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2023.10.29
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カテゴリ: メディア
是枝監督が映画作りについて語っているので、以下のとおり復刻してみてみようと思い立ったのです。


*********************************************************
帰省先の図書館で『クリエイティブな仕事はどこにある?』という本を手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると、なにやら、かなりクリエイティブである。
是枝監督と対談している樋口景一という人は電通コミュニケーション・プランニング・センター長という物々しい肩書である・・・・最近、電通のイメージは良くないが、やはりクリエイティブではあるなあ♪




是枝

是枝裕和×樋口景一著、廣済堂出版、2016年刊

<「BOOK」データベース>より
春には仕事人としての始まりを、夏にはその成功と失敗を、秋にはその閉塞と突破を、冬にはこれからどんな未来を選ぶかを、二人の仕事人が1年を通じて語っていく。仕事人として歩くさまざまな道のりにおいて、僕らは何を考え、何を見つめていくのか。

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくってみると、なにやら、かなりクリエイティブである。
是枝監督と対談している樋口景一という人は電通コミュニケーション・プランニング・センター長という物々しい肩書である・・・・最近、電通のイメージは良くないが、やはりクリエイティブではあるなあ♪

rakuten クリエイティブな仕事はどこにある?


スマホの功罪、本屋のありがたみに触れたあたりを、見てみましょう。
p72~76
<仕事の八割は情報収集で決まる>
樋口: 是枝さんの映画を撮るのは、日常的にさまざまな文献を読んだり、ニュースを見たりするところからスタートするんですか?

是枝: ええ、なにかに出会って動くことが多いですね。創作されたものではなくて、実際の事件に触発されることが多いですね。

樋口: 僕らは広告をつくるときには、たいていクライアントさんのやりたいことが先にあるのですが、それをそのままやっても一方的になっていいものにはならないということがあります。ですから、それをどう翻訳し、そこに何を盛り込むと聞く側見る側にとって気づきがあって、意味のあるものになるかを探していきます。
 むしろ一般的な捉え方と距離があるほうが一般論でないぶん気づきを与えるものになりやすいので、違うタイプの情報を入れるようにしています。人に会って話をすることがヒントになる場合が多いですね。仕事の接点のない人のほうが刺激になります。

是枝: そうなんですよね。同じ業界じゃない人ね。

樋口: 仕事関係とはまったく異なる日常の接点が大事なのかなと思います。

是枝: 僕がテレビをやってよかったのは、限定的とはいえ、一般の人たちに接する機会があったから。それを経験せずにいきなりフィクションの現場に入って、役者と業界の関係者だけと何十年も仕事をしていたら、つくるものが違ってただろうなという気がします。

樋口: 違うでしょうね。

是枝: それはそれで、馴染んでしまうと楽しい日々かもしれませんけど。その外側に普通の生活者がいることに目が届くか届かないかは大きいと思うんです。僕はあまり業界に友人がいないので、役者と朝まで飲み歩くなどということがなくて、昔の友達や高校時代の友人たちと話しているときに着想が生まれることが多いですね。

樋口: 僕も違う業種に就いている昔の友人と話すのがすごく好きで。

是枝: 大事ですよね。

樋口: 「銀行はこうだ」とか「本屋はこうなんだ」とか、そういう会話が大事だなと思っています。まったく違う風景を見ている人の一言から新しい見方ができるようになることがあります。

 アイデアの話をすると、「どこからかアイデアが降ってきて、それをもとに業界内部の人とつくっていく」ととらえているふしがありまして。情報の収集やインプットを丹念に丁寧にやるとか、情報の量を増やすことがないがしろにされているように思うときがあります。

 一足飛びにものづくりにガッと入っていくといいものができると思い込んでいる人がいますね。実際には世の中の流れや伝わる構造を読むことを含めると、企画の初期段階は八割がた情報収集で決まるんじゃないでしょうか。
 以前、是枝さんと引っ越しの話をしたとき、蔵書がたくさんおありだと聞きましたが、それはインプットのための材料ですか?

是枝: 本は好きなんですが、いま読めないんです。資料以外の本がなかなか読めない。それで、最近は読めなくても、買うだけでもいいと思うようになっています。

本屋が好きなんです。本屋という空間が。僕は本には本屋が必要だと思っていて、アマゾンで買うのは便利だけど定期的に本屋に行って並んでいる本に触れている時間が非常にクリエイティブです。 最近は、その空間を維持するためには自分がここで本を買わなければいけないと思っています。そうしないと、この本屋は潰れていくんだと。

樋口: 本屋は守らないと、どんどんなくなっていきますよね。

是枝: うん。だからなるべくチェーン店ではなくて、小さな本屋で買う。そうして支えないと、本屋という空間がなくなると思うから、空間代だと思って本を買います。それくらい本屋は必要だと思っているんです。映画に映画館が必要なくらい、本には本屋がいる。世の中にはそういう空間が必要だと思うんです。

樋口: よくわかります。

是枝: 読む時間がなくても、買うだけでも活性化される。だから、読めないけど買い続けています。

樋口: 僕も自分では読まないタイプの本を、本屋で眺めるのがすごく好きなんです。それで、ジャケ買いする。読めるかどうかわからない本も、最終的に興味がもてるかわからないけどちょっと気になるという本も買ってみます。本屋に並んでいる本の背表紙を見るだけでもすごく刺激されますね。

是枝: わかります。

樋口: タイトルをバーッと眺めるだけでも、ものすごい情報量ですね。いま僕は、だんだん本を読む時間がなくなっていくことを恐怖に思っているんです。 移動の時間は携帯をいじる時間に変わりつつある。するとネットの文章を多く見るようになる。 ネットの文章が全部悪いとは思っていませんが、やはり書籍になった文章、あるいはある時間を越えて生きている文章と比べると、文章のクオリティが高くないものがものすごい数あるわけですね。そういうのを目にする機会がだんだん増えていって相対的にその割合が高くなると、自分の中にある文章のストックが、だんだんよくないものに変わっていく。

是枝: 劣化する。


新しい企業哲学やアメリカ流の強引な商法あたりを、見てみましょう。
p176~179
<古い会社から新しいものが生まれている>
是枝: 僕は自分が下積みをしていないから、あまり偉そうなこと言えないんだけど、僕が所属していた制作会社の上の人たちからすると、僕なんかが一番そういう共同体意識の薄い新しい人間だと思われてきたはずだし、僕自身それでいいと思ってきた。こんなレベルの低い人たちの下に10年もいたら腐ってしまうと思ってきた。
 そう思ってきた人間が今間逆のことを言っているかもしれないけど、番組と作品にとっては、共同体意識の薄いスタッフが入れかわり立ちかわり参加をしていることはよくない。難しいところですね。

樋口: ある種古い企業として見られていた企業から、新しいタイプの自動車とかがどんどん生まれていて、新興の企業からむしろ新しいものが生まれにくい状況もある。それはおっしゃるようにノウハウやDNAが継承されないために、どこも同じようなものを出してしまうという状況があるんでしょうね。バックグラウンドとなるフィロソフィがなくて、どこが出しても同じようなものになっていき、それは結果的にその企業の競争力にはならない。

 最近、「運動会をやりたいと思っているんですよ」と言われる企業の方がいます。きちんと共同体をつくっていかないと、フィロソフィが育たないということのようです。

是枝: それって日本独自の考え方? アメリカだともっと自由なの?

樋口: その傾向はありますけれど、グーグルやアップルは日本企業に近くて、共同体意識が非常に強いですね。

是枝: そうですか。僕は、今の自分が、若い頃に考えてきた自分よりも保守的な気がしているんです。今年のお正月も、十数人で新年会をやって書初めをした。そういうのが意外と嫌いじゃない。お年玉配って、みんなでボーリングして、焼き肉食べて、今年も頑張りましょうと言って。こういうのは昔は大嫌いだったのにと思っているんです。テレビマンユニオン時代は、新年会や忘年会には一度も出ていないのに。わからないもんだな。

樋口: さっき話した、自己プレゼンテーションや自己アピールを重視していると、無駄に見えることを全部切り捨てるようになりますね。しかし、無駄だと思って切り捨ててきたことのなかにこそ、じつは大事にすべきことがある。ITのトップの人が「人類史的に大丈夫かなと思っている」と言ったという話をしましたが、その方は「最適化」ということに疑問をもっている。

 最適化によって、自動的にその所作を選ぶようになるとか、自動的にそのレストランを選ぶようになるというようなことがどんどん増えていくと、結果的には無駄と思えることや、余白をつくる行為が極端に少なくなっていきます。

是枝: 最適化からは無駄が生まれないということですね。僕は、アマゾンでおすすめされるとすごく買いたくなくなるんだよね。「お客様のショッピング傾向に基づくおすすめ商品」とか言われるのがすごく嫌で、「オレ、それ好きじゃねーよ」とか、「いやいや、これとこれは違うものでしょ」と思うけど、あれは誰がおすすめしているの?

樋口: プログラムが組まれている。

是枝: 傾向がカテゴライズされているってこと?

樋口: 購入した商品が、次に有効に機能するためのデータになって、さらに選択肢を狭めていくんですよね。で、判断を委ねていく状況になっていく。

是枝: うん、自分で選んだり失敗したりする喜びがなくなるよね。

 山下和美さんという漫画家と対談したら、高校の同級生が本屋で働いていて、本はそこで買うと言ってました。そこに行くと、「こないだの本どうだった?」「あ、面白かったよ」「今度新しいのが入ったよ」と言われて、一緒に店内を回って何冊か買う。それならわかるんだよね。

樋口: それはすごくいいですね。

是枝: アマゾンのおすすめはそれとは違うよね。「前に買ったものはどうでしたか?」って聞かれていないもんね。

樋口: そうですね。その商品のレビュー書いても、おすすめには反映されないですね。

是枝: コミュニケーションになっていない感じがすごく嫌なんだよね。なのに、なんですすめるんだよって思う。

樋口: そういう書店員がいるといいですね。

是枝: いいですよね。それが基本な気がする。

ウン 本屋が好きで、アマゾン嫌いなところが、反米の大使に強く響くわけでおます♪





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Last updated  2023.10.29 00:15:58
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