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2023.12.22
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『「スパコン富岳」後の日本』という本を手にしたのです。
スパコンといえば・・・かつて神戸のポートアイランドの理化学研究所計算科学研究センターまでスパコン京を見に行ったように、私は物見高いのであった。




小林雅一著、中央公論新社、2021年刊

<「BOOK」データベース>より
世界一に輝いた国産スーパーコンピュータ「富岳」。新型コロナウイルス対応で注目の的だが、真の実力は如何に?「電子立国・日本」は復活するのか?新技術はどんな未来社会をもたらすのか?莫大な国費投入に見合う成果を出せるのか?開発責任者や、最前線の研究者(創薬、がんゲノム医療、宇宙など)、注目AI企業などに取材を重ね、米中ハイテク覇権競争下における日本の戦略や、スパコンをしのぐ量子コンピュータ開発のゆくえを展望する。

<読む前の大使寸評>
スパコンといえば・・・かつて神戸のポートアイランドの理化学研究所計算科学研究センターまでスパコン京を見に行ったように、物見高いのであった。

rakuten 「スパコン富岳」後の日本


「はじまり」から、見てみましょう。
p3~5
<はじまり>
 国際社会における日本の競争力低下が取り沙汰されてひさしい。中でも科学技術力の弱体化はしばしば指摘されるところで、確かに日本の論文発表数や世界大学ランキングの順位などは近年停滞、ないしは下落傾向にある。加速する少子高齢化や人口減少なども相まって、今後日本が衰退の道を辿るのは必至と見る向きも多いが、それは本当だろうか。

 そうした悲観論者に問いたい。ではなぜそのような国が今、世界ナンバーワンのスーパーコンピュータ(以下、スパコン)を創り出すことができたのだろうか?

 日本の理化学研究所(以下、理研)と富士通が共同開発した「富岳」は2020年、スパコンの計算速度などを競う世界ランキングで2期連続の王座に就いた。巨額の開発資金、そして大規模な設計チームの並み外れた頭脳と集中力が求められるスパコン・プロジェクトは、その国の経済力や科学技術力など国力を反映すると言われる。

 実際、過去四半世紀以上に及ぶ世界ランキングで首位に認定されたのは日本と米国、そして中国のスパコンだけ。しかも直近では日本の富岳が1位である。これを見る限り、日本の科学技術力は今なお健在で、世界でもトップクラアスに位置していると見るのが妥当ではないか。確かに往年の勢いはないが、だからと言って今後も衰退の一途を辿ると決めつけることもできまい。

 問題は競争力の低下に歯止めをかけ、再び上昇に転じさせるには、どうすればいいかということだ。単に人口が減少するという理由だけで、それができないと断じるのは早計に過ぎるだろう。
 本書は富岳のようなスパコンの中核をなす「半導体」、そしてその活用対象として今、最も期待されている「AI(人工知能)」という2つの分野に焦点を当て、日本が再び科学技術立国として歩み出すための道を探る。

 半導体は古くて新しい分野だ。
 かつて1980年代、日本は「DRAM(Dynamic Random Àccess Memory)」と呼ばれる記憶用部品を中心に世界の半導体市場を席巻した。半導体は「産業の米」と言われ、この分野を完全に掌握した日本はソニー「ウォークマン」に代表される便利で洒落た電気製品を世界市場に出荷して巨額の貿易黒字を稼ぎ出した。当時、日本は「ハイテク・ジャパン」や「電子立国」などと世界から称賛された。

 しかし、その後の日米半導体協定などを境に「日の丸」半導体、ひいては日本のエレクトロニクス産業は競争力を失っていった。その後、90年代のインターネット・ブームを境に、世界のハイテク産業を支配したのはGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に代表される米国の巨大IT企業だった。

 今、その彼らがあらためて半導体技術に力を注いでいる。折からのAIブームに乗って、「ディープラーニング」と呼ばれる機械学習を拘束にこなすAIチップの自主開発に乗り出したのだ。その理由は、AIを使った製品やサービスを生み出すソフトウェア開発競争が飽和し、今後はむしろ半導体のようなハードウェア技術がこの分野における競争力の源泉になると見られるからだ。

 ここに日本の勝機が生まれようとしている。日本の半導体産業には底力があり、その卓越した設計能力は今なお健在だ。理研と富士通が自主開発し、富岳に搭載した超高速プロセッサ「A64FX」はAI処理も特異とする。これは世界的にも高い評価を受け、米国の主要パソコン・メーカー「HPEクレイ」も今後このプロセッサを自社製のマシンに搭載することを決めた。

 À64FXには、80年代から日本のエレクトロニクス・メカーが技を磨き、その後も脈々と受け継いできたベクトル型プロセッサ、あるいは「SIMD」と呼ばれる技術が活かされている。こうした日本の伝統的技術が今、AI時代に装いも新たに蘇ろうとしているのだ。

 それは単にスパコン開発に止まらない。AIチップのような最近の半導体製品は「ARM(アーム)」と呼ばれる標準アーキテクチャ(基本設計)に従って、スマホやタブレットなどモバイル端末からウェアラブル端末、あるいはデータセンターに設置されるクラウド・サーバーや今後の自動運転車などIoT(モノのインターネット)製品までさまざまな分野に用途を広げている。


神戸市 スーパーコンピュータ「富岳」





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Last updated  2023.12.22 07:48:09
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