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2024.01.26
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カテゴリ: 気になる本
図書館で「メルケル 世界一の宰相」という本を手にしたのです。
東独生まれで物理学を学び、35歳で政治家に転身、51歳で初の女性首相へ。ドイツをEU盟主へ導き、トランプ、プーチン、習近平ら独裁者たちとも渡り合った・・・と、表紙の裏に書いてありました。




カティ・マートン著、文藝春秋、2021年刊

<「BOOK」データベース>より
世界で最も権力を持った女性宰相メルケル。その想いと人生を描き切った決定的評伝。

<読む前の大使寸評>
東独生まれで物理学を学び、35歳で政治家に転身、51歳で初の女性首相へ。ドイツをEU盟主へ導き、トランプ、プーチン、習近平ら独裁者たちとも渡り合った・・・と、表紙の裏に書いてありました。

rakuten メルケル 世界一の宰相


「第15章 トランプ登場」でメルケルのトランプ評価の「続き」を、見てみましょう。
とにかく・・・アメリカ人が唱えるアメリカ第一主義の危険性が気になるのです。
p332~335
<第15章 トランプ登場>
■アメリカはもはや信頼できるパートナーではない
 トランプが大統領に就任してちょうど4ヶ月後、西側の国際秩序にけんか腰で異議を唱えるトランプに対し、ついにメルケルは返答することにした。滑稽なほどドイツらしい場所で・・・。

 ミュンヘンのテント張りのビヤホールで、伝統衣装の半ズボンをはいて地元産のビールのグラスを掲げる赤ら顔の男たちや、伝統衣装のディルンドルを着て給仕する女たちに囲まれながら、メルケルはガツンと言ってのけた。アメリカはもはや信頼できるパートナーではない、と。
 彼女はこの言葉を、ビールを飲みに集まった連中に向けて言い放ったわけだが、もちろん世界中に届くことを意識していた。

 同じ月にシチリアで開催されたG7サミットでも、メルケルは同様な発言をしている。「全面的に他人を頼りにできる時代はある程度終わった」・・・この“ある程度”というのがいかにもメルケルらしい。何事も断定的に決めつけるのを嫌い、事態が思っていたより良い結果になる可能性も残そうと、常にドアを少し開けておくのだ。そのようなメルケルが、珍しいほどはっきりと言い切った。

「我々ヨーロッパ人は、自分の運命を自らの手で握らなければならない。私はそう確信しています」
 後にメルケルは言い足した。「もちろん我々は米国や英国、そしてロシアを含めた近隣諸国と友好的な関係を保つ必要があります。しかし、我々は自らの未来を自らの手で勝ち取らねばならないのです」もはやアメリカはドイツにとってロシアと同様、居並ぶ“友好国”の一つに過ぎない・・・この辛い事実は、歴史の一つの分岐点であった。

「今やアメリカ第一主義を堂々と信じる人物が大統領なのです」とメルケルは言った。彼女はドイツを最優先することを決して誇りに思ったりはしないだろう。ちらりとでも愛国精神を見せつける行為を、彼女は本能的に嫌う。自分の国のどこが好きかと聞かれると、おどけてこう答えるのが定番だ。「嵐にも負けない優秀な窓があるところね」かつてCDUの晩餐会で、各テーブルに飾られた小さなドイツ国旗をすべて撤去するよう求めたこともある。

 だが、トランプのせいでメルケルは、意に染まぬ行為をせざるを得なくなった。「我々にとってこれは、ヨーロッパの理念と価値観を我々自身で守らねばならないということです」と彼女は続けた。ブレギジットで支柱の一本を失った欧州連合が、どのようにそれを実現するのか、答えはまだ見えていない。それでも、メルケルの力強い言葉は欧州諸国のどのリーダーの言葉よりも大きな意味を持つ。
 アメリカにとってドイツは、とりわけその首相は、欧州における最も強固な同盟相手であり続けてきた。おそらくドイツより強固な同盟相手はイギリスだけだろう。メルケルは将来に向けた新しい航路を、以前よりも欧州を中心に据えて描き直している。とはいえ、ワシントンとの絶交を検討するには、メルケルはあまりに用心深かった。そのうえ、ドイツが安全保障面で引き続き米国の傘を必要としていることも、十分過ぎるほど理解していた。
(中略)

 記者会見の間、感情を表わさないメルケルの鉄のような自己コントロールが一瞬崩れた場面があった。トランプが突然、退役軍人の扱いに関してアドリブの発言をした時だ。「我が国の退役軍人にひどい仕打ちをするやつらがいたら、我々は即座にそいつらをクビにしてやる! ドイツのクビ切りと同じくらい素早くだ!」・・・トランプはメルケルに顔を向けながらそう言った。彼女は驚きのあまり眉(時として最も豊かに彼女の感情を代弁する部位)をつり上げた。

「私たちが過去から何を学んだか、次の10年で明らかになるでしょう」トランプとの昼食を終えた後、メルケルは言った。「もしくは、何も学んでいないか、です」。寡黙なメルケルはこれだけしか言わなかったが、十分に言いたいことは伝わった。 


『メルケル 世界一の宰相』1 :メルケルのトランプ評価





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Last updated  2024.01.30 00:25:22
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