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2024.01.01
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『世界の知性が語る「特別な日本」』という新書を手にしたのです。
著者は共同通信社の論説委員長もこなしたジャーナリストであるが・・・この本で取り上げた世界の知性がええわけです。




会田弘継著、新潮社、2021年刊

<「BOOK」データベース>より
近代日本は世界にとって如何なる存在だったのか。欧米列強を打ち負かした国であり、アジアを侵略した国であり、敗戦後に驚異的な復興を遂げた国。日本が歩んだ曲折の道のりは、他国の人々の精神にも大きな影響を与えてきた。リー・クアンユー、李登輝、ブトロス・ガリ、アンジェイ・ワイダ、オルハン・パムクら世界の政治家や知識人にインタビューし、それぞれの国が抱えた近代の葛藤と日本への特別な思いに迫る。

<読む前の大使寸評>
著者は共同通信社の論説委員長もこなしたジャーナリストであるが・・・この本で取り上げた世界の知性がええわけです。

rakuten 世界の知性が語る「特別な日本」


「第2章 戦前日本を賛美する胸のうち」で李登輝さんの想いを、見てみましょう。
p39~41
<第2章 戦前日本を賛美する胸のうち>
 ■もう一人のリー
 シンガポールは華人国家だ。多民族化しているが中心は中国系だ。リー・クアンユーも漢字表記すれば李光耀となる。「アジア的価値」にこだわり、権威主義で小さな島シンガポールを大発展させたリーに対し、もう一人のリーはあくまで民主主義、「普遍的価値」にこだわり、やはり島を大発展させた。台湾総統だった李登輝(1923~2020)だ。

 英紙『エコノミスト』が「賞賛すべき民主主義」と形容したことがあった。私自身もかつて台湾の民主主義を「アジアの宝石」と表現してみたことがある。香港の自由と民主主義が失われるのを見るにつけ、台湾の大切さを思う。2020年以来の新型コロナ禍への優れた対応を見ても、称賛に値する。

 日本が目標に据えながらうまく達成できない、二大政党制による平和裏の政権交代を、台湾は三回もスムーズに果たしている。そんな例は、東アジアには他にない(韓国の政権交代はいつも逮捕劇や自殺などを伴う)。少数民族文化や日本統治時代の歴史も寛容に取り込んで、豊かな文化をかたちづくっているように見える。

 台湾には1980年代後半に民主化が始まってから、ジャーナリストとして当然の関心を抱いた。その関心は、かつてNHK教育テレビが候考賢監督の『非情都市』(1989年)を放映したのを見てさらに高まった。

 昭和天皇の終戦の玉音放送で日本の統治が終わり、国民党政府支配が始まって間もなく起きた台湾人に対する弾圧「二・二八事件」(1947年)に至る時期を、一商家の家族のドラマを軸にして描き出した傑作である。正直、腰が立たなくなるほど衝撃を受けた。いまでもDVDで繰り返し見る。

『非情都市』が上映されるまで、日本人にあまりなじみのなかった二・二八事件だが、私自身は、80年代に出会った台湾老人から聞かされ、彼の残した回想録から事件との具体的な関りも知っていた。それが映像芸術のかたちで描かれているのを見て、当時の台湾社会の姿と事件が手に取るように分かり、はじめてその頃の台湾人の奥底にある哀しみ(非情)が感じられた。

 それから十年のち、今度は若手監督、 魏徳聖の『海角七号』(2008年)が台湾映画史上最大のヒットになった。秀作であった。終戦直後と現代の、日本人と台湾人の二つの恋愛物語をつなぐコメディ仕立ての映画に、あらためて台湾と日本の歴史を思い、考え込んだ。 魏徳聖の他作品や他監督の作品を見続け、2016年には、政治思想家の畏友フランシス・フクヤマらが主宰する米論壇誌に 魏徳聖論を寄稿してみたこともあった。

 これらの映画を通じてのぞき見ると、台湾は政治・文化・社会の近代化において、日本をはるかに追い抜いたのではないかと思えてくる。


海角
『海角七号』で日本語で歌われた「野ばら」 より





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Last updated  2024.01.01 06:56:52
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