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2024.01.20
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『モンゴル最後の王女』という本を手にしたのです。
最後の王女もさることながら、漢民族の採る少数民族政策が気になるのでチョイスしたのです。




楊海英×新間聡著、草思社、2019年刊

<「BOOK」データベース>より
1927年、内モンゴル・オルドスにチンギス・ハーンの血を受け継ぐ最後の王女スチンカンルが生まれた。17歳の冬、父の従者だったボロルダイと結婚し、一人息子に恵まれて穏やかに暮らしていたが、中華人民共和国建国後、その人生に暗雲が立ち込める。スチンカンルは反革命分子のレッテルを貼られ、使役に駆り出され、祖先を祀る聖地を開墾する屈辱に甘んじなければならなかった。そして、あの文化大革命が始まるー。著者の楊海英氏自身も内モンゴル・オルドスの出身。中国で現在もなお続く苛烈な民族問題の知られざる実態を、激動を生き抜いた女性の半生を通じて描きあげた迫真のドキュメンタリー。

<読む前の大使寸評>
最後の王女もさることながら、漢民族の採る少数民族政策が気になるのでチョイスしたのです。

rakuten モンゴル最後の王女



「第一章」で、王女スチンカンルが生まれた地域から、見てみましょう。
p33~37
<第一章 黄金家族のたそがれ>
■チンギス・ハーンの末裔
 王女、スチンカンルの生い立ちをたどる前に、まず地理学的な説明から入るとしよう。
 内モンゴルとは、中華人民共和国の「内蒙古自治区」の通称である。西と北部で(外)モンゴル国と、東北部ではロシアに接する面積110万平方キロメートルの地域で、自治区の首府は北京から空路約1時間のフフホト市である。


 中国の「自治区」は「省」と同等の権限をあたえられた行政区画であり、行政府の長はその地区を代表する少数民族のなかから選ばれるが、実権を握る共産党書記は必ず中国人でなければならない。内蒙古自治区もそのひとつで、中国にはこのほかに寧夏回族自治区、新疆ウイグル自治区、広西壮族自治区と西蔵(チベット)自治区の合計五自治区がある。


 2019年9月時点で、人口約13億に達している中国だが、約91.5パーセントを漢民族が占め、残りは55の少数民族から成っている。少数民族でも比較的に人口が多く、古くから居住密度の高い地域が自治区とおもえばいい。本書が描く文化大革命のとき、内蒙古自治区にはおよそ150万弱のモンゴル人が暮らしていたが、中国から入植してきた中国人は1300万人に膨れ上がっていた。自治区とは名ばかりで、あらゆる権力を外来の中国人に掌握されていた。

 自治区の首府フホホトから西に120キロ、包頭で汽車を乗り換え、黄河を渡って南へおよそ100キロ下ると、イケジョ・アイマクの東勝市に着く。アイマク(盟)という内モンゴルの行政単位は、日本の府県に相当する。東勝市はイケジョ・アイマクの盟(県)庁が置かれている同地方最大の都市である。

 モンゴル人のスチンカンルが生まれ育った土地は、ここからバスで300キロの道を西南に下ったウーシン旗のシャルリグという村である。旗もモンゴル独特の行政単位で、日本の郡にあたるか。
 飛行機ではなく、北京駅から大同、フホホトを経由して包頭、さらに東勝まで汽車を乗り継ぎ、そこから、夜は運転手も仮眠をとるという長距離バスの旅路をゆけば、三日半はかかる行程となる。

 イケジョ・アイマクの一帯を、中国では古くから河套地区と呼ぶ。大きく湾曲した黄河に囲まれているからだ。が、日本人にはオルドスといったほうが、とおりがいいかもしれない。世界史的にもまた、オルドスの方が広く知られている。

 チベット高原の青海省から流れ下ってきた黄河は、甘粛省の蘭州で流れを大きく北へ変え、寧夏回族自治区の首府、銀川を貫流して、内モンゴルへと北上する。そしてイケジョ・アイマクを取りかこむように、凸の字の上半分の形さながらに蛇行し、山西省に南下する。

 スチンカンルが生まれたウーシン旗のシャルリグは、このオルドス高原の最南端に近い。緯度からいえば、ほぼ北緯38度線上にある。南にはオルドス南部の大高原を深く切りひらいた無定河が流れ、さらにその南はるか彼方には、陝西省との北を画する万里の長城がつらなっている。

 秦の始皇帝以来、長城以南が中国農耕民族の領土で、北のモンゴル高原が騎馬遊牧民の地、と考えられていたとすれば、ここオルドスはつねに両者の勢力が相接する最前線でもあった。

 モンゴル人の住居、とくに草原を拠点に遊牧する牧畜民の家は、解体、移動に便利なフェルト製の円形テントで、モンゴル語ではゲルといい、満州人と日本人は筒(パオ)と詠んだ。だからモンゴル人の家と聞くと、たいていの人は「あー、あの、まんじゅう型のテントか」とおもう。

 だが、いまのオルドス地方ではゲルが姿を消し、人びとは日干しレンガかレンガ作りの固定家屋に住んでいる。草原の一角にゲルがならび建っているとすれば、それは観光用の宿泊設備であろう。もっとも、内モンゴルでも東北部から中部の草原では、ゲルに住んで放牧生活を送るモンゴル人も少数ながらいる。





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Last updated  2024.01.20 15:45:36
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