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2023.08.17
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カテゴリ: 気になる本
図書館に予約していた『綿の帝国』という本を、待つこと2ヵ月ほどでゲットしたのです。
一目で分厚い本とわかるが、予約前に見ていたらチョイスしない分厚さである。でも全て読むわけでないから、まあいいか。




スヴェン・ベッカート著、紀伊國屋書店、2022年刊

<「BOOK」データベース>より
奴隷制、植民地主義、強制労働…社会的・経済的不平等や差別は資本主義の歴史の例外ではなく、その核心だった。膨大な資料をもとに5000年、5大陸にわたる綿とそれにかかわる人々の歩んだ道をたどり、現代世界の成り立ちを追究した、バンクロフト賞受賞作。

<読む前の大使寸評>
一目で分厚い本とわかるが、予約前に見ていたらチョイスしない分厚さである。でも全て読むわけでないから、まあいいか。

<図書館予約:(6/14予約、副本3、予約7)>

rakuten 綿の帝国


第1章の途中から、見てみましょう。
p50~53
<第1章 グローバルな商品の誕生>
 技術の進歩の遅さには、原料の供給が限られていたことも関係していた。世界の大半の地域で、綿花を遠隔地まで効率よく運ぶことができなかったのだ。時には荷役動物や人間が、比較的短い距離を運搬することもあった。アステカ王国では綿花を高原地域に運んで加工していたが、その距離は100マイルほどだったようだ。より効率がよく一般的だったのが、水運による綿花の交易だ。

 たとえば第二千年紀に入ると、数千隻とはいわないまでも数百隻もの船が長江を下って江南まで綿花を運んでいたという記録がある。グジャラートやインド中部の綿花も、同じように船で海岸沿いに南インドまで、あるいはガンジス川を下ってベンガル地方まで運ばれていた。それでも19世紀になるまでは、圧倒的に多くの綿花が、栽培された土地から数マイル以内の場所で紡がれ、織られていたのだ。

 世界中の実に多くの人びとが綿花を栽培し、糸を紡ぎ、布を織っていたのだから、綿業は間違いなく世界で最も重要な製造業だったはずだ。しかも、19世紀まで家庭内消費のための家庭内生産が綿業の最重要セクターのままだったとはいえ、1780年代の産業革命以前に重大な変化が生じていた。

 特に重要だったのは、綿製品が高度に労働集約的なものだったことが一因となって、貴重な価値保存手段および交換の媒体となったことだ。あらゆる地域の統治者が、貢ぎ物や税として綿布を要求した。実のところ、政治経済というものの誕生には綿の存在がかかわっていたと言えるかもしれない。たとえばアステカ族のあいだでは、綿製品が最も重要な貢納手段だった。

 中国では15世紀以降、各家庭が税の一部を綿布で納めるよう求められた。アフリカでは年貢を綿布で納めるのが一般的だった。納税手段として実用的だったため、綿布は中国、アフリカ、東南アジア、中央アメリカで通貨としても用いられた。綿布が理想的な交換媒体だったのは、綿花とは違って容易に長距離を運搬できたし、腐りもせず、価値も高かったからだ。前近代世界のほぼ全域で、一枚の綿布で必要な物を買うことができた・・・食料でも、製品でも、さらには身の安全さえも。

 綿布が原貨幣として使われていたことから、次の事実が明らかになる。綿織物は単位重量当たりの価値が高かったため、そのすべてが製造地の近くで使われていたわけではなかったのだ。実際、南北アメリカ大陸、アフリカ、アジアで別個に出現していた綿業の中心地はいずれも、栽培者、製造者、消費者を結ぶ複雑な交易ネットワークを次第に発達させた。それらのネットワークがカバーする範囲は広く、ついには大陸の端から端まで広がった。

 イラン地域では9世紀から10世紀にかけて、綿業に導かれて著しく都市化が進んだ。都市部の住人は周辺の農村部から綿花を調達し、紬、織り、衣類に仕立てて、現在のイラクにまで至る遠方の市場へ販売した。植民地支配される以前の西アフリカのブルキナファソでは「綿が交易の中心だった」と、ある著述家が書いている。

 グジャラート製の綿布は早くも紀元前4世紀に、インド洋に浮かぶ島々の交易においてきわめて重要な役割を演じるようになった。大量のグジャラート製綿布が東アフリカの海岸地帯で販売され、アフリカの奥地へと売られていった。こうしたあらゆる取引において、商人たちは(特に出身の国や都市から遠く離れた者は)現地の好みに合わせなければならなかったし、現地の消費者のとって魅力的な価格で製品を提供しなければならなかった。

 中央アメリカでは、綿布は数百マイルもの距離を越えて、時には近隣諸国と取引されていた。たとえば、商人は(現メキシコの)テオティトランからグアテマラまで綿布を運ぶこともあった。現在のアメリカ合衆国南西部にあたる地域でも、綿糸と綿布は重要な交易品目で、ワタが育つ地域から遠く離れた遺跡でも綿製品が発見されている。

 中国の商人は13世紀以来、国産品の不足を補うために遠くヴェトナム、ルソン島、ジャワ島から綿糸や綿布を輸入していた。アフリカの承認も同様に、綿織物の長距離交易を行っていた。たとえば、マリ帝国製の綿布と砂漠の遊牧民がもたらす塩を交換していたのだ。オスマン帝国の綿織物ははるばる西ヨーロッパまで運ばれたし、13世紀には日本もすでに綿製品を輸入していた。
アラブのダウ船

 ますますグローバル化するこうした活動の中心に位置していたインドは、ローマ帝国、東南アジア、中国、アラブ世界、北アフリカや東アフリカと交易していた。インドの綿は人やウシに背負われて南アジアを縦横に行き来していた。また、アラブのダウ船で海を渡り、ラクダの背に揺られて広大なアラビア砂漠を越えてアレッポに運ばれ、ナイル川を下ってカイロの大規模な綿市場に至り、ジャンクの船腹に積み込まれてジャワ島へ向かった。

 すでに紀元前6世紀にはインドの綿はエジプトと取引されており、商人は紅海やペルシャ湾の港にそれを運んでいた。それからギリシャの商人が、エジプトやペルシャからヨーロッパに運んだ。やがてローマ商人もこの貿易に加わると、綿はローマ帝国のエリートにとって垂涎の的の贅沢品となった。





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Last updated  2023.08.18 15:07:09
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