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2023.07.29
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カテゴリ: 気になる本
図書館に予約していた『老人初心者の覚悟』という本を、待つこと8日ほどゲットしたのです。
既視感のある本なので調べてみたら以前に借りていたことがわかったのです(またか)。




阿川佐和子著、中央公論新社、2019年刊

<「BOOK」データベース>より
老人若葉マークの踏んだり蹴ったり…だからなんだ!「高齢者」の仲間入りをしたアガワが、ときに強気に、ときに弱気に、老化と格闘する日々を綴る。

<読む前の大使寸評>
既視感のある本なので調べてみたら以前に借りていたことがわかったのです(またか)。

<図書館予約:(7/18予約、副本1、予約0)>

rakuten 老人初心者の覚悟

パワハラの最たる事例ビッグモーターであるが、国交省や金融庁の監督はどうなっていたんだ、もう。このクソ暑い時期ではあるが・・・ニッポンのシステムこそ劣化が進んでいるのではないか。

・・・ということで、アガワが説く「梅干しの夏」を、見てみましょう。
p115~119
<梅干しの夏 日本の夏>
 こう暑いと身体の動きが鈍るだけでなく、頭の回転も悪くなる。はて、今回は何を書けばいいのか。ちっともひらめかない。連日のように最高気温が体温よりたかいのである。いったいこの地球はどこまで熱せられていくのだろう。
 日本はまもなくハワイか東南アジアのような熱帯の国になるんだよ、夏は皆、アロハかムームーを着て、街路樹はすべて椰子の木に変わるのさと、冗談めかして語る人がときおりいるけれど、どうもそんな生易しい話ではない気がする。もしかして火星だけでなく太陽とも急接近しているのではないか。

 先日も都内ホテルの玄関前にて、ベルボーイ君が頬を真っ赤に火照らして、「熱いですねえ」と声をかけてくれたので、他人を気遣っている場合ではないでしょう、仕事とはいえ、この玄関前(そりゃもう尋常と思えぬ灼熱の空気に包まれている)に日がな一日立ち尽くし、客に向かってニコニコ愛嬌を振りまいているあなたのほうがよほど心配ですよと思い、「大丈夫ですか?」と訊ねたら、風呂上がりのような顔に朦朧たる笑顔を浮かべ、「大丈夫です。今、ここの温度計、39.5度です」と答えていたけれど、こりゃ早晩、倒れますなと思いましたよ、私は。

 テレビから得たミニ知識である。たくさん麦茶を飲んでいた人が熱中症で倒れたという事例を挙げ、じゅうぶんに水分を取っていたのにどうしたことかと検証した結果、
「水分と同時に塩分を補給しなければいけないのです」
 専門家が唱えていたのをたまたま耳にして以来、バッグに梅干しを入れて持ち歩くことにした。梅干しの効能を深く知っているわけではないが、今、梅干しについて頭を巡らせただけで口内にツバが出てくるということは、梅干しの威力がどれほど絶大であるかを何より証明していると言っていいだろう。

 あの天下一品の酸っぱさと塩辛さが古来日本人の健康保持、疲労回復、食中毒回避の支えとなって受け継がれてきたのだ。四の五の言わず、信ずる者は救われる。舐めるがよいぞ。と、宣言してはみるものの、街中で突如、歩きながら梅干しを舐め始めるのも憚られる。外で食事中、おもむろに梅干しを皿の上に出したら怪訝に思われるにちがいない。それこそ飴とは違い、どのタイミングでバッグから梅干しを取り出すか、迷うところだ。そこでひらめいた。

 そうだ、お茶に入れよう。
 たとえばどこかを訪問し、「どうぞ」と日本茶を差し出されたとする。「恐れ入ります」とこちらが殊勝に頭を下げる際、運んでくださった方もたいていお盆を手に伏し目がち、かつ楚々とした所作でその場を静かに立ち去る。客がお茶を飲むまでじっと見届けてやろうじゃないのといった圧力はかけないのが暗黙のもてなしマナーというものだ。
 つまりこちらは見られていない。その隙を狙い、素早く茶碗にポトンと梅干しを落とし込む。入れてしまえばこっちのものだ。中を検閲されることはないだろう。

 梅干し茶はおいしい。茶の香ばしさと梅の酸味が相まって、なんともいえぬ安堵感が口から胃へ流れ落ちる。それをよく味わうには、多少時間をかける必要がある。お茶の中で梅干しがほどよくふやけ、中のエキスがお茶全体に行き渡るまでしばらく待つ。その塩梅を知るため、梅干し茶を飲むときはおのずと茶碗の中をたびたび観察し、ときに茶碗を手で揺らし、ふやけた梅干しのエキスをお茶と融合させるべく工夫する。その動作を他人が見たら、なんとお茶に対する愛が深いかと思うだろう。好感度も上がる。

 ただ一つ、問題が残る。茶を飲み終わり、梅肉もすっかり舐め切ったあと、種を茶碗の底に残して帰っていいものか。自宅ならいざ知らず、他人様のお宅、あるいは訪問先の会社だった場合、客の飲み終わった茶碗をかたづけようとした方が、ふと茶碗の底へ目をやると、
「やだ、なんでこんなところに梅干しの種があるの?」
 不気味に思われるであろう。そのリスクを回避するためには、種を茶碗からそっと取り出し、こっそりティッシュなどに包むことだ。しかしその頃には、もはやお茶を供されたときとは違い、なぜか他人の目が鋭い。こっそり敢行するのは不可能に近い環境となっている。そういうとき、私はお茶を飲み干すふりをして、梅干しの種も同時に口へ放り込む。それを頬の片隅に追いやって、
「いやはやごちそうさまでした。ではそろそろ・・・」
 こうすれば証拠を残さずに去ることができる。


いやはや、果たしてアガワは頭脳明晰なのか、アホなのか・・・関西風に言えば、アホなんでしょうね♪
『老人初心者の覚悟』3 :味噌煮込みうどん
『老人初心者の覚悟』2 :ウーバー・ナウ
『老人初心者の覚悟』1 :新任高齢者のツイート





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Last updated  2023.07.29 08:48:10
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