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2023.09.23
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『地球生まれで旅育ち』という本を、手にしたのです。
ヤマザキマリといえば、今ではメジャーとなっているが・・・ヤマザキマリの出自を知りたいではないか、ということでチョイスしたのです♪




ヤマザキマリ著、海竜社、2019年刊

<「BOOK」データベース>より
母や北海道という土壌、衝撃を受けた世界中の“いい女”、表現者としての覚悟、生きる意欲をもたらした芸術、複雑でパワフルな古代と現代のローマ人たち…。ヤマザキマリをつくり上げたバックボーンはここにある!!

<読む前の大使寸評>
ヤマザキマリといえば、今ではメジャーとなっているが・・・ヤマザキマリの出自を知りたいではないか、ということでチョイスしたのです♪

rakuten 地球生まれで旅育ち

キキと藤田

「第4章 芸術論」で、写真家マン・レイが語られているあたりを、見てみましょう。
p144~147
<芸術家達を育んだ、女神のような女性>
■木枯らしの吹くパリで出会ったマン・レイの写真集
 14歳で初めて欧州を一人旅した時、最後に訪れたパリでの4日間は凍てつくような寒さが印象的だった。
 あてどもなくパリの街を徘徊し、フランス人は心細さを露わにした東洋人の小娘に対して決して親切というわけでもなく、私は木枯らしの吹くリュクサンブール公園の、誰も座らない冷たいベンチに腰掛けて「なぜこんなところに来てしまったのだろう」と心底から寂しさを噛み締めていた。

 それでも私にとってパリは訪れてみたい街だった。憧れだったルーブル美術館を訪れたり、書物や栄華を通じてではなく、実際自分の感覚でパリという街を感じてみたかった。そういった意味では、葉の散った寒々しくも高貴さと退廃の入り交じった街の趣は、自分の抱いてきたイメージにぴったりでもあった。

 そのパリでの滞在中、私はふらっと入った書店で1冊の本を買った。それは20世紀初頭パリに暮らしたユダヤ系アメリカ人の写真家マン・レイの写真集で、考えてみればこの1冊がきっかけとなって、その後の私の欧州における美術や文学への関心が更に広がり始めたのだった。

 シュールレアリズムやダダイズムが活性化するパリの芸術界で、マン・レイも時代の寵児の一人として斬新なテクニックを使った様々な写真やオブジェを生み出していたが、その写真集にはそういった新技法の試行錯誤的写真から、当時のパリの文壇・芸術界に携わっていた様々な人達のポートレートが沢山載っていた。

 アンドレ・ブルトン、マルセル・デュシャン、ピカソにコクトー・・・。作品は知っていても、そこに作者の顔が見える事でやはり見方は多少なりとも変わってくる。ピカソの絵もあの強烈な目力の男をイメージするのとそうでないのとではおそらく全然違う。

■当時の芸術家達にとってのミューズ
 マン・レイはその本人の独特の目線でそういった表現者達の写真を数多く撮ってきたわけだが、そんな写真の納められたその本の中でも私が最も気になったのは、とある女性のポートレートだった。

 椅子の背もたれに肘を載せ、黒いベールで顔を半分覆っている。大きな鼻に太い腕、なのに儚さと憂いが重なり合った美しい表情。磁力に満ち満ちた目。それは当時のパリの芸術家や作家にとってのミューズ、「モンパルナスの女王」キキで、ピカソにモディリアーニ、藤田嗣治といったそうそうたる画家達が彼女を描いてきた。

 そして写真家マン・レイにとってのキキはモデルだけではなく、愛人でもあった。マン・レイの撮影したキキで一番有名なのは、「アングルのバイオリン」というタイトルの、彼女の背中をバイオリンに見立てたものだろう。女性の背中のヌードを楽器に見立てるというのはとてもセクシャルな解釈だ。キキという女性の芸術家達を虜にした豊かな官能性を見事に表した作品でもある。

 キキ、本名はアリス・プラン。貧しい家に私生児として生まれ、彼女自身も兵器工場や兵隊靴の修理工などをしながら飢えを凌いでいたようだ。14、15歳でパリへ出てからは彫刻家のモデルをするようになり、以降彼女は徐々にその人生での黄金期へと上り詰めていくわけだが、晩年はその体は麻薬と病に蝕まれ、酷い貧困の中で孤独を強いられる無残なものだった。


『地球生まれで旅育ち』2 :チベット旅行の女性ガイド
『地球生まれで旅育ち』1 :この母にしてこの娘あり





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Last updated  2023.09.23 00:04:02
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