それを適当にまとめて訳してほしいという依頼が、ある女性雑誌の編集者からきたのだ。

 じつをいうと、当時は日々の暮らしに追われ(年度末、税務署に申告すると、必ず還付金のあった時代)、ファッションなどまったく眼中になく、いつもジーンズにださいワイシャツという格好で、ジバンシーも大内順子も、名前はきいたことはあるけど・・・という状態だったんだけど、なぜか歴史、とくに昭和史には興味があって、大内さんの『ファッション―流れと人』は読んでいたので、その場に持っていってサインしてもらったのは、よく覚えている。大内さんは覚えてないかな。

 都心のホテルの一室で待っていると、ジバンシーが現われて、大内さんを見るなり、「あ、それはぼくのデザインだ」とひとこと。大内さんは、にっこりなさって・・・おお、大人って、こういうものかと思って感心してしまった。そのころは、ジバンシーの服をちゃんと着てくるところなんかすごく偉いなと思ったものの、いま考えれば、ファッション評論家の大内さんとしては、当然のことだったのだろう。

 それはともかく、おふたりの対談が進むうち、これもまた当然というか、オードリー・ヘップバーンの映画の衣装へと話が流れていった。いうまでもなく、ヘップバーン主演の『麗しのサブリナ』『昼下がりの情事』『ティファニーで朝食を』などの衣装を担当したのがジバンシー。ところが、これがわからない、というか、わからなかった。

 途中まで、いったい、なんの話をしているんだろうと首をかしげていた。そのうちやっとわかってきた。なんで、わからなかったというと、ジバンシーが繰り返す「ヘバン、ヘバン」がなんのことかさっぱりわからなかったのだ。やがて、映画のことだというのがわかってきて、あ、そうか、「ヘップバーン」のことなんだと気がついた、という次第。

 家に帰ってHepburnを辞書で引いてみて、驚いた。日本では「ヘップバーン」と表記されるので、「バーン」のほうにアクセントがあるように思えちゃうんだけど、じつは「ヘップ」のほうにアクセントがあって、実際に発音してみると、「ヘバン」のほうがずっと英語の発音に近い。

 そんなことをふと思い出したのは、大学の授業でローマ字について話したときのこと。その日の授業は、ローマ字って、なんで「ローマ」なんだろう、という問いかけから始まった。それから、ローマ字をつくったのはだれか、日本で最初に使ったのはだれか、そしていつごろ、という問いかけ。そのうち、ヘボン式ローマ字の話へ。

 この「ヘボン」というのは人の名前。それもアメリカの宣教師で、お医者さん。1859年、つまり幕末に奥さん(クララ・メアリ・リート)を連れて日本にやってきて、伝道に教育に医療にと大活躍した人。もちろん、江戸時代(安静年間)、キリスト教の布教は固く禁じられていたので、最初はもっぱら医療中心だったものの、やがて時代は変わり、大政が奉還されて、明治へ。

 そのうちに日本で最初の本格的な和英辞書『和英語林集成』(巻末には英和辞典の付録も)をつくり、やがて明治学院(言・明治学院大学、高校)を創立してしまう、まあ、すごい人なのだ。この明治学院(ヘボン塾)に学んだのが、のちに総理大臣、大蔵大臣を務めた高橋是清であり、明治をだいひょうする作家・詩人の島崎藤村。
(中略)
 この人、33年間、日本でさまざまな活動をしたのち、1892年、アメリカに帰るんだけど、近代日本の歴史に大きな足跡を残したことはまちがいない。

 なぜ、オードリー・ヘップバーンからヘボンさんの話になったかというと、このヘボンさん、James Curtis Hepburnという名前なのだ。ヘボンがじつはヘップバーンだったというと、学生はたいがい驚いてくれる。
 このヘボンさんの末裔にキャサリン・ヘップバーンがいるという噂があるんだけど・・・本当かなあ。





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Last updated  2023.07.04 23:35:48
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